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関口 暁子 文筆家/エッセイスト doppo
大変なとき、嬉しいとき。ときに支えられ、ときには今以上に輝きを増すことができる。「言葉」というものは不思議な力を秘めています。今、私たちの目の前のステージにいる「あの著名人」も、誰にも知られず努力を重ね、感謝を繰り返し、ここまで生きてきたのです。 彼らがその長い「活躍人生」の中で支えに…
あなたに届け、輝く人の、輝く言葉(新シリーズ) ライフスタイル 2014-02-19
自分の立ち位置に不満や疑問を感じたら ~ゲーテの幸せ講座~

暦の上では春。ときおりやってくる春らしい気候と、冬本番の寒さが入り混じる季節です。

仕事や学校では、期末や期初のような節目感を感じられず、なんとなくマンネリ感や停滞感が意識を占領しがちな季節でもありますね。

そんな時こそ、これからやってくる春に向けて、もう一度自分を見直してみませんか。

 

君の値打ちを楽しもうと思ったら、

君は世の中に値打ちを与えなければならない。

(「格言的」より)

これまでの会社員生活の中で、もっとも引き合いに出した言葉のひとつです。あるときは部下を励まし鼓舞するために、そしてあるときは自身の決意の表れとして。

自分にはチャンスが廻って来ない。楽しそうな仕事ややりがいのある事業はいつも他の人ばかりに任される。だから仕事が楽しくない。

そんな負のスパイラルに陥ったことはありませんか。あるいは、周囲にそんな人はいませんか。

若くて意気揚々としていたころの私は、そういう感情をほとんど抱いたことがありませんでした。それは、私が学生時代の6年間、陸上競技の短距離選手だったからかもしれません。晴れ晴れとトップでゴールできることや、次のステージに上がれることは、自分の力が至らなければ決して味わえません。環境がどうの、相手がどうの、という言い訳はそこには存在できない、それが記録を争う陸上競技。厳しい部分もありますが、精神的には割り切りやすいスポーツです。

「陸上と思うな、人生と思え」とは、荒れた中学を建てなおして陸上競技の有力校にまで導いた原さんという指導者の言葉だそうですが、大人になってこの言葉を知ったとき、まさにそのとおりと膝を打ったものです。

会社生活を楽しむためには、会社の役に立つ人材にならなければ楽しい仕事は回って来ない。活躍の場を広げたかったら、今いる場所で、しっかりと活躍し実績を積んで自分の能力を世に示さなければならない。けれども、そんな単純な理屈が、社会人生活を続けていくと、うっかり見えなくなってしまうこともあります。

私自身、ときには「つまらないなぁ」とぼやきたくなる時があります。そんな時にいつもこの言葉を思い出すのです。つまらないのは自分の能力が足りないから。私が生き生きと人に役立つことを続けていけば、周りの景色は違って見えるはず。周りの人たちも生き生きしてくるはず。そう反省交じりに奮い立つのです。

あなたの目には、いまどんな景色が見えますか? もしも、どんよりとした曇り空のような景色だったら、それはあなたの心の持ちようが現れているのかもしれません。うつむいて周囲を羨むよりも、その時間をあなたの持つ素敵な魅力、能力に目を向けてあげませんか。

今あなたの立つその場所で、精一杯の花を咲かせましょう。そうすれば、あなたの花にミツバチがやってきます。ミツバチはあなたの花粉を運び、種子を作るために必要な受粉の手助けをしてくれます。ミツバチはあなたの蜜をたくさん集めて、また新しいミツバチの命を育み、人間までもがその蜜の恩恵にあずかります。あなたの実がなったのなら、多くの動物や人間たちがそれをいただくことでしょう。こうして知らずのうちに、きれいに咲いた花は、たくさんの影響を及ぼし、あなたの周囲にはたくさんの仲間たちが色とりどりに咲き誇るでしょう。

あなたがいま、精一杯咲くことで、世の中はこんなにも変わるのです。

そしてその積み重ねで、いつかあなたの思い描く未来へ少しずつでも近づくことができるはずです。

大丈夫。きっと、いいえ、ぜったいに、あなたを見ている人がいるのですから。

 

 

人間の持つもののなかで、自分自身に基礎を置かぬ力ほど、

不安定で儚いものはない。

(「格言と反省」より)

社会人経験を長く積めば積むほど、どきっとさせられる言葉です。

名刺にある会社名や肩書。知名度。学歴や家族の業績・・・。これらは仕事を進める上で、ときには武器になることもあります。たしかに、その人の持つ肩書の多くは、本人の努力の賜物ですから、それを誇りに思うことは自然なことですが、意識しすぎないことが大切です。

Aさんは大企業に勤務しています。誰でも大企業に入れるわけではありませんから、企業から見て、入社時、有為な人材だったことの証。でも、その企業の名前は創業者をはじめ、たくさんの先輩たちが築いてきたものであって、Aさん一人が築いたものではありません。けれども、ときにそれを勘違いしてしまうときがあります。ちょっと規模の小さい会社に勤めるBさんを見下すような態度であったり、お店に入ったときに横柄だったり・・・。

ゲーテはこういう「力」を、もっとも儚い力だと評します。ある不祥事がきっかけで、会社が倒産してしまうこともある。時代の変化と企業努力で、Bさんの会社の方が、業績が伸びて評判が高くなることもある。あるいは、転職、定年退職などでその企業から離れる。

このご時世、こうしたことは珍しい話ではありません。

自分自身に基礎を置く力とは、人そのものに宿る実力です。どの会社でも能力を認められる。会社を辞めても社会に貢献できる。どこに行っても、誰に対しても人柄が素晴らしい。その人が培ってきた努力そのものこそが、人を強くします。どんな環境であれ、「自分はこれだけ頑張ってきた(いる)」という自信と実績は、だれにも代えられないあなた自身の力になっているはずです。

他者の創ってきた業績の集大成である会社組織や、素晴らしい人と知り合い、名刺を交換したと言うだけの自慢は、いざというときに身を守れない紙の鎧と同じです。

吹けば飛ぶような紙の鎧は、2月、春直前に吹き荒れる冬将軍にいっそのこと吹き飛ばしてもらいましょう。一時は、心細くなるかもしれません。でも一度「紙の鎧」に頼らないで生きる覚悟をしたのなら、どんな逆境にもめげない真の力があなたの中に漲ってくるはずです。

最も強固な力とは、自己の内面に宿るのです。他者の力を借りるのはもう止めて、あなたの心の軸を、春に向けてもう一度見直してみませんか。


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