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■ 東京ウーマンインタビュー


女性支援、地域おこし。人が元気になる場づくりをVol.2

女性がリーダー。女性躍進社会の新しいカタチ
片岡:僕が今45歳で、同世代の女性は仕事と家庭の両立は出来ている方は多いのです。

でも、例えば男性と競って同じ部長のポストを争うことになると不利だと。相手には専業主婦の奥さんがいて、あるいは子供がいなくて・・・、と比べると自分には子供がいて、旦那さんのサポートしつつ働いてて、それは不利だよねっていう話になったんです。

普通に戦っちゃ勝てない、だから‘女性ならではの新しい働き方’というのか、戦い方がありそうなんですけれども、いつまで経ってもなかなか良い答えがなくて堂々巡りしてるような・・・。

安倍:私の周りには、私もそうなんですけれども、女性がリーダーで、方向性を示し、その下で細かいことをやってくれる男性たちがいるんです。そういった形で組織を作ったり、というのはひとつのいい形かな、と思っていて。今までは、『女に使われたくない』という男性が多かったと思うんですが、いい関係性があれば、意外にも新しい形が出来ていくのかもしれません。

でも、女性が男性と同じように昇進だけを目標にしていくと女性にはきついかなと感じますね。男性の方がやっぱり戦うっていうのは向いているんじゃないかな、もちろん上にいって頑張れる、もちろん環境的な有利さもあると思うんだけれども、持ってる資質的なものもそうなのかもしれません。

信澤:競争社会に勝つ意欲と力はありますよね、確かに男性の方が。
少女時代、学生時代の夢について。
片岡:政治家の方は、叩かれることもあれば反対されることもある、それが仕事だから仕方ないとは思いますが、一方でご夫人の方は割とニュートラルというか、ご夫人のことを言う人ってあんまりいませんよね。昭恵さんご自身が政治家になりたいと思ったことはありませんか。

安倍:ないです。

片岡:ないんですか。それはやりたくないと?

安倍:その能力がないし、毎日仕事するっていうのは嫌だし。

片岡:キャリア職の志向ではない?

安倍:もう、すごい怠け者なので、できる限り怠けていたいというところが(笑)。

信澤:ご主人がアグレッシブな方ですが・・・。

安倍:周りの人に聞いたら、私は全然アグレッシブじゃないし、ちゃんと仕事をするタイプでもないというのはわかると思います(笑)。でも今は、こういう立場になったのもそうですが、私に与えられた使命なんだろうなと思って。来たものは一生懸命させていただきたいなというふうに思っています。

片岡:昭恵さんが少女時代や学生時代に憧れてた夢や、なりたかったものはありますか?

安倍:特にないんですよね。『結婚したい』っていうのは夢といえば夢だったのかな。

会社に入っては、局長の秘書みたいなことをしていたので、周りでバリバリ働いている人たちを見ると、私も何年も働いて仕事ができるようになったらいいなとは思っていました。けれど、結婚が決まったときはもう当然のようにやめる選択しかなかったのです。
同世代の女性の生き方、これから
信澤:昭恵夫人の年齢の層の方は、ネガティブな言い方かも知れませんが、社会的にそうせざるを得ない、それが普通だった時代なのかなと。一方で、その世代の方々は購買権を持っていたりと経済につなげていくような意見を持っていると思うのですが、例えば企業のマーケティングの部分でご意見をいただくようなかかわり方を作っていったりと、昭恵夫人から見た時にもっと、企業や民間が活用できるのでは、と感じられることはありますか。

安倍:私の周りはそれなりに皆、外から見る限り幸せな結婚生活をし、子育てがようやく終わりかけていて、これからどうしよう、という人たちがたくさんいるわけですよね。

私がちょっとボランティア的なことをやってると『一緒にやりたい』とか、『何かあったら声かけて』という人たちがちょっとずつ増えてきている感じではありますね。

子供たちに向けに英語教室を始めたりとか、昔やっていた幼稚園の先生に戻ったりとか、インテリアコーディネーターの資格をとったり、カウンセリングの資格をとったり、自分の趣味を活かしたりとか得意なものを活かして何か次の人生に向かっていて。センスも良いので、彼女たちの意見というのは、私はすごく活かされるんじゃないかな、と思っています。

