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津田 恵子 リカレント教育コンサルタント Happiness insight
Happiness insight合同会社 CEO/人的資本経営・well-being経営を目指す成長企業のお手伝い/累計2000人の面接を通じたノウハウで採用活動やリカレント教育推進・導入支援/海外トレンドキャッチ/早稲田ビジネススクールMBA/中3・小6・5歳3児の母
女性のリスキリングを考える リスキリング 2024-04-16
『子持ち様問題』の本質を考える

こんにちは、リカレント教育コンサルタントの津田です。新年度に入り、会社で異動になったかもいらっしゃるかもしれません。お子さんのいる方は、新生活の適応を頑張っていらっしゃるのではないでしょうか。今日は、子育て中の方が一度は目にしたことがあるであろう『子持ち様問題』を取り上げてみようと思います。

2024年4月3日、ハフポスト日本版にて【「子持ち様」と呼ばれる子育て社員。対立招く企業の構造に問題は】という記事が公開されました。記事によると、Xでは「子持ち様」というネットスラングが頻出しており、子どもを持つ社員が休みを取ることで、業務のしわ寄せがくる社員からの不平不満を指しているようです。

私が最初の育休取得して復帰したのが、2010年でした。その後、2人目の出産後、短時間勤務で働いていたのが、2013年。この時は、一緒に働く一部の人から散々な嫌味を言われ、まさに私は子持ち様状態でした。あれから10年経つのに、時代は変わっていないのだなと。

当時を振り返りながら、なぜ子育て社員とそうでない社員の間に溝が深まってしまうのかを考察してみました。

【会社のバックアップ体制がなく、社員の士気が下がっている】

女性社員の多い職場では、産休・育休を取得する社員の時期が重なることもあり、人員体制に不足が生じることがあります。その際、産休代替要員として、派遣社員などの非正規社員が期間を定めて補充されることが多いです。また、会社によっては人員補充自体がなされないということもあります。

人が抜けていくことで、残された側は同じ仕事を、新しいメンバーや既存のメンバーで対応していくことが求められます。言ってしまえば、もうこの時点で(=妊娠が分かって休みに入ることが分かった時点で)、社員は不満を持っています。子持ち様を批判する元となっているのは、バックアップ体制の問題が、間違いなくあるでしょう。

三井住友海上火災保険の「育児休業を取得した社員の同僚全員に最大10万円の一時金を支給する」という取り組みはとても画期的であると感じます。おそらく、一般職や地域特定職社員が多い職場において、過去にこうした問題が山積していたのではないかと想像します。

 

【仕事にやりがいを感じられない状態で産休に入っている】

会社側の対応に対し、社員側の不満がたまると、仕事の意欲が落ちていきます。子持ち社員のフォローばかりで、自分のやりたい仕事ができなかったり、評価されなかったり、会社に対する気持ちは落ちていく一方でしょう。

そうしたマインドの中、時が経つと今度はその人がライフイベント当事者となり、産休・育休を取得します。私の経験では、残念ながらキャリアの不満足感から子育てに逃げる人というのがいました。自身のキャリアや仕事へのプライオリティが低く、子どものことで休むのは当たり前。だって、自分もそうやって誰かをサポートしてきたからです。

子持ち様を批判しているのは、こうした仕事の意欲が落ちている人たち(=子持ち様予備軍)であり、この人たちが将来、子持ち様になるという構図だと思います。

では、会社はどのようにすればいいのでしょうか。そして、個人はどのように向き合えばいいのでしょうか。

 

【ケア責任の分散】

育休から復帰する女性社員からよく聞く言葉ですが、「お迎えは私が行きます。近所に親が住んでいるので、協力を得ることができます」というもの。なぜそこに夫が出てこないのかと思います。熱が出て保育園からの呼出しがあり、それに対応するのも母親であるケースが、まだ多いでしょう。

女性のキャリア支援に携わる立場からすると、子育て中の女性のキャリアをないがしろにしないでほしいと思います。子育て世代の女性は、仕事にも慣れてきて、次の大きな挑戦を促したい時期でもあるのに、子どもの呼出しばかりに対応していると、何をしていても中途半端になってしまう。パートナーへの依頼や相談、育児の負担は平等にすべきでしょう。男性側も、自分のパートナーが育児に入るタイミングで、転職を考える人がいると聞きますが、それは家族としてのキャリア戦略として、妥当な判断だと思います。

私自身は3人目の出産時、夫が育児休業、在宅勤務(まだコロナ前でした)を選択し、一緒に子育てができて、本当に良かったと思っています。3人目の子どもは、赤ちゃんの時期から長く一緒に過ごしたことで、今でもすごくパパが大好きに育ちました。夜に私が用事で出ていても、パパと一緒にご飯、お風呂、就寝ができます。

パートナーと分担することで、母親側も自分でリスキリングの時間を作ったり、イベントに参加してネットワークを広げることは可能です。むしろ、仕事が乗ってきているこの時期だからこそ、参加した方がいいです。

 

【休ませるだけが支援ではない】

会社側は、休んでも回る体制を作り、不平不満が出ない環境にすることが求められています。しかしその一方で、休ませるだけが支援ではないとも思います。責任を持って働きたい人には、中抜けをして夜に勤務することを認める、病児保育サービスへの支援といった形もあってよいでしょう。また、子育てをする男性側への支援もマストです。

どの業界でも人材不足が叫ばれる中、子育て世代の更なる戦力化は無視できない問題です。子持ち様問題では、子持ち社員があたかも意識が低いかのように話題になってしまっていますが、私はキャリアを諦めずに頑張りたいと思っている方たちが沢山いることを知っています。

育児中の女性社員は、キャリアの上で、自分が必要とされる場所に戦略的に身を置いていくことが重要です。子持ち様などど揶揄される環境は、こちらからお断りです。そんなところでは自分の強みは活きませんし、性別や年齢を問わず人が活躍できないでしょう。

自分の裁量を持って働ける場所はいくらでもありますし、独立という選択肢もあります。モヤモヤしている方は、一人ひとりの能力が活かされる環境へ、動いていくことをお勧めします。

過去のこの記事もぜひ参考にして下さいね。

変化に強い女性のキャリアとは

https://www.tokyo-woman.net/Column20969.html

 

<参考情報>

「子持ち様」と呼ばれる子育て社員。対立招く企業の構造に問題は

https://www.huffingtonpost.jp/entry/komochisama_jp_6609f770e4b0c4621eb7702b

三井住友海上保険株式会社プレスリリース2023年3月17日

育休職場応援手当(祝い金)の創設

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