「こんなこと絶対しない!」ということに秘められている可能性について |
みなさん、こんにちは。
先日NHK胸キュン短歌というEテレの短歌番組で、
胸キュン短歌大賞なるものを受賞しました。
「スポーツ」というタイトルの回なので、
気になる方はNHK胸キュン短歌のホームページを見てみてくださいね。
概ね友人たちからは「胸がほんとにきゅんとした!!」と言われるので、
きっとみなさんの心もきゅんとできるのではと思っています。(無駄な自信。笑。)
まあ実際、その歌を詠んだときの、
心のぐわっとした気持ちを私自身も歌を見るたび思い出してしまって、
一人キュンキュンしているので、
胸キュンというタイトルにふさわしい歌だったなぁと思っています。
(ものすごく冷静に書いていますが、
ひどく嬉しくひとり部屋で踊り狂っていたことはここだけの話ですよ。)
実は、結構最近まで「なにかに応募するために詠む短歌」というものを
あまり評価していませんでした。
短歌というのは自分の心の動きを詠むものであって、
誰かに決められたタイトルにしたがって歌を詠むなど、言語道断。
ひよった短歌だ!
と腹の底から思っていました。(ひどい)
人はとかく、すぐに自分を守るための価値観を無意識に作り上げるものですが、
わたくしのその能力は誰よりも素早くそして力強いもののようです。
おそらく私の場合、
何も賞をとったことがない自分を正当化するためのものだったのではないかと
今振り返ると思うのであります。
だって、そんなこと言いながら、
角川の短歌賞(若手歌人の登竜門)にはこっそり応募してましたから。
箸にも棒にも掛かりませんでしたけどね(笑)。
「あれはタイトルがないからいいのである。」そんな具合です。
では、なぜ今回胸キュン短歌に応募していたかというと、
私の主宰する「短歌詠んじゃったりしようの会」に何回か来てくれた友達が、
しれっと入選してたこと。
(去年の、テーマがアルバイトの回の入選作品です!指先ワルツの歌。)
え~わたしもじゃあなんか賞ほしい!と思ったこと。
(結局は負けず嫌い。)
じゃあ心が動いたテーマなら応募してもいいかな~と思うようになった頃に、
甲子園が繰り広げられていて、私は毎日のように球児たちの姿に涙を流していたのですが、
そのときのNHK胸キュン短歌のお題が「スポーツ」だったのです。
こりゃあ、もうこんなに心動いてるから応募してみるかと思って
してみたらこの結果でした。
ここまでだとやっぱり「心が動いて詠んだ短歌」のほうがいいじゃんって結論になりそうですが、
まだ続きがあるのです。
これに味をしめたわたくしは、こっそりと賞金の出る短歌のいくつかの賞に応募しました。
もうすでに3つくらいしてる(笑)この短い1週間くらいの間に!
今まで一つもしたことないのに!!
これがまた面白いのですね。
一つは「青春」がテーマ。
もはや、青春なんてVHSのビデオを一生懸命巻き戻して、
再生してもなんか画像わりーぞっていうのと同じくらい遠い昔すぎて記憶不鮮明ですからね。
なんのこっちゃって感じだったのですが、
心が勝手に自分の妄想の青春時代に戻って、詠めるは詠めるは。
心がルンルン、きゅんきゅんとして、
きっと何か普段出てないホルモンが出ていた気がします。
自分の心の動きを歌にするのは本当にぽこって心が軽くなるようなときがあるのですが、
この妄想を歌にする短歌は、いつまでもいつまでもその世界に浸る感じ。
小説にはまって、その世界観から抜けない感じに似ています。
効用は違うけれど、これはこれで私の心の豊かさを広げてくれた気がします。
と、少し高尚な言い方をしてみたけど、つまり面白かったです。
もう一つは、「大切なあなたへ贈る歌」という恋愛をテーマにしたもの。
恋愛で大切なあなた??
誰???的な状態のわたくしはですね、
そして、とかく恨み節なことが多いわたくしとしては、
む~となるわけですよ。
これはもうあきらめようかと思ったのですが、
む~としていたら、
ふっと昔のうまくいっていた頃の恋を思い出したり、
そこそこうまくいってた恋人を思い出したり、
もう封印してたちょっと幸せな過去(幸せなら封印しないでほしい、私の脳よ。)を
思い出すことになって、
あれ、意外と楽しかったんだな私とかも思ったりできたのです。
人の脳は焦点が当たっているものしか認識できないといいます。
つまり、わたくしはそこそこ素敵な思い出があったのに、
なんの因果かすっかり忘れきっていて、恨み節だけ覚えていたわけで、
なんてもったいない状態です。
この大切なあなたへ贈る歌、しかも恋愛というテーマをいただけたことで、
ちょっとだけそんな楽しい記憶を思い出させてもらって、
なんだ、楽しいじゃないか、タイトルで詠む短歌。
と思ったのでした。
つまり、何が言いたいかって、ようやく今回のタイトルにいきつくのですが、
(前置き長くてごめんなさい。)
「こんなこと絶対しない。」と強く思っているものほど、
やってみたら面白いということは、人生に結構あるんじゃないかということです。
絶対にやらないとか、「強く」思っている時点で、
とても興味があるのです。
信じる信じないではなくこれは事実で、
人は興味のないものに強い感情を抱くことはできません。
そして、たいてい強く思っている理由は、
大した理由じゃなかったりします。
そんなことしたら馬鹿にされるんじゃないかとか、
そうしていた方が筋が通っていいとか、
現状の自分を正当化したいとか、
まあだいたいは人によく見られようとするか、自分を守ろうとするかのどちらかです。
そんなもののために、広がる世界を狭めているくらいだったら、
やってみちゃったらいいかもしれないのです。
ふむ。
と思った方は是非、何か一つ禁止事項を外してみてくださいね。
あなたのために。
と、最後は偉そうに終わった今回。
今回の短歌は、雪見だいふく。大好きななんです。雪見だいふく。もう冬ですね。
知らぬまに傷つけている人がいる そんな日だから雪見だいふく
LOTTEの広報さん。ぜひ使ってください。
十詩子