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森山 亜希子 人材育成トレーナー(ダイバーシティ、コミュニケーション) Inner Diversity
ダイバーシティという、さまざまな意味と想いが含まれるコンセプトがこのコラムのテーマです。わたしたちの身近な生活、自然、芸術、旅などの視点から、ゆったりリラックスしながらも、一緒に考えてみられるコラムを目指しています。
ダイバーシティで過ごす日々 キャリアアップ 2015-01-23
フリーランスで流産を経験して思うこと

あけましておめでとうございます。
2015年が皆様にとって、素晴らしい1年となりますことをお祈り申し上げます。

新年早々に少し暗い話題となりますが、昨年11月に初めての妊娠・流産を経験しました。

あまりに個人的かつ悲しい体験のために、このことについて書くべきなのか、あるいは書くことができるのか、躊躇もしましたが、結果的には書くことにチャレンジしてみようと思います。

そう思った理由としては、フリーランスで働く女性が参考にできるような妊娠・出産、あるいは流産に関する情報がとても少なく、私自身もとても悩みながら対応しているためです。

私は会社員としての生活も10年以上送りましたが、個人的にはフリーランスという働き方は今の自分にはあっていると感じています。何らかの分野で、自分のできることを伸ばし、そのことで誰かの役に立てるというのは、シンプルでいてとても喜びがあります。

しかし1人で仕事を請け負っているわけですから、当然ながら決められた産休・育児休暇もなければ、急な仕事を代わってくれるチームメンバーもいません。

私はまず、11月に入り生理が遅れ始めた段階で、自分が妊娠しているのではないかととても心配になりました。というのも、11月には毎週のように担当している大学での授業があり、その他にも企業のお客様から依頼を受けている仕事が何本か入っていたからです。

妊娠しているかもしれないけれど、していないかもしれない。
もしかしたら安静にした方がよいのかもしれないけれど、その必要はないのかもしれない。

40歳を直前に控えて、初めて高齢での妊娠の可能性を前にしたとき、考えすぎない方がよいと頭ではわかっていても、毎日毎日ぐるぐると頭の中を考えが巡っていました。

結果的に妊娠しているとわかったのは11月中旬のことです。

とはいえ初めての健診時、医師からの言葉は

「妊娠はしていると思いますが、不安定な状況です。仕事を休んで、まずは1週間自宅で安静に過ごしてください。必要なら診断書も書きます。」

でした。

わたしは少しパニックになりそうでした。

まず、妊娠はこのまま継続できるのだろうか。大丈夫だろうか。
次に、本当にこれから1週間、安静にするために全ての仕事をキャンセルすべきなのだろうか。

妊娠初期は流産の確率が高く、15〜20%にもなると言われています。しかも流産の原因は染色体の異常などの場合が多く、安静にすることで防ぐことのできる流産は実はあまり多くはない、ということを以前に本で読んだことがありました。

私の頭の中では、またさまざまな考えが巡り始めました。

妊娠したことを、今の時期にまわりの人たちに言うべきだろうか?言わないと仕事は休めないけれど、もし妊娠が継続できなかったら、今度は流産の報告をしなければならないのでは?仕事を休まなくても、大丈夫な妊娠ならば影響はないのでは?もし無事に妊娠・出産できるとしたら、仕事はいつまでキャンセルせずに続けられるのだろう???

それでも今は妊娠しているんだ、と思うと嬉しさもありました。

一晩考えた結果、「やはり後悔だけはしたくない」と思い、結局翌1週間に入っている仕事を全てキャンセルする決心をしました。

仕事を休むことで迷惑をかけて本当に申し訳ない、という私の不安をよそに、連絡を受けてくださった方々の反応は、幸いなことに優しいものでした。

「おめでとうございます」「今は命を一番に大切にしてね」

と嬉しい言葉をたくさんいただきました。

流産が判明したのはその翌日、初診からわずか2日後のことでした。

体の様子がおかしく、心配になり再受診したところ、少し前の段階からお腹の中で赤ちゃんが全く育っていなかったことがわかりました。

○ ○ ○


この経験を通じて、命の大切さについて本当に考えさせられました。

どうして妊娠をもっと健やかな気持ちで迎えられなかったのだろう。
なぜ仕事の心配をするよりもまず、赤ちゃんの命のことを一番に考えられなかったのだろう。
待望の妊娠だったのに。

お腹の赤ちゃんのことも、もちろん考えました。けれども、人に迷惑をかけたらどうしようとか、今回のことで信頼を失ったらどうしよう、などもたくさん考えました。実際にインターネット上で鬼のように検索をして、妊娠を告げたことで仕事を打ち切られたフリーランスの方のコメントも拝見し、自分の取るべき方法に自信が持てませんでした。

普段ダイバーシティの仕事をし、女性を含めて誰もが尊重される組織を作ろう、誰もが認められる社会を作ろう、などと言いながら、いざ自分のことになると全然だめでした。

流産については、さまざまな考え方や受け止め方があると思います。
私は今回、学ぶために赤ちゃんがくれたギフトなのではないか、と思うようになりました。

あまりに悲しいショック療法でしたが、今回の経験を通じて、それまで持っていた欲や、見栄や、プライドのようなものが剥がれ落ちて、本来の素の自分に近づけたような気がします。

以前の私は、人に迷惑をかけることを極端に恐れていました。
だれかに助けてもらうことなく、すべて自力で向き合おうとし、自分だったら対応できると、どこか傲慢に思っていました。

しかし人が生きて行く以上、そんなことは現実的ではないのでしょう。

時にはだれかに助けてもらい、助けてもらった時には心から感謝をする。別の機会に自分ができる時には、だれかに助けの手を差し伸べる。

そうして助け合いながら生かしてもらうことを、学ばなければならいないのだと思います。
そうでなかったらきっと、仕事をしながらの子育てなどできないのでしょう。

結果的に、今回の妊娠と流産については、仕事で関わる方々に試行錯誤ながらお伝えすることになりましたが、本当にありがたいことに、たくさんの配慮と励ましの言葉をいただきました。
ご迷惑をかけていますが、それでも継続して仕事を依頼してくださる方々に、今後できる限りの形で恩返しができたらと思っています。

また、過去に流産を経験したことのある人が、実は周囲にもかなり多くいることも知りました。
流産は誰もができればしたくないと思う経験ではありますが、普段は表に出されることのないこうした痛みを共有できたことは、人生の大きな財産になりました。

今後また妊娠できる機会があるのか、今はまだわかりません。
その先の仕事や収入がどうなるのか不安もあります。

けれど、先のことを想像して心配よりも、毎日を大切に、ゆっくり楽しみながら過ごしていこう、そう少しずつ思えるようになってきました。

流産から2ヶ月経った今、こうして何とか状況を書き記すことができました。
フリーランスとして仕事をする女性の体験記として、今後同じような悩みを持つ方々がいらっしゃる際に、1つの参考にしていただければ幸いです。

 


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