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■ 東京ウーマンインタビュー


官房長官会見で「時の人」に Vol.1

官房長官会見で「時の人」に

首相官邸での菅義偉官房長官への定例会見で繰り出す質問で一躍時の人になった東京新聞社会部の望月衣塑子記者。その生い立ちから記者としての歩みをまとめた「新聞記者」が角川新書より刊行されました。記者になったきっかけから人生の転機、影響を受けたご両親のこと、定例会見に立ち続ける理由、働きながら子育てをする中で感じること等についてお話をお伺いしました。

新聞記者

著:望月衣塑子
刊行:2017年10月12日
出版社:株式会社KADOKAWA
体裁:新書判
頁数:224頁
定価:本体800円+税
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はじめに
第1章 記者への憧れ
第2章 ほとばしる思いをぶつけて
第3章 傍観者でいいのか?
第4章 自分にできることはなにか
第5章 スクープ主義の先に
あとがき
等身大の私は両親のいいとこどり
片岡:著書「新聞記者」に書かれていますが、お父さんは記者で、お母さんは演劇をされていたとのこと。望月さんの人格形成にはご両親の影響が多分にあったようですね。

望月:はい。父は業界紙の記者をしていました。第一線の中小企業の社長から話を聞き、これから日本がどういう方向に変わっていくのかを考えていく仕事でした。父も「面白いぞ」と言っていましたし、同じ記者として父親の影響を多分に受けていると思います。
母は、20代の後半で演劇に目覚めて、仕事をいくつも掛け持ちしていました。夕方4時ぐらいに仕事から帰り、家族のためにご飯を作って、6時ごろに子供達を残して出かけて行く。そのあと夜、稽古をして最終電車で帰ってくるという生活でした。母は、「演劇ほど面白いことはない。もっと早く出会っていれば」とよく言っていて、私にも同じ体験させたいと思っていたようです。兄弟は残して私だけだったのですが、舞台を見に連れていってくれました。
当時「ガラスの仮面」が流行していたこともあって、私もかなり触発されて、小学校から中学校1年まで、「舞台をやりたい」という気持ちがすごく強かったですね。中学1年で写真家の吉田ルイ子さんに出会って「ジャーナリストになりたい」と思うようになるまではそうでした。

片岡:声も舞台向けな感じですね、会見の質問の声が通るのがよく分かります(笑)。

望月:言われますね。声がでかいって(笑)。
特捜(東京地検特捜部)を回っていると、この声のまま話しているから嫌がられることが多かったんです。ここだけの内緒話ができない、と(笑)。官邸会見でようやく、「声が大きくて良かった」と思いました(笑)。

片岡:劇団員のお母さんと記者のお父さん、わかる気がします。

望月:いいとこどりな感じです。
会見に背負った思いと出版までの経緯
片岡:「新聞記者」を出版された経緯をお聞かせください。

望月:私は元々社会部で事件記者が長かったので、森友とか加計のような疑惑は「何か汚職の匂いがする」と惹かれます。森友学園の件が2月9日付の朝日新聞に掲載されました。最初は社会面でした。それを見て大阪ではすぐに各社が動いたのですが、東京では少し空気が違っていました。テレビ東京だけが塚本幼稚園の衝撃的な映像を放送したものの、その他の局は様子見しているようでした。

2016年10月の萩生田文書(各テレビ局に送られた「(前略)一方的な意見に偏る、あるいは特定の政治的立場が強調されることのないよう、公平中立、公正を期していただきたい」とした要望書のこと)が出されてから報道各社はとくに慎重になったように感じます。そのなかでテレ東が塚本幼稚園の放送で視聴率を稼いだので、各社も堰を切ったように報道を開始しました。しかし、うち(東京新聞)は現場である大阪が東京から遠いということもあり、ちょっと二の足を踏んでいました。

5月以降、加計学園の問題で、文部科学省の前川喜平前事務次官による週刊文春、および朝日新聞での告発から、読売新聞の紙面に掲載された「出会い系バーで貧困調査」という一連の流れもあって、ご本人に取材をしました。その中で、私自身様々な思いを目の当たりにしました。彼らが思いをぶつけたいであろう官邸に、その思いを背負ってといいますか、記者だからこそ質問をぶつけられるという思いも募っていったのです。本来、官邸の取材は政治部の記者が行いますが、当時の政治部長にお願いし取材の一員に加えてもらうことになりました。

実際、官邸で菅官房長官に質問してみたところ、反響が大きくて、6月8日の映像が報道ステーションやニュース23で流れ、それを見た株式会社KADOKAWAの編集者から「今回のこの質問の経緯を本にまとめませんか」と連絡をいただきました。

片岡:出版後の反響はいかがですか?

望月:おかげさまで好評です。「感情移入しやすいタッチで読みやすい」と言ってくださる方や、マスコミに将来進みたいという方がこの本を読んでくださったり、「すごく元気になった」みたいな声をもらっています。嬉しいですね。本にも記しましたが、私はエリートでもないですし、順風満帆だったわけではありません。この本を読んで、「こんな普通の人でもここまで頑張れるんだ」と思ってくださったら嬉しいです(笑)。
有名になったことのメリットとデメリット
片岡:官邸の定例会見での質問を通じて話題になる前と後とで、世間の望月さんに対する見方が変わりましたか?

望月:良い面でいうと、Facebookで何かしらテーマを決めて書くと、たくさんの人が拡散をしてくれることです。自分の思いや関心、問題意識を色々な人に伝えられるチャンスをもらえるようになりました。

一方でバッシングもあります。目立つことで叩かれますし批判も受けざるを得ない。

片岡:ご主人は現在の状況についてなんとおっしゃっていますか?

望月:夫は、「ネット上でネガティブな表現やコメントを見ると病むから、読まなくていいよ」と言ってくれます。炎上すると、すぐアドバイスしてくれたり、注意されたり。あとは「質問が長すぎる」とか(笑)。

片岡:この件は何か一段落ついた感じですね。

望月:残念ですが、つきましたね。いきなり質問時間を削減されてしまいました。政権側は状況をよく見ていて、メディアでどのくらい報じられて、世論がどのくらい反発感を持つかと値踏みしている感じがあります。

片岡:地味ですけどボディーブローのように効きますよね。

望月:効きますね。質問を重ねられませんからね。いろいろ考えて手を打って来ているなという感じがあります。「あと1問」「あと一人」など人数を区切られてしまいますし、手を挙げているのに「ではこれで」と終わらせてしまうんです。昨日も2問ぐらいで終わってしまいました。9月以降は一人1問でということも重なりました。
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