海外のリスキリングトレンドについて |
こんにちは、リカレント教育コンサルタントの津田です。
すっかり寒くなり、冬の足音が近づいてきましたね。年末に向けて自分のキャリアの棚卸しをしてみるのもいいですね。
さて、今日は、少し視点を変えて、海外のリスキリングトレンドについて解説します。
■シンガポール~政府が支援するスキルズフューチャー
背景にあるのは高齢化です。2023年にはシンガポールも3人に1人は65歳以上となり、より多くの人に現役で働いてもらう必要性があると言えます。
「スキルズフューチャー」とは、2015年に始まった政府のキャリアサポート制度の総称で、シンガポール国民の生涯学習とスキル獲得の支援を目的とするものです。
「スキルズフューチャー・クレジット」という仕組みでシンガポール国民もしくは永住権保持者であれば誰でも、政府から期間ごとや対象者ごとに1人当たり500シンガポールドル(約39,000円)がスキルズフューチャー・クレジットとして支給され、それを使ってスキルズフューチャーの受講料を支払うことが可能です。ミドルシニア層は2020年よりさらに強化されました。
■ドイツ~インダストリー4.0を実現するため、産業のデジタル化とリスキリング
ドイツの国策を考えるうえで、重要なのが「インダストリー4.0」です。これは、「第4次産業革命」という意味合いを持つ名称であり、リアルとデジタルを融合したサイバーフィジカルシステム(=製造業のデジタル化)を意味しています。インダストリー4.0の主眼は、スマート工場を中心としたエコシステムの構築などがあります。
国内に多くの製造業を持つドイツは、インダストリー4.0を国を挙げて推進しており、日本よりも先に、産業のデジタル化、労働力のデジタルシフトを行いました。国内人件費の高騰、新興国の脅威や、米国などのTech企業の追い上げに危機感を持ち、インダストリー4.0の取り組みに成功しています。
リスキリングの事例としては、自動車部品大手のボッシュの取り組みが有名です。世界40万人の従業員をリスキリングし、IT人材に転換。10年で2800億円を投資しました。
■日本のリスキリングトレンドの中、生成AI活用は必須
シンガポールもドイツもその背景にあるのは、産業構造の変化や労働力人口の減少です。まさに今の日本も同じ環境にあり、政府が積極的にリスキリングを推奨する理由がよく分かります。
ChatGPTのような、生成AIについても日々技術がアップデートされ、AIを含むデジタルリテラシーの向上が、生産性を決める時代になったと言ってもいいでしょう。若手であってもベテランであっても、デジタル領域のリスキリングは避けて通ることはできません。また、生成AIなどの領域は、情報発信者のジェンダーバランスが男性に偏っている印象もあります。技術はまず使ってみる、触ってみる、というところから始めて、発信する、ということを心がけていきたいものです。
また、ChatGPTを開発したOpenAI社では、世界を行脚してその技術の有効性と安全性をアピールしてきたCEOサム・アルトマン氏が退任することとなり、世間を驚かせました。事実上の解任ともみられており、今後の方針に注目が集まっています。こうした事業の動きをウォッチしておくことは、技術の展開を予想したり、国策への影響を考えることにもつながります。ぜひ、積極的に情報収集をしていきましょう。
※2023/11/23追記
サム・アルトマン氏はOpenAI社へ復帰することが決定。生成AIのビジネスは今後もスタートアップが競争の一翼を担う可能性が高く、事業の急拡大に対応して企業統治の体制も整える必要がある、と日経新聞では報じられています。事業拡大推進派のサム・アルトマン氏はマイクロソフトでの受入れが決まっていたというニュースもありましたが、復帰後のOpenAI社において、今後どのような方針で経営者として対応していくのか、注目ですね!!
参考資料
シンガポールの生産性向上政策~SkillsFuture 等職業訓練施策を中心に~(一般財団法人 自治体国際化協会 シンガポール事務所)