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■ 東京ウーマンインタビュー


ヨガという軸、その延長にある演じるということ Vol.2

富良野の撮影は天気が主役

片岡:富良野は初めてですか。

真田:札幌と函館は来たことがありましたが、富良野は初めてでした。
富良野、旭川、美瑛富良野、もう降り立った時点からテンションMAXで、こんなに美しいところがあるんだ!って。あの地で撮影したからこそ、きっと心の中のいらない感情が全部そぎ落されたんだと思います。

片岡:あの倉庫のシーンなんかアートですよね。

真田:アートですよね。本当に全部1枚1枚絵が違うんですよ。同じ場所にあるのに、色が全部違っていて感動しました。素晴らしいですよね。

片岡:富良野で3週間撮影されたんですね。

真田:そうです。毎日みんなと天気を見ながら。

片岡:天気次第ですもんね。

真田:そうなんです。どのシーンも天気が重要だったので、天気が良ければこのシーン、天気が悪ければこのシーン。カメラ、照明、衣装、美術、全部セットしたけれど、天気が変わっちゃったから…移動!違うシーンを撮ろう!という感じで、私と眞島さんは、いつでもどのシーンも撮影できるようスタンバイしていました。そういった撮影でも、3週間ずっと同じ地で、寝食を共にしながらの撮影だったことでスムーズにいったのだと思います。

片岡:ネオン街もないところですからね。札幌なら、ついつい居酒屋へ行っちゃったり、美味しいもの食べちゃったりしますけど。

真田:そうなんですよ、夜になって撮影終えたら、本当に真っ暗になりますからね。

片岡:そこに住んでいる設定ですもんね、彼女は。

真田:そうです、それが良かったんです。

映像を超えて伝わるピアノの音色

片岡:一番印象に残っているシーン、見どころのところを教えてください。

真田:リョウスケにデートに誘われた春香が、行くかどうしようか迷ったあげく、やっぱり会いたくてリョウスケに会いに行くんですが、その後、一緒にカフェに行くシーンがあるんですね。
そこで春香が「もう私の音なんてないよね。私おばさんだし」って諦めの言葉を言うんですが、それをリョウスケが包み込むように、昔の曲を弾きながら今の音を出してくれる。それは「今のあなたもとても素敵だよ」という、愛情表現だと思うんですよね。そして、懐かしさとともに新しい何かを生み出した瞬間だと思うんです。
撮影の時に実際にピアノを弾いた方は、音楽を担当しているイ・ジスさんなんですが、ピアノを弾いた瞬間、私、心が震えて涙がポロポロポロポロ溢れてしまって。パッと周りを見たら監督も涙されてて、現場にいたスタッフのみんなも目が赤くなっていました。あの感動は忘れられません。

片岡:音だけでグッときますね。

真田:そうなんです。音ってすばらしいなと思います。そのあと「本番」となった時に、あの時は演技の…なんだろう…境界線みたいなものを越えていましたね。みんなの魂がその音によってきゅうっと集まっていて。あのシーンのリョウスケは言葉にならないけど言葉以上に伝わる表情をしていたと思いますし、春香も心を解放したような表情が自然と出てきたのだと思います。
ユン監督は、当初あのシーンをさらりと終える予定だったようなんですが、編集の段階でこれはとても重要なシーンになると思い変更したと仰っていました。音楽と共に思いや表情が乗ったあのシーンはすごく好きです。

片岡:音はすごいですね。映画って音、大事ですね。ずっと記憶に残ると思います。きっと何十年後も、ふと見たらその時のことを思い出されるかもしれないです

ヨガとの出会いが人との繋がりに

片岡:アメリカに住んでいたそうですね。

真田:はい、スタートは語学留学でしたが、その後ヨガに出会いインストラクターになり、結婚、出産もして、6年前に日本に戻ってきました。

片岡:その間にこういう芸能活動はされていなかったのですか。

真田:2001年にサンフランシスコに行ってから娘が生まれるまでの間、現地のテレビ局でレポーター兼スタッフとして働いていた時期もありました。アルゼンチンなど色々な国を回りました。レポーターだけでなく運転したり営業したり色々な経験をすることができました。その後、ヨガに出会ってすっかりはまってしまって、テレビ局をやめてヨガのインストラクターになるべくトレーニングをスタートしました。主人の仕事の関係でロサンゼルスに引っ越したのです、そこで色々なジャンルのある大きなヨガスタジオの先生との出会いがあり、キッズヨガやベビーヨガに出会いました。今思うと、そのスタジオでアシスタントにつかせてもらった経験は大きかったです。
帰国してもう6年ぐらいになりますが、主人の実家がバレエスタジオを経営していることもあり、そこでヨガクラスを主宰しています。結婚する前から繋がりのあった方も来てくださっています。

片岡:繋がっているんですね。

真田:繋がっています。中には「月とキャベツ」で共演した山崎まさよしさんのことがずっと好きだったという方がいて。「ずっと言えなかったんですけど、ヒバナちゃんですよね?」みたいなこともありました(笑)。
今回、「心に吹く風」に出る時は、ヨガをお休みしなきゃいけなかったのですが、そういうことも含め、みなさん楽しみにしてくださっています。