今、若い人はものを買わないと言われています。これから更にものが売れなくなる時代になるとも。その中で、ものをどうやって売っていくか、いいものがあれば私たちはまだ買う世代だと思うので。同世代の女性のネットワークを活かし、口コミからはじまり、『あの人たちが言っているならいいらしいよ』と広がっていく事もあるかも知れません。

私はそういう人たちが日本の伝統工芸みたいなものを本当にきちんと理解して購入し、それを発信して海外に対しても発信していけたらいいなあと思ってはいるんです。

片岡:それで言うと今、改装中の山口の「UZUハウス」は、日本のものを地方から海外へ発信する、という目的もあるんですよね。
地方と都心、世界を繋ぐ拠点「UZUハウス」。
安倍:「UZUハウス」は、ゲストハウスなんですが、そこに泊まりに来る人たちは1泊3000円ぐらいでバックパッカーのような海外から来るような若い人たち向けの施設です。

部屋には2段ベットがあって。1室だけスイートを作ろうと言っているんですが、関門海峡にすぐ面したところで立地は凄くいいので、海外からの若い人たちや国内の人たち、主に若い人たちになるかと思いますが、その地域のお年寄りから子供たちまでいろんな人たちが交流できるような場所にしたいな、と。あと、シェアオフィスも作ります。

地元の人たちからするとシェアオフィスは机一つで1万8000円は高いと言われるんですが、東京の人たちからすれば全然高い値段ではないので、知り合いで活躍している有名な人にも借りて貰い、時々来てもらうことで、地元の人たちと交流できたり、一緒のオフィスに居る、という付加価値もついて、地元に活気も出ると思うので。
地方の若者について
片岡:地元で若い人たちにはどういう印象を抱いていますか。僕は今、山形の東北工科芸術大学の准教授をしていて、週に3日は山形で教鞭をとっています。授業をしていく中で感 じる事なんですが、女の子がとても元気なんですよ。『プロジェクトをどこかの企業と組んで何かやる人手を挙げて』とやると、わーって手を挙げたり、無茶し てでもやってみよう、とチャレンジ精神が旺盛な子が多いです。

安倍:どうでしょうね。確かに女の子も元気のいい子はいるし、男性でも頑張っている方もいます。でもまだまだ保守的なのかも知れません。私が関わっている人たちは、山口県の選挙区においては自民党を応援している人がいるんですよね。

お父さんの会社を息子が継いでいるような人たち、あるいは工場等で働いている人たちと若手グループが2つあって、あまりそこから飛び出していく感じではなく、そこで普通に、一生安定した生活ができればいい、この地域のためにリスクを負っても何かをやるみたいな感じでもない印象も受けます。

他の地域でもあるかも知れませんが、年配のうるさ型がいたりすると、なかなか新しいことができない、と。しようと思うと足を引っ張られたり、上から抑え込まれてしまって、シュンとなってしまったり・・・。地域のみんなが知ることになるんですね、田舎というのは。

片岡:長く住んでると特にそうですよね。

安倍:あそこの息子は、あそこの娘は・・・と、みんなが事情を知っている、世界です。

そういう中で「UZUハウス」は下関で高校まで出て、東京の大学に出てきて、設計士になった沖野さんという男性が『ゲストハウスをぜひやりたい』ということで相談されて、私もそういうことが出来たらいいなとちょうど思ってたときでもあったので、じゃあやろうっていうことになって、物件を探したらまたいい物件があったんです(笑)。

でもそれが、築40何年の6階建て。全部改修工事するのはものすごいお金がかかるんですよね。今、クラウドファンディングでお金を集めているんですが、それだけでは全然足りなくて銀行に融資をお願いしている状況です。普通だったら貸していただける額ではないんですが、‘地域おこしのプロジェクト’ということでお願い出来ることになりました。

