落語家さんに学ぶ、面接必勝法! |
私の仕事は、キャリアカウンセラー。主に大学で、学生さんの就職活動の支援をしています。
3月1日は就職活動の解禁日。このところ、「面接が苦手なので克服したい」という学生さんと話す機会が、とても多くなってきました。
面接が苦手という学生さんの特徴は、というと…。
まず、声がとっても小さいんです。
口の開き方も小さいので、モゴモゴしていて何を言っているかよく聞こえなかったりします。
表情は固く、無表情、あるいはとても恐い顔。
体には力が入って肩が上がり、強張っています。
話す内容は一応覚えたつもりだけれど、いざその場になると頭が真っ白になってしまう…。
自分を売り込みたいんだけど、自信がなくて…。
考えてみたら、ものすごく緊張しているし、面接官にどんな評価をされるのかドキドキしながら面接に臨んでいるのですから、無理もない話ですよね。
面接のたびにストレスを感じながら頑張る学生さんと話すにつけ、どうにか効果的に支援してあげたいものだなあと思います。
そんな私の頭をよぎるのは、寄席などで見る落語家さんの姿。
落語家さんは、たったひとりで高座に上がり、数十分もの間おしゃべりすることが仕事です。おしゃべりを聴いてもらって、お客様を笑わせたり、感動させたりしなければならないのですから、大変ですよね。おそらく、ものすごく緊張されることと思います。
でも、緊張に負けて自分を失ってはいられません。
「目の前にいる聴衆(お客様)をどれだけ自分に惹きつけられるか、のめりこんで聴いていただけるか」が勝負。
自分の話す言葉から、聴衆にいかに情景を想像させることができるか、に力を尽くすのだと思います。
そのためにはまず、大きい声ではっきり話せなくては話になりません。
リラックスした心身でなければ、豊かな表情や身振りをすることはできません。
落語はもちろん覚えていなければならないけれど、聴衆の反応を観ながら臨機応変にアレンジをして、より聴衆に合ったものにしていくことも必要です。
最初は失敗だらけ。でも、失敗を恐れずに場数を踏んでいくうちに成功体験をし、それがやがて自信となって、堂々と高座を務められるようになっていく…。
こうした要素って、場面や聴衆はまるっきり違うものの、根本的には面接も同じじゃないかなあ…と私は思うのです。
面接に臨む時というのは、どんなに準備を入念にしていたとしても、「うまくいくだろうか」「面接官の評価を得られるだろうか」と、意識が自分に向きがちです。でも、そのことが緊張を高めて、面接の苦手意識を作ってしまうんですよね。
だとしたら思い切って、聴衆(面接官)に対するサービス精神を発揮して、「どれだけ自分に興味を惹きつけて、聴いていただけるか」にこだわってみてはどうかなあ。
聴衆(面接官)は、ご縁があればこの先一緒に働くかもしれない方々です。
「どうしたら聴衆(面接官)が身を乗り出して、目を輝かせて、自分の話を聴いてくれるだろう?」
こんな視点で、面接の準備やシミュレーションをしてみたらどうかなあ。
思い切って、大きい声を出してみる。
笑顔を出してみる。
自分の個性も出してみる。
覚えてきたものをそのまま話すだけではなく、聴衆(面接官)の反応に合わせて、話をアレンジしたり膨らませたりしてみる。
そして実際の企業の面接官の前で、実際に披露する経験をたくさんしてみる。
失敗もするだろうけれど、経験をすればするほど、相手の反応が良くてうれしかったり、「わかってもらえた!」という実感を持てたりすることも増えていくはず。
それが自信につながっていくといいなあ。
これぞ、落語家さんに学ぶ面接必勝法。
面接に苦手意識のある学生さんが、少しでも楽に面接に臨めるように(ゆくゆくは、楽しめるように)と、願ってやみません。
学生さんと一緒に寄席に行って落語家さんの言動を見てもらい、その後に面接に生かせそうなことを話し合ったり実践したりするワークショップをしたら、すごく効果的な支援ができそうな気がします。
もちろん、落語を聴くことでリフレッシュもできますしね。
近々、企画してみようかな(笑)。