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■ 東京ウーマンインタビュー


女性プレイヤーの目線で描く 釣って始まる地域活性化 vol.2

地域活性化のビジネスモデル

中川さんの運営する「ツッテ」

片岡:独立してビジネスを始めたのはいつからですか。

中川:今年の春からです。ツッテというメディア自体も、地域に行ってもご存じの方がいたり、日経ヴェリタスや産業新聞、MJ、TBSのNスタ等メディアで取り上げていただけたり、熱海や色々な自治体とお話ができるようになって来ています。

片岡:釣りを趣味にしている人もそれを取り巻くビジネスも種々あると思いますが、中川さんが考えるのはどのようなビジネスモデルですか。

中川:もともと地域活性化の仕事がしたいと思っていました。その切り口が釣りで、色々な地域の方と一緒に、釣りをベースに新しい観光コンテンツを作っていきたいと思っています。それをビジネスモデルとして展開するためにも、私自身のブランディング構築を目的にツッテを運営しています。

片岡:地域活性の方は具体的にどこかの自治体となにか始めていますか。現在進行中のプロジェクトがあればお聞かせ下さい。

中川:9月に熱海市の「熱海市チャレンジ応援センターA-biz」と熱海魚市場と私の三者で、釣った魚の買取りサービスを始めることになりました。

片岡:面白いですね。誰が釣るんですか?

中川:釣るのは観光客の人です。手ぶらで行って釣りをして、その魚を食べられるお店を紹介します。その後ですが、熱海は資源が豊富なので、釣れ過ぎてしまうことがあります。でもその魚を持って帰ってもどうしようもない、かといって捨てるのはもったいないので、それを魚市場に持ち込み、地域でしか使えないクーポンに変えて、熱海の温泉や遊べるところやお土産屋さんで使って、もう1回熱海を楽しんで頂くサービスです。最初は参加店舗が19ぐらいから始めて、徐々に大きくして行こうと思っています。

片岡:熱海でうまく行ったら他の地域でも展開できますね。

中川:そうです。熱海ではA-bizという、地域の中小企業の方たちを応援する部隊があります。今全国各地で〇〇ビスというのが出てきています。A-bizでうまく行ったら違う地域でもやりたいと思っています。

片岡:立ち位置はNPOみたいな感じでしょうか。

中川:NPOとはまたちょっと違います。自治体内にある、ビジネスのプロの方が中小企業のコンサルティングをする部署です。

片岡:面白いですね。そういうところに自分から声をかけるんですか。

中川:自分から行きました。釣りをする合間に行くこともあれば、最近は先方から「ツッテを見ました」と声をかけていただけるようにもなりました。

プラットフォーム化の理由

片岡:各地を訪れた中で面白いエピソードがあればお聞かせください。

中川:地元の漁師さんの船で釣りをしたのは衝撃的な面白さでした。知夫里という島根県の島で漁師さんの船に乗った時のことです。島の気質もあると思いますが、他の船の漁師さんが「ああ、俺も行くわあ」と乗り込んできました。みんなでわいわい釣りをして、ある程度釣れたら「もう今日良くない?」と誰かが言い出して、陸に戻ったらさらに知らない漁師さんも来て宴会するという、決まったサービスではない、漁師さんならではのオリジナルな経験でした。

片岡:漁師さんの船に乗るのって、普通はお邪魔ですよね。

中川:実は7月8月って暑すぎて魚が釣れにくい時期なんです。そこで、最近は釣り船だけど遊漁船の資格も持っている船が増えています。漁師さんもあまり船を出さない時に、遊漁船でちょっとお小遣いを稼ぐ感じです。

一次生産者の方達も、担い手不足や消費の減少等課題を持っているので、そういう「中の人たち」を取材させていただき、人となりや食へのこだわりみたいなものをメディアとして記事にしつつ、「この人と一緒にこういう経験をしませんか」という旅行プランまで落とし込めたらいいなと思っています。

片岡:Airbnbのように現地の家に宿泊して生活様式に触れるような形式ではダメでしょうか。

中川:Airbnbよりもっとゆるい繋ぎ方ができないかなと考えています。もっとお互いに情報を出し合って「じゃあ行きますわ」「おいで」みたいな決まったサービスの「消費」と違う世界観を作りたいです。地域に親戚のおじさんが増えたみたいな感覚にできたらいいなと思っています。

片岡:サービスのプラットフォームはWebになりますか。

中川:はい。自治体をいくつか巻き込んで来年の春位からWebでスタートしたいと思っています。旅行代理店の方や交通系の方が賛同してくれているので、その方たちと一緒に作る予定です。

片岡:ターゲットについてはいかがですか。中川さんのように働く女性達、それとももっと若い世代に向けて?