ちなみに沖野さんは自分で経営していた東京の設計事務所を閉め、そこで働いていた人たちを他のところに引き取ってもらって。それで下関に帰る決意をしたんですね。奥さんは単身で東京に残ると言っていて。子供がまだ小さいんですけどね。
「地方」×「地方」で、面白い地方創生に?
片岡:そういう元気のいい若い方たちにこれからメッセージを発信していく、あるいは集まってきていろいろサポートし合ったり。全国にそういった流れが広まればいいですね。

安倍:ですね。実は、全国みんないろんなプロジェクトやっていて、知らないだけで面白いことやっている人がいっぱいいらっしゃるんですよね。

私が繋げていくことができればと考えています。東京とある地域は繋がっていても、その地域でやっている人たちが意外と他の地域でやっていることを知らないこともあるので。地方がどんどん繋がっていくと、もっと面白い地方創生になるかなと思っています。

萩にカリスマ的なオーナーでゲストハウスをやっている方がいるんですが、全国から彼のところを見に来るんです。先日3月11日には、被災地でもある宮城県の山元町に行ったんですが、MIGAKIハウスという普通の民家なんですが、そこをゲストハウスにしたいっていう人たちがいて、そこもUZUと連携しましょうよ、という話があったり・・・。

同じような志を持ち、地域の人たちとよそから来た人たち、海外から人たちと交流して、この地域を活性化させたいので、プロジェクトが出来たら、ということだったので、全国のそれぞれの地域の人たちがアイデアを持ち寄って。今までは、自分のところだけ大きくなろう、囲い込もうといった意識がありましたが、今はみんなでシェアする時代。

信澤:そうですね。今流行りのシェアリングエコノミーじゃないですけど、情報のシェアのような観点で。

安倍:どんどん広げていけたらいいなと。首相公邸にも広い部屋があるので、各地でいろんなことをやっている人に集まっていただいて、情報交換をしたりもしてるんです。するとみんなすごく刺激を受けて、新しいコラボレーションが生まれていったりしているんです。
”人の魅力”に集う。これからの地方の可能性。
信澤:あと、例えば「UZUハウス」でスタッフが不足している、等の問題が出てきたときに、UZUの学校の女性の生徒さんでやりたい人がいればスタッフとして起用したり、女性の活躍とUZUのハウスの方と紐づけていく等のお考えはありますか。

安倍:特別に考えていたわけではないのですが、UZUハウスではこれからいろんなプロジェクトをやっていきたいなと考えています。地元の人たちだけでは呼べない、私の人脈等を活用して講師の人たちに来てもらい、セミナーやプロジェクトを企画していきたいと思っているので、そういう中で女性たちにも協力してもらえることがあれば協力してもらえたらと思っています。

核になっている人がいると、その求心力で人が集まってくるんですね。その人ひとりによって地方の魅力が何倍にもなっていく。

最初は東京からイベントに来ていただけの人が地方に移住してきた、というケースも見受けられます。だから、最初から移住や定住を呼びかけたり、地方に働きにきて下さい、というのではなくて、各地で魅力的な人がいるところに行って貰い、その地域の良さをまずは知って貰い、何回か通ってもらって、もしかしたらここなら住めるかもしれない、ここならこういう仕事が出来るかも知れない、という広がりが定住や移住に繋がっていくのかも知れませんね。
新しい、ファーストレディの姿?
片岡:それにしても、歴代のファーストレディの方でも、昭恵さんはアクティブでちょっと違うと言われると思うんですが、そう言われることに関して何かしら抵抗がありますか。それとも逆に違っているほうがいい、私は私のやり方っていうふうに思われていらっしゃいますか。

安倍:よく言われるんですけど、今までは総理夫人のみなさんもそれぞれにライフワークがあったりテーマをもっていて。例えば福田夫人においては各国のファーストレディ―たちにアフリカで母子手帳を普及することを促したり、橋本夫人にしても動物愛護とか色々なご活動をみなさんされていらっしゃって立派です。

私はFacebookをしていますが、取材もしてくださる方もいらっしゃるので、発信をしているという意味では大きいのかなと思いますが、そこまで特別なことをしているということでもないと思っています。