片岡:メディアも出られて会見もやられて、今真田さんの周りはすごいことになっているんでしょうね。

真田:応援して下さる方がいることは本当にありがたいなって、周りにいてくださるってことがなにより感謝だなと思いながら、一所懸命やっています

役作りとヨガに通じる共通点とは

片岡:ヨガをお仕事でやってこられて、今また女優に復帰という形になっていますが、ご自身の中ではどちらが自分の本業だと思いますか。

真田:そうですね…。ヨガの最終目的が、「自分とはなんなのか」という常に心を見つめなおすことなので、ヨガは職業というよりライフワークみたいなものです。

片岡:内面を、深堀りしていくんですね。

真田:はい、ヨガのポーズというのは練習の一部に過ぎなくて、ヨガは自分が何者なのかと考えていく時間がとても大切で、それは、役者として役に自分をどうやって近づける考える行為とリンクするところがあるんです。私は長い間演じることから離れていましたが、台本をいただいて、役と自分の共通点を見つけて落とし込むという作業は、ヨガと全く同じ感覚なんですよね。

片岡:だから最初におっしゃっていたように、三食食べる生活を送るということに繋がったんですね。どう演じるかじゃなく。

真田:そうなんです。アプローチの仕方がまったく一緒なので、「ヨガという軸があって、その延長で演じるということがあって、自分の体の一部が行く」という感覚です。

片岡:これからは、芸能活動というか女優としての活動はどんどんやる予定ですか。

真田:はい、自分自身が積み重ねて生きた人生のフィルターを通じての表現は、以前とはアプローチの仕方が変わってくると思うんです。その表現を求められるのであれば、自分自身をそこに反映してみたいという思いは強くあります。

 

同世代の女性たちへのアドバイス。

片岡:真田さんと同じくらいの年齢の女性の方で、20代の時はお仕事されて、結婚して子供ができてから仕事復帰しても今まで通り全力ではできないという方も多くいらっしゃると思います。そういう方にアドバイスすることはありますか。

真田:私の場合はベビーヨガというものがあったので、お人形とやるのではなく、娘と一緒にやるヨガを見せることで、実際に赤ちゃんにいいんだということをお伝えすることができたんですね。
生きることはすべて「ライブ」なので、今この瞬間を生きていれば、それで充分なんですよ。私たちってどうしても未来や過去のことを考えてしまうじゃないですか。結婚前のバリバリ働いていたスタイルが本来の自分の仕事のスタイルだと思われるかもしれないけど、すでに十分に子育てもしているし、今この自分ができることを100%されていると思うんです。だから、目の前の瞬間を大切に切り取って、そこで満足していけば後悔もないですし、周りに感謝できると思うので、焦ることはないと思います。

今こうやって私がお話しできていることをとても楽しいと思える、その瞬間を味わうという事を仕事の中でもやっていけば、とても素晴らしい時間の積み重ねになると思います。これからは年を重ねたからこそ感じる、大人の女性だからこそ感じる優しさとか、葛藤があると思うので、それを武器に楽しんで生きていけたらいいと思います。

片岡:ありがとうございました。

真田:ありがとうございます。

 

真田麻垂美さんプロフィール

1977年8月1日生まれ。神奈川県出身。95年、小栗康平監督の『眠る男』でデビュー。翌年の『月とキャベツ』で山崎まさよしを相手に、ヒロイン・ヒバナ役を演じ、注目される。01年の『忘れられぬ人々』のあと、米国へ留学。2015年に本作のワークショップオーディションで印象的な演技を見せ、春香役に選ばれる。その他の出演作に『しあわせになろうね』(98)、『きみのためにできること』(99)、『ブリスター』(00)、ドラマでは連続TV小説「ひまわり」(96)、「いちばん大切なひと」(97)、「ボーイハント」98)、「オルガンの家で」(99)がある。00年には自作の童話集「天気あめノート」を発表している。

カメラマン:相川朋子

『心に吹く風』

2017年/日本/84分 
監督・脚本:ユン・ソクホ
出演:眞島秀和/真田麻垂美 
製作:井田寛
協力:富良野市、ふらの観光協会、美瑛町
配給:松竹ブロードキャスティング、アーク・フィルムズ

松竹ブロードキャスティング

2017年6月17日(土)
新宿武蔵野館ほかにて全国公開

 

インタビュアー
片岡 英彦

株式会社東京片岡英彦事務所代表/東北芸術工科大学企画構想学科/東京ウーマン編集長

京都大学卒業後、日本テレビで、報道記者、宣伝プロデューサーを務めた後、アップルのコミュニケーションマネージャー、MTV広報部長、日本マクドナルド・マーケティングPR部長、ミクシィのエグゼクティブ・プロデューサーを経て、片岡英彦事務所(現:株式会社東京片岡英彦事務所)設立。企業のマーケティング支援の他「日本を明るくする」プロジェクトに参加。フランス・パリに本部を持つ国際NGO「世界の医療団」の広報責任者就任。2013年、一般社団法人日本アドボカシー協会を設立。戦略PR、アドボカシーマーケティング、新規事業企画が専門。東北芸術工科大学 広報部長/企画構想学科 准教授。

 

 

2017年


 


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