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関口 暁子 文筆家/エッセイスト doppo
大変なとき、嬉しいとき。ときに支えられ、ときには今以上に輝きを増すことができる。「言葉」というものは不思議な力を秘めています。今、私たちの目の前のステージにいる「あの著名人」も、誰にも知られず努力を重ね、感謝を繰り返し、ここまで生きてきたのです。 彼らがその長い「活躍人生」の中で支えに…
あなたに届け、輝く人の、輝く言葉(新シリーズ) キャリアアップ 2018-01-17
新しいあなたへ~新シリーズ「ココロの処方箋」~ヘッセの言葉⑩~

新しい年が明けて、早いもので半分が過ぎました。

みなさんの生活にも、日常が戻ってきたことと思います。

2017年、どんな年でしたか?

2018年、みなさんは新しい計画や目標など立てたでしょうか。

 

新しい年に、あなたらしく生きるために、私から読者のみなさまへ、

ヘッセからのこんな言葉を新年の餞にしたいと思います。

 

あなたが本当の自分自身になるためにすべきこと、してはならないことがあります。

まずは、あなたの個性が持つ最良のものと最強のものを断固として認め、決して否定したり、ゆずったりしないことです。

そして、何があろうとも逃避しないこと。向かってくる現実をできる限り回避するようなことは決してしないこと。

また、ふだんから心配しすぎないことです。

これらのことをくり返して自分の習い性としてしまえば、あなたは悠々として本当の自分自身を形成していくことができます。

(書簡1953年)

 

自分の個性を自覚し、逃げず、心配しすぎない。

ヘッセは母国から戦禍を逃れてスイスへ逃げました。でもそれは「戦犯」作家扱いされ、身体の被害を案じての逃げであって、精神的な逃げではありません。

むしろ、自分自身の信念を通すために、祖国を捨てなければならないという

苦渋の決断をした結果が、スイスへの移住でした。

 

あなたは今、自分の個性や得意なものを自覚しているでしょうか。

自覚している方はとても幸せな人です。

ヘッセの言うように、断固としてそれを伸ばし、活かすよう、逃げることなく生き抜けばよいのです。

ヘッセのように、幼少から神童と呼ばれているなら、それを守っていけば良いだけに思えるかもあるかもしれません。(だけど実際は神学校の窮屈な世界が合わずにスピンアウトします)

けれども、筆者のように、自分自身の得意を、自覚どころか見つけられないという人もたくさんいると思います。

幼少から神童と呼ばれ、戦禍に襲われ、紆余曲折ありながらも、ノーベル賞を受賞するようなヘッセと、日常の生活にあくせくする私たちはあまりにかけ離れているイメージがあるかもしれませんね。

でも、もともと能力があったとはいえ、ヘッセも苦労の末に、得た地位であり名誉でした。

戦禍の中では「反政府」と目を付けられ、迫害をされた作家のひとりだったのです。それでもなお、自身の主張や信念を曲げなかったからこそ、戦後その価値を再評価されるという幸運に恵まれました。それは「幸運」というよりも、ヘッセの努力と精神力の賜物と言っていいでしょう。

では、私たちはどうでしょう。

自身に関わりのないところで発生した「戦争」に足を取られるでもない「平和な日常」に住む私たち。

それでも、自身に進展がないとか、状況が悪くなると「周囲のせい」に変換してしまう。

ヘッセのような才能がないから? 

才能とは、誰かが作りだしてくれるものではありません。

よく、「才能を見出す」という言葉がありますが、それは「あったものを見つける」ということ。もともと無いものは、誰にも、神様にだって見つけることはできません。

ヘッセは、「自分らしいと思えることこそが、才能の種だ」と言うのです。

その種を大事にすることができるのは、他の誰でもなく自分自身。種を種だと自覚できるのも、自分自身。

 

あなたの「良さ」を知っているのは、誰よりもあなた自身。

それを自分の中で温め、守っていく自信を育てながら、高める努力を忘れない、

そのために必要なもう一つの「努力」が、「心配しすぎない」ことです。

 

筆者の身近な人に、「得意なこと」と「好きなこと」の狭間で悩んだ人がいました。

「得意なこと」では一番になれるけれど「好きなこと」はこれから磨かなければいけない。

結局、その人は「得意なこと」を職業に選び、それなりに充実感を得て仕事をしていると言います。

ヘッセだったらこの状況をどう考えるだろうかと筆者は考えます。そして、ヘッセが影響を受けたというゲーテだったら…と。

おそらく「得意なこと」と「好きなこと」で迷ったら、「好きなこと」を選びなさい、と言うだろうな。というのが、両者を研究してきた筆者の考える結論です。

「得意なこと」は、現在の姿です。しかし、「好きなこと」は、今の「得意なこと」よりもさらに未来へ続く可能性がある道だと思うからです。

その二つが一致している人もいるでしょう。しかし、残念ながらそれはほんの一握りの「幸福な人」なのです。

「その他大勢」に私たちがなったとき、大切なのは、「これまでの得意なこと」よりも「これからの興味がある好きなこと」のほうだと胸を張って言えるでしょう。

 

これから始まる2018年。

あなたがよりあなたらしく生きるために必要なのは、「これまで」の話ではありません、

「これからの」あなた、これからの自分自身が誇れるよう、自身を肯定し、まえに進んで生きることが大切です。

 

まっすぐに生きることは、ときに遠回りに思えます。

けれども長い人生を振り返ると、やはり自分自身にまっすぐな人こそ、「自分らしい幸福」を獲得できる最短の道のりなのかもしれません。

 

やりたいこと、なりたい未来にひたすらまっすぐに。

雑音なんて気にするな。

そんな力強い声に後押しされながら、今月号は執筆したように思います。

 

さて私は、と言いますと、2017年は興味に惹かれるままに、整理収納アドバイザー、ルームスタイリスト、ホームステージャーなど、子供のころから大好きだったインテリアの道に少し踏み入れました。

新しいことを学ぶことは、いくつになっても楽しいですね!

 

読者のみなさまにも、「自分の未来にわくわくする」、そんな素敵な新年がありますようにと願っています。

本年も、読者のみなさまの心の栄養になるような、偉人の言葉たちをご紹介していきます。

どうぞよろしくお願いいたします!


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