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■ ADV(アドボカシー)な人々 #05


GEM Partners株式会社 梅津 文「いまのきもち」 vol.3

梅津氏: ええ。そう思っていたんですが、その人は知的レベルが高くて、会社勤めしているのに、自由にキャリアをデザインしていました。両方成立することってあるんだと思って。私もそういう風に生きたい、そういう人生にしたいと強く思ったんですよね。スイッチ入っちゃった感じ(笑)

片岡氏: 「やりたいこと」と「やるべきこと」を両立してるい人に魅力を感じてしまった。

梅津氏: そうです。また一方で、生き方って目的じゃなくて手段でしかない。そしてその人に言われたことというのは、ずっと続ける仕事というのは、その仕事の存在理由、究極の目的にちゃんと共鳴・合点がないともたないって。その人には「世の中をよくする方法はいくらでもある。宗教でもいいしアートでもいい。もちろん警察でもいい。何でもあるけれど、資本主義の根本にある、競争原理の中で人々がより儲けようと頑張ることによって、社会全体が豊かになるという思想に共鳴できるかどうかを考えないさい。」って言われました。

片岡氏: 深いですねえ(笑)。アダム・スミスを信じるか・・みたいな(笑)

梅津氏: そう言われてもピンとこなくて。でも、その人に異様に共鳴してしまって、マッキンゼーを受けてみようと思ったんです。でもビジネス経験もゼロで分析とか数字に強いわけでもない私が、突然マッキンゼーに入れる訳がないんです。受けたけれど「もうちょっと修行積んでからいらっしゃい」という形でした。落とすということではないけれど入れるわけでもない。それって落とすってことじゃないの?って感じなのですが。そういう中途半端なペンティング状態だったんです。

当時留学中でニューヨークに居ましたが、そこで9.11事件が起きたんですね。母親からは、9.11の時にニューヨークにいたのはこれは運命であると。治安維持が今以上に大事な時代はないから警察にいなさいと言われて、うーんって半年間考えていました。
そこで考えていたことが急に繋がったような感じがしたのは、春に友達とフロリダのディズニーランドに遊びにいったんですね。夜になるとエレクトリカルパレードがあるんですけど、私すごく感動してしまったんです。

子供たちがみんな喜んでいて、これはすべての世界中の子供たち、例えタリバンの子供であっても、アメリカの子供でも中国の子供でも、これを見て喜ばない子供はいないと。エンターテインメントビジネスの成し得るこんなすごいこと。これなら私は信じられるし人生を掛けたいと思う。というのが繋がって、マッキンゼーさん、もう一回受けますって(笑)え?もう?みたいな(笑)なんか根性を買われて入ったという感じです(笑)。

片岡氏: マッキンゼーに入ったのは、子どもたちの笑顔が切り口だったんですね。

梅津氏: すぐにエンタメ業界に行ってもいいと思ったんですけど、どこに入ればいいかわからなくて。マッキンゼーに入れば、お客さんのことを一生懸命考える過程で早くビジネスパーソンとして成長できるし、しかも自分の憧れる人もそこにいる。とにかくビジネスの修行したいという思いで、何が何でも入りたいという、そんな感じでした。

谷本氏: マッキンゼーから映画事業に移るキッカケは何だったのですか?

梅津氏: エンタメ企業はクライアントにいなかったのですが、ちょっと近いエンタメ通信の世界の仕事をしていた頃、『嫌われ松子の一生』という映画を観て「そうだよ、私。エンタメといっても本当は映画だった!」と思ったんです。元々大学時代から映画は好きでした。当時はミニシアター映画ブームでよく渋谷のBunkamura内のル・シネマで上映されるようなヨーロッパ、アジア映画を良く見ていました。まずは業界の様子を覗こうと考え、映画ビジネスの大学院のようなところに行きました。
片岡氏: 映画を作る方?

梅津氏: プロデューサービジネスです。

片岡氏: プロデューサー養成ですか。

梅津氏: 今はもう無くなりましたが映画専門の大学院大学。当時社会人大学院というのが結構できていて、変わり種で映画の大学院があったんです。映画業界に全くツテがなかったので、そこに行けば実業家の方も先生でいらっしゃるので、いろいろ聞けるなと考えて。素晴らしい先生との出会いにも恵まれました。

片岡氏: 映画を撮影したいとは思わなかったんですね。

梅津氏: 作りたい意識は不思議なぐらい全然無かったですね。だから幸せだと思いますけど(笑) 才能のある人を手伝い、そのプロセスの中で儲かり、またそれをクリイエーターに還元するようなビジネスの仕組み作りに興味があったんです。

片岡氏: 僕もそこは一緒。テレビ局にずっといたのに番組を作りたいと思ったことはないです。「テレビ局は番組作る会社です」って入社面接では言われたけど(笑)

梅津氏: あんなにたくさん関わってらっしゃったのに(笑)。
片岡氏: 番組にはたくさん関わってるんですけど報道番組以外では制作に携わったことないです(笑)。宣伝とか広報とかプローモーションでどうやって見せていくかというのは、映画とテレビとの違いはあるけど、そこに、放送した「結果」である視聴率以外に、何かデータがあればいいなとずっと思っていました。例えば巨人軍のクリンナップや箱根駅伝の出場校がどの程度の認知度かって、事前に判らないじゃないですか。

でもテレビマンとしての嗅覚はあるから、テレビ欄を見るだけで、なんとなくどの番組がどのくらいの視聴率をとるだろうかというのは、今でもだいたいは判っちゃうんですよ。出演が誰で、この内容のドラマだとは良くても視聴率は13.5%から15%の間とか。バラエティーのゲストがこの人だとさらに上乗せして、18%はいかないけど、16.5から18.%の間とか。横並びで競合が数多くないという前提だから。それにテレビ番組ってスポットCMを流す分量も上限がだいたいわかるし、他局には流せないし。

もっとも、映画のプロモーションの場合は、テレビ以外にも新聞だったり雑誌だったり、事前のプロモーション期間が長かったりと、メディアの露出量自体がふわっとしているから直感的にどのくらいの興行収益があるのかは、僕には予想は難しいです。あと消費財と違って、公開前にはあまり派手に調査出来なかったりしますよね。ネタバレしちゃうし。

梅津氏: 情報解禁の前だとそういう制限もありますね。

片岡氏: 音楽だとその昔、「ザ・ベストテン」や「トップテン」といったテレビ局のランキング番組がありました。今でも「オリコンランキング」」みたいな、なんとなく権威のあるランキングみたいな。

梅津氏: そうですね。そういう形になれたらいいなと思います。