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関口 暁子 文筆家 doppo
大変なとき、嬉しいとき。ときに支えられ、ときには今以上に輝きを増すことができる。「言葉」というものは不思議な力を秘めています。今、私たちの目の前のステージにいる「あの著名人」も、誰にも知られず努力を重ね、感謝を繰り返し、ここまで生きてきたのです。 彼らがその長い「活躍人生」の中で支えに…
あなたに届け、輝く人の、輝く言葉(新シリーズ) キャリアアップ 2017-09-20
新しいあなたへ~新シリーズ「ココロの処方箋」~ヘッセの言葉⑥~

あっという間に夏が終わりました。

気温はまだ蒸し暑い日もありますが、真夏のような青空はめっきり少なくなりましたね。

暑すぎれば愚痴っぽくなりますが、それでも夏が終わってしまうと寂しいものです。

 

さて、小学生から高校生までの子供たちの自殺が多いのは九月と聞きます。

さあ新学期!という九月の初旬、新聞で若い命が自ら断たれたというニュースを目にするのは、本当に痛々しいものです。

子供を持つ親にもなると、他人ごとにも思えません。どうして・・・。遺族の悲痛な叫びも聞こえてくるような気がしてなりません。

 

一言いってくれれば。相談してくれれば。学校なんて休んでもいいのに。いざとなれば辞めたっていいのに。

親にとって、わが子の命より大切なものなどありません。

子供も大きな悩みを抱えているのでしょう。その小さな胸に張り裂けんばかりの悲しみが満たされていると思うと、いたたまれない思いです。

親にも友達にも相談できず、自分の中で解決しようとする。それが自ら命を絶つという結果になってしまうのは、悲しすぎます。

 

子供だけではありません。

大人でも、どうしても明日が来てほしくないと思うほどの苦しみが襲う時があるでしょう。でもどうか、命よりも大切なものはないと考え直してほしいのです。

 

自分の心の奥深くに、誰もそこへ足を踏み入れることのできない静かな山小屋のような場所を用意しておきなさい。

そして、何か困ったことが起きたとき、決断をしなければいけないとき、自分の道を確かめなければならないとき、そこへと戻って本当の自分自身の心とゆっくりと言葉を交わしなさい。

そこはきみだけの秘密の避難場所であり、きみが再び生まれ変わるたいせつな場所だ。

(「シッダールタ」)

 

この本のタイトルに見覚えのある方もいることでしょう。「シッダールタ」とはお釈迦様の名前として、日本では知れ渡っています。

ヘッセの書いたこの本の主人公はお釈迦様のことではありませんが、この本のシッダールタもまた、バラモンの僧侶です。東洋思想に関心を持っていたヘッセが、遠い東方の世界を描いた物語です。

 

眉目秀麗、頭脳明晰、そして格式高いバラモンの血筋に生まれたシッダールタですが、「自分の本当の師と真実」を求めて全てを捨てて旅に出ます。そして美しい青年だった彼も年を老いていくのですが、その旅の中で、悟りを得る様々な機会を得ます。

「体験したこと自体がすべて師である」と、学びは自身の実体験からしか得られない。との考えにいたります。

そして、幼馴染のゴーウィンダに再会したときに、生と死、苦悩と歓喜、善と悪。これらはつねに一つのものに宿っていると考え、「あらゆる真実はその正反対もまた同様に真実である」という境地にいたったと吐露します。

 

禅問答のような壮大なテーマですが、私はこの作品が大好きです。シッダールタのなんと人間臭いことでしょう。人は生きていく過程で、生きる意味を見つけるのだというヘッセの思想の基本が、随所に表れています。

 

本当に心を病むほどに、悩み苦しんだときに、こうしたことを冷静に考えることは、とても難しいのが現実です。

「死ぬくらいなら、逃げればいいのに」

周囲の冷静な人たちはそう口にしますが、そういう選択肢が思い浮かぶほど心が安定していないからこそ、悲しい結末を選んでしまうのです。

 

だからこそ、普段からいつでも逃げ場所を作っておきなさい、とヘッセは言うのではないでしょうか。人間は、習慣化していることを咄嗟のときに選ぶという性質があります。日常意識付けされていないものは、非常時に行動に移すことはできないのです。

たとえあなたが今、苦しみや悲しみの境地にいないときでも、今が一番、調子の良いときでも、あなた自身の心を落ち着かせてあげられる方法を、知っておく必要があります。

もしもお子さんや親せきや知り合いに、多感な若者がいたとしたら、どうかその重要性を日頃から、教えてあげてほしいのです。

 

あなたの心は誰にも邪魔されないよ。

あなたの真実は、あなただけは絶対に知っているのだから、自分を疑ってはいけないよ。

あなたの人生は、あなたの大切な宝物だよ。

 

そして・・・、あなたの味方はちゃんといるよ。

 

大切な命が失われることのないように。大切な心が折れてしまわないように。

悲しいニュースが多い季節にこそ、心にとどめておきたいものです。


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