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高橋 多佳子 ピアニスト 所属:ミリオンコンサート協会
音楽とともに歩んでいるピアニスト人生。ポーランドでの留学生活、ショパンコンクールへの挑戦など様々な経験を積み重ねてきました。 失敗も成功もありましたが、それら全てが自分を成長させる糧となっています。 そんな経験から少しでもお役に立てる情報を発信できたらと思っています。
ピアニスト高橋多佳子の前を向いて歩こう ライフスタイル 2015-05-09
人生最大のチャレンジ〜ショパンコンクールへの挑戦

 読者の皆様、こんにちは! 唐突な質問ですが、皆様は人生を変えるほどの何か大きなチャレンジをした事はありますか? 私にとっての人生最大のチャレンジとは、1990年にワルシャワで開催された《ショパン国際ピアノコンクール》への参加です。

 《ショパンコンクール》という名前を聞いた事のある方は多いと思いますが、実際どのようなコンクールかといいますと、1927年に第1回が開催された世界最古のコンクールで、なんと5年に1度しか開催されません! そして、Wikipediaには、“現在世界的に最も権威のあるコンクールの1つと言われ、ピアニストを目指す者にとっては最高の登竜門と見なされている”と書いてあります。

 本コラムの「留学①」でも書いたように、夢のまた夢とも言うべきショパンコンクール挑戦のためにポーランドに留学し、2年目の10月、とうとうその時を迎えました。書類選考で選ばれた世界各国の若手ピアニスト140人のうち110人が実際にワルシャワに集まり、3週間に及ぶ戦いの火ぶたが切って落とされたのです。コンクールは1次予選、2次予選、3次予選と3段階の予選があり、最終的には7人が最終ラウンドの本選に進みました。

 私の1次予選の弾く順番は、確か7日目だったように思います。コンクールが始まってから徐々に緊張感が増してきて、まさにその日は緊張のピーク!会場であるワルシャワフィルハーモニーホールが見えてきたとたんに、動悸、息切れ、めまいが…。直前練習の部屋で気を失いそうな感覚で練習していましたが、これではダメだと窓から外を見ると、美しい秋の日差しの中、ポーランドの普通のおばさんが買い物袋を下げて歩いているのが見えました。外では何も変わらない日常が営まれています。「ああ、ここで私が失敗しようが、凄くいい演奏をしようが世界は何も変わらないなあ」そう思ったらガチガチだった肩の力も抜けて、頭もスッキリ。直前に開き直る事ができたのです。

 その直後名前を呼ばれていざステージへ。大ホールに集まった大勢のお客様の温かい拍手に迎えられて、無我夢中で演奏しました。もちろん、開き直ったと言っても極度の緊張の中での演奏だった事に変わりはありません。でもなんとか無事に弾ききる事ができたのは、計り知れないほどの努力のお陰だったと断言できます。

 こうして私は1次、2次、3次予選を無事通過して本戦へ進む事ができました。まさか自分が本選まで進めるなんて思ってもいませんでしたから、各予選の結果発表の時には、毎回夢なのではないかと疑ったほどです(笑)。

 本選はワルシャワフィルハーモニー管弦楽団という一流のオーケストラとピアノ協奏曲第1番を演奏。客席は通路まで人で溢れ立錐の余地も無いほど。テレビ用の照明も一層明るく、喜びの光に祝福されているかのようなステージでした。もうコンクールの最後のステージですから、それこそ最終楽章を弾いている時には、心底この素晴らしい舞台が終わらないで欲しいと思っていました。

 こうして私はショパンコンクール第5位入賞者となり、次の日からコンサートやレコーディングのオファーをいただきました。プロとして第一歩を踏み出したのです。あの時から25年、今もこうして演奏活動を続けられるのはまさにこのコンクールのおかげです。今思い返しても、青春の全ての情熱を傾けて挑戦できるものがあったという事は、とても幸せなのだなと強く思うのです。


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