新しいあなたへ~新シリーズ「ココロの処方箋」~ヘッセの言葉⑳~ |
11月も半ばを過ぎたころから、つるべ落としに日が短くなりました。
夜が来るのもあっという間で、なんだかさみしい気持ちになりますね。
そろそろ冬の足音が聞こえてくる、そんな季節です。
11月の記念日と言えば、11月22日の「いい夫婦の日」。
最近ではすっかりおなじみの記念日になりました。
街では、旦那様と思しき方が、花束を買っている姿を見かけるようになりました。
わが夫ではなくとも、なんだかとても微笑ましい光景に
つい、頬がゆるんでしまいます。
花束に、頬を赤らめる可愛らしい奥様の姿まで
想像してしまい、私の頭の中は、もはや妄想の域に達しそうです(笑)。
そんな「いい夫婦の日」にちなんで、
今回はヘッセの言葉から、「夫婦愛」についての言葉をご紹介します。
愛という言葉はたった一言でしかないね。
しかしだな、恋をしている若者と、結婚している夫婦の愛は、
同じではないな、やっぱり違うものだよ。
だいたいにして、若いときは自分のことばっかり考えているものだ。
そんな若者が愛だと思っているものはだいぶエゴイスティックなものだよ。
彼らは相手に要求するのも、自分からの愛だと思い込んでいるくらいだからね。
長年連れ添った夫婦の愛は、そういうものではないね。
思いやりや感謝がたくさん含まれた大きな愛だ。
残念ながら、そういう愛で結ばれた二人というのは、そうそう世間では多いものじゃないがね。
(『ゲルトルート』)
最後に皮肉をちょっとだけ入れた言葉に、くすっとしてしまいますね。
私の持論ですが、
「恋は女をきれいにする」
のではなくて、
「愛は女をきれいにする」
と思っています。
そして、「愛」とは、これまでヘッセが語ってきたように、受けるもの、求めるものではなく、自ら愛することを本当の「愛」と呼ぶのだと思います。
そして、その愛に包まれれば、人は幸せになる(とヘッセも言っている)のですから、
いつも幸せでいる人であれば、心もにこやかに、肌艶も麗しく、気持ちにもゆとりが出て美しくなっていく。
一方、「恋」は、上手くいっていれば女性をきれいにしますが、そうでない場合もありますね。
ときに嫉妬で心が乱され、相手に対する言葉遣いや態度、
嫉妬の原因になっている他の女性や、あるいは彼の仕事に対して嫌悪感を抱きます。
彼の一挙手一投足が気になりすぎて、いつもそわそわ。
「恋は女をきれいにする、ときもあるけど、そうでないときもある」(笑)
ヘッセの言う「若者のいう愛」というのは、じつは「愛だと思い込んでいる恋」なのだなと気づきます。
でも、恋を積み重ねてこそ、本当の愛の在り方に気づいたり、愛の大切さが身に沁みたりすることもまた事実。
若いときの恋を重ねて、愛すべき夫となる方に辿り着くのがベストですね。
麗しい夫婦愛に包まれた夫婦。
世間ではそうそうお目にかかれないとヘッセは言いますが、
私の周りのご夫婦はみなさんとても素敵です。
もちろん喧嘩や言い合い、ときには不満や不平を訴えることがあるかもしれません。
でも、二人の心の源に、相手を思いやる愛に溢れている。
そんな夫婦はやはり周りにも愛のおすそ分けをしてくれます。
今年の「いい夫婦の日」。
女性からでもいいではありませんか。
ぜひ花束とワインをそろえて、帰宅する旦那様を待っていてあげたいですね。
みなさまのご家庭が、愛に満ち溢れますように。
そして、独身の方もいつか素敵な夫婦愛に包まれる日が来ますように。
ヘッセが今の日本を見たら、文章を変えたくなる。
そんな愛いっぱいの日本になると良いですね。
みなさまの心からの愛が、きっとこの世界を幸せに導いていきます。
外はますます寒さが増しますが、心はいつもぽかぽかに。
今年も残すところ、あと1か月と10日ほど。
素敵な晩秋をお過ごしくださいませ!