HOME ■ ADV(アドボカシー)な人々 #04 株式会社つくるひと 小野ゆうこ「いまのきもち」 vol.2 前のページへ戻る

■ ADV(アドボカシー)な人々 #04


株式会社つくるひと 小野ゆうこ「いまのきもち」 vol.2

谷本氏: 起業家とかコンサルタントというより、クリエーターという感じですね。何かを作り出すみたいな。

小野氏: そうですか?それはまたありがとうございます。

谷本氏: 誰かを応援したいというか、何かを良くしたいという考えが根本にあるのでしょうね。

小野氏: そうですね。「絵にかいたモチ」をつくるのが得意で、みんなの話を聞いて、結局こういうことがあると良いんじゃないの?ということがバッと描けるところが、私が一番得意なところですかね。そうするとあなたはここで活躍できるし、こういうことがみんなでできるよね、わーい。みたいな関わりをつくっているのかもしれません。

自分の立場が明確になるとみんなすごい力を発揮してくださるので、結果的にいいゴールに結びつきます。そういう明るい現場が好きだ、ということが根本にあると思います。

片岡氏: “経営者”と呼ばれるのと、“プロデューサー”と呼ばれると、“クリエーター”と呼ばれるのとでは、どれが一番うれしいですか?

小野氏: どれかな。お笑い?

片岡氏: そっち?!(笑)

小野氏: 「お笑い芸人」と呼ばれるのが良いかな。
片岡氏: 普通はなかなか言えないですね(笑)

谷本氏: 女性社長でなかなかいないですよね、面白系の方って。

小野氏: うちには「おもしろ、おかしく、美しく」という隠れた標語がありまして。横田さん(女性社長.NET代表)も女性社長会のお笑い担当ですって私を紹介してくれるんです。

片岡氏: そういう役割なんですね(笑)

小野氏: 「イロモノ」の位置づけなので(笑) 

片岡氏: さっき、せっかくモデルさんみたいとか言ってたのに、損した気分じゃないですか(笑)

谷本氏: でもすごくないですか?モデルさんの容姿を持ったお笑い系って。

片岡氏: いい狙いですね(笑)

小野氏: いい狙いですか?(笑)

谷本氏: 気になったのが、なぜ中小企業さんが対象なんでしょうか?そのターゲットの狙い方には何か理由があるのですか?

小野氏: すごく真っ当なご質問ありがとうございます(笑)

片岡氏: だから「戦略性」はないんですってば(笑)たまたま中小企業だったんですよ、きっと・・・(笑)

小野氏: 大企業って私みたいヤツが関わらなくても、みんなものすごく頭がいいんです。

片岡氏: (笑)
小野氏: でも中小企業は仮説検証のような考え方が弱いときがあります。ビジネスアイデアと市場を結び付ける力量が弱い状態で、現場でどうしたら売上げ改善できるか案出せ、と普段の業務能力と異なることや、シビアな判断を求められると、表面的な情報に飛びつきやすくなる場合がある。思考のギャンブル性が高まっている状態と言えますね。

そこのギャンブル性を低くしないと自分たちの命が持ちません。だから、普通の人たちが良い仕事をするために、個人の能力とチームの力を発揮する思考と行動の仕組みにづくりに関わっていたい。それが中小企業のお客様と結びついていく理由かもしれません。

谷本氏: 顔が見えるというか、人と人がちゃんと解るところですね。

小野氏: そうです。やはり日本は中小企業のほうがが圧倒的に多いので、そこに関わっていた方が日本社会の貢献にもなるかなというのもあります。単純に数が多いですからね。大企業とお取り引きいただくときも、社内ベンチャー的な中小企業サイズのプロジェクトですし。このサイズ感が居心地がいいんだと思います。

谷本氏: 事業戦略ありましたよね。

小野氏: はい、あとづけです(笑) 結果から振り返ると、あ、そうだった(笑)
片岡氏: いつもは片岡英彦事務所の名刺を最初にお渡しするんですけど、今日お会いしてまずアドボカシー協会の方をお渡ししたんです。なぜかというと「アドボカシー」には、いわゆる弱い立場の人の「代弁」する「アドボカシー」という意味と、企業が自分たちのビジネスモデルを押し付けるのではなく、相手側が求めていることを全て受け入れた上で、解決のためのお手伝いをするという、「アドボカシーマーケティング」の2つの意味があるんです。

特に中小企業にはいろんな課題がある。何がほんとの課題なのかわからない時、とりあえず話していくうちに、依頼される方の頭の中で整理ができてくる。最初はなんとなく広報が弱いと思って依頼してきても、実は広報ではなく社内コミュニケーションが問題だったり。PR会社を呼んでしまうと、すぐパッケージ化されたPR商品(メニュー)ありきだと解決できなかったりする。アドボガシーマーケティング的な発想で企業の窓口(ゲートウェイ)をされているのだと思います。そうすると「戦略性」よりも「あとづけ」であっても、クライントの課題を「解決」することが優先されるんですよね。

小野氏: そうなんです。最初はホームページを変えたいという相談が来たとしても、これってそういう問題ではなく、そもそも社のコンセプト・商品コンセプトがないと、どんなメッセージの発信物を作ったとしてもお金の無駄遣いになってしまいますよという話になる。じゃあそこからお願いしますということになって、商品コンセプト開発になったりします。

またどんなリーダーシップ研修がふさわしいですかというお話を聞いても、それって研修が必要なんじゃなくて、仕組みが必要なんじゃないですかと。本部と店舗の間に情報共有という仕組みさえあれば、教育は自然現象としてつくれて、研修スタイルは必要ないんじゃないかっていう話になって、システム提供の仕事になったり。ですからまともにお客様の言うことをそのままやったことがない、というのがつくるひとの仕事です。

片岡氏: 相手側が思っていた「課題」とのギャップがあるんですよね。