中川:最初は私のような働く女性だったのですが、食育等の観点からファミリー層と思ったり、20代くらいで自分の居場所探しをしている人に使ってもらうのも価値があるのかなと思ったりと、今検討中です。

片岡:将来的にはどのようにしていきたいですか。

中川:面白いコンテンツをリアルに作っていきたいというのはもちろんありますが、もしかしたらいつか限界が来るかもしれないし、子供が欲しいとか家族を持つとかなった時の状況が見えません。でもそういう世界観を作っていきたいという気持ちがあるので、そうするとプラットフォームみたいな、自分が現場に常にいられなくても何かできることがある状況を作っておきたいと思っています。

数十年後、私は多分80歳になっても働きたいと思うので、そうした時にいろんな可能性を残していきたいです。今はまだ見えないですが、100地域回ったら見えるかもしれませんね。

生まれたからには何かを残したい

片岡:改めてお聞きしますが、100箇所にアポ取るのって大変ですよね。雑誌社だったりすれば、相手側は取材だと分かりますが、そういう連絡が来るとは想像もしていない方達ですよね。

中川:そうなんですよ。電話して、「ツッテというメディアを」と言うと「は?」と言われて。釣り船はまだいいのですが、飲食店だとそういう持ち込み調理等のサービス自体を行っている場所がすごく少ないので普通に面倒くさがられます(笑)。だから開拓するのは本当に大変です。でも、PRの時もそうでしたが、怒られたりしても、断られてもまあ死ぬわけではないですし(笑)

片岡:いいですね。ダメもとで100件かけてみるって、ほとんどの人が出来るようでできないことです。100件達成するにはもっとかけているわけで、達成するためにはバックに達成できないところが何倍もあるわけじゃないですか。

中川:自分の叶えたいことがあるので、別にそこで断られても死ぬわけじゃなし、やってみたほうが損じゃないかなって思っています。

いつも思っているのは、死ぬわけじゃないからやりたいことを絶対にやりたいです。一方で、いつかは死ぬって思ってるんです。失敗したからといって死ぬわけではないけど、人はいつか必ず死にます。

最近、子供のことを考えます。自分が産むかどうかはわかりません。でも自分が生まれたからには、この世に何かは残したい。それは子どもかもしれないですが、まずはビジネスでと思います。メディアやプラットフォームかもしれませんし、会社として残すのかもしれません。

釣りのような地域に元々ある一次産業的なものの価値だったり、それをもっと楽しむという文化だったり、そういう礎を築けて死ねたらちょっと幸せです。

巷で言われるライフワークバランスは、私は別にバランスをとる必要はないと思っています。楽しければいいじゃないですか。ちょっと休憩したいと思ったらすればいい。死ぬわけじゃないので(笑)、もし迷っている人がいたら、是非新しいやりたいことをやってほしいと思います。


市ヶ谷のホームにて釣り堀をバックに
profile
中川めぐみさん
1982年富山県生まれ。GREE・電通で新規事業の立ち上げ、ビズリーチで広報などに関わる。その間に趣味としてはじめた釣りの魅力に取り付かれ「釣り × 地域活性」事業で独立。

釣りを通して日本全国の食、景観、人、文化などの魅力を発見・発信することを目指す。2018年は全国各地で女性や家族、ビギナーにオススメの釣り100回を計画。グルメニュース「Retty」、おでかけメディア「aumo」、日本の魅力を発信するメディア「レアニッポン Powered by Begin」などで釣りや港を起点とした情報の執筆を行う。

メディア出演・掲載:TBS「Nスタ」、日経産業新聞、日経MJなど

HP: https://tsutte.jp/
Instagram: https://www.instagram.com/megumi571101/
FB: https://www.facebook.com/megumi.nakagawa.376
(取材:2018年7月)
片岡英彦
株式会社東京片岡英彦事務所代表
東北芸術工科大学企画構想学科/東京ウーマン編集長
京都大学卒業後、日本テレビで、報道記者、宣伝プロデューサーを務めた後、アップルのコミュニケーションマネージャー、MTV広報部長、日本マクドナルド・マーケティングPR部長、ミクシィのエグゼクティブ・プロデューサーを経て、片岡英彦事務所(現:株式会社東京片岡英彦事務所)設立。企業のマーケティング支援の他「日本を明るくする」プロジェクトに参加。フランス・パリに本部を持つ国際NGO「世界の医療団」の広報責任者就任。2013年、一般社団法人日本アドボカシー協会を設立。戦略PR、アドボカシーマーケティング、新規事業企画が専門。東北芸術工科大学 広報部長/企画構想学科 准教授。
カメラマン:井澤一憲
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