片岡:昭恵さんのFacebookのお写真も、農業のビジュアルですね。

信澤:他の記事を見ても、あれ?もしかして、昭恵さん!?と驚くこともあります。

安倍:若い人たちが好きなので、高校生や大学生とか、若い人たちと付き合っているっていうのも割と大きいのかな。そういう子たちに私が動くことで、自ら声をあげてもらおう、という気持ちもあるんです。

片岡・信澤:ありがとうございました。
告知リリース

安倍昭恵校長のUZUの学校
第6回講義
「環境と暮らし方」


●開催概要
日時:2016年4月16日(土)13:00~18:00
会場:講談社2階ホール(東京都文京区音羽池尻2-12-21)
※地下鉄有楽町線「護国寺」駅6番出口から約1分
主催:UZUの学校実行委員会
参加費:4,000円(高校生以下2,000円 ※要学生証)
参加資格:49歳以下の女性で、UZUの学校の設立趣旨に賛同する方。

パネリスト:
小野寺 愛氏(国際交流NGOピースボード)
谷尻 誠氏(SUPPOSE DESIGN OFFICE代表)
ちかけん氏(池田親生氏、三城賢士氏(竹あかり総合演出家))
中島 治美氏(環境省自然環境局国立公園利用推進室 室長補佐)
畠山 信氏(森は海の恋人 副理事長)
藤波 祥子氏(宮城県亘理郡 八重垣神社 宮司)
※安倍昭恵校長の他、モデレーターとして小川和也(グランドデザイン株式会社代表取締役社長)、米良はるか(Ready for? 代表取締役)がパネルディスカッションに参加します。
安倍 昭恵さん
内閣総理大臣安倍晋三夫人。
1962年6月10日、東京都生まれ。聖心女子専門学校卒業。立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科修士課程修了、修士号(比較組織ネットワーク学)取得。

1987年、安倍晋三氏と結婚。地元山口県下関市で無農薬のお米「昭恵米」を作り、選挙活動中は議員の妻として地元で遊説を行う等、地域に根付いた活動をする一方で、ミャンマーの学校(寺小屋)作りを手伝う等、国内外問わず社会活動に力を入れている。

2012年10月、東京・内神田に、地元山口の郷土料理を食べさせる居酒屋「UZU~うず~」を開店。海外の要人も訪れる人気の店となっている。現在は「UZUの学校」や 山口のゲストハウス「UZUハウス」等、更なる女性支援や地域おこしに取り組んでいる。

公式ホームページ:http://akieabe.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/akieabe

著書
『どういう時に幸せを感じますか? (アッキーのスマイル対談)』(ワック)
『安倍昭恵の日本のおいしいものを届けたい! 私がUZUを始めた理由』(世界文化社)
信澤 みなみ
2012年、早稲田大学人間科学部卒業。某人材総合会社の中で初コンサルティング社内ベンチャーカンパニーへ新卒第1期生として入社。ITベンチャー企業・ミドル規模の企業経営支援にコンサルタントとして従事する。2014年4月、社内ベンチャーの独立に伴い、会社の立ち上げメンバーとして女性プレーヤー第1号の参画を果たす。幼少期の頃から関心を持っている「個人の強みを活かした組織活性」をテーマに、現在は独立プロフェッショナルやビジネスシーンに復帰していない女性が「経験知見を活かして複数社で活躍する」仕組みづくりをするために、事業立ち上げに従事している。
片岡 英彦
株式会社東京片岡英彦事務所代表
東北芸術工科大学企画構想学科/東京ウーマン編集長
京都大学卒業後、日本テレビで、報道記者、宣伝プロデューサーを務めた後、アップルのコミュニケーションマネージャー、MTV広報部長、日本マクドナルド・マーケティングPR部長、ミクシィのエグゼクティブ・プロデューサーを経て、片岡英彦事務所(現:株式会社東京片岡英彦事務所)設立。企業のマーケティング支援の他「日本を明るくする」プロジェクトに参加。フランス・パリに本部を持つ国際NGO「世界の医療団」の広報責任者就任。2013年、一般社団法人日本アドボカシー協会を設立。戦略PR、アドボカシーマーケティング、新規事業企画が専門。東北芸術工科大学 広報部長/企画構想学科 准教授。
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