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■ ADV(アドボカシー)な人々 #08


クリーマ株式会社 代表取締役社長 丸林 耕太郎 「いまのきもち」 vol.2

谷本氏:いろいろなイベントもされていますが、リアルとサイトとの大きな違いはありますか?

丸林氏:サイトを見ている時って、その瞬間10万人が一緒に見ていても、自分しか見ていない感覚ってありますが、イベントは人が作り手のところに群がっていて、「これ欲しい」とか「どうやって作ってるんですか」といった会話をリアルで見て取れますね。そういった違いはありますが、本質的にサイトの中の「場」で起きていることと結構近いものがあるんです。

言葉で伝えるか、テキストで伝えるかの違いで、サイトの中でも作品に込めた想いとか、どういう素材で作っているか、作っている風景はこんな感じといったことも皆さん表現されているんです。なので僕らの感覚としては、イベントはサイトの中で起きていることが、リアルに飛び出しているという感覚はあります。

谷本氏:海外でもイベントをされていましたが、海外だと反応は全然違ってくるんじゃないですか?

丸林氏:少し前にドイツでしましたが、そこで印象的だったのが、あるドイツのデザイナーの女性から「日本はなんてクリエイティブな国なんだ」と絶賛されました。それを聞いたときはやってよかったと思いましたね。日本の「強烈な自分が無い、自分らしさ」みたいなことがすごく出ていて、僕の中でも理解できました。

宗教でも基本無宗教ですし、音楽でも日本発といえば演歌しか思い当たらない。和食といっても他の食事の要素を取り入れたり、ラーメンも中国のものだったかもしれないけど、日本は世界でも圧倒的に美味しい。いろんなものを許容して受け入れて、それを自分なりに解釈してアレンジして発信するクリエイティビティなところが圧倒的に長けているんじゃないかな。あとは日本特有の繊細の技術というところが伝わったかなと思います。
片岡氏:その昔、お椀にしてもお皿にしても、日本では職人が一個一個手作りするものを当たり前に家で使っていたじゃないですか。それが近代化というか、高度成長の過程で大量生産の既製品でお洒落なものがカッコいい時代になりました。さらにバブルがはじけ、デフレの時代になると100均で売っているような、値段は安くてもクオリティはそこそこのものも出てきました。

でもそれを最近の若い世代が喜んで買うといえば、必ずしもそうでもなかったりします。阿佐ヶ谷の骨董品屋さんなどに行くと、200円とか300円くらいの欠けた古いしょうゆ小皿を1時間かけて探すみたいな、そういう古き良きものへのこだわりというか、簡単に手に入らないからあえて面白くて良いみたいな、そんな風潮もあったりします。こうした流れの中で、一品ものだったり、手作りのものを、もう少し手軽に欲しがるというか、必要とされているというニーズを肌で感じることはありますか?

丸林氏:僕は1979年生まれなので、物心ついたときはもうバブルは崩壊していたんですけど、高校生や大学時代、彼女のプレゼントに良いものをあげたいとなると、超王道のど真ん中でいえばルイ・ヴィトンだったんですね。右向け右みたいに、ヴィトンなら間違いないというような。僕らの世代って、バブルは経験していないけど、そういうブランド志向というのが未だ残っていた世代でもあるんです。

僕らが高校生や大学生の時代に派手だった友人たちは、うちのサービスは使わないだろうなという感覚がありましたが、そんな友人たちが「こんなかわいいもの初めて見た」とか「ずっと家で眺めてる」とか言ってるのを見ると、これは年齢的な問題なのか、社会的なことなのかはよくわからないですが、やっぱりみんな価値観が変わってきているんだなと思いますね。
谷本氏:今の若い子にそういった感覚が増えていると思いますが、購入されるユーザーさんは若い方が多いんですか?

丸林氏:ユーザーの年齢層は幅広いですが、仰るようにネットネイティブ世代と言われる20代は、さっきの話のルイ・ヴィトンのような共通概念を持っていないので、自然にすっと入ってくる感じはありますね。ですが、僕の母親は、デパートの外商の人が家に来てブランド品を買ったりしていたタイプなんですが、「こういう方が面白いね」と言ってサイトを繁盛に使ったり、作家さんの個展があることを口実に親父と一緒に旅行に行ったりしていますね。

片岡氏:最初に目的があって訪れるんですね(笑)

丸林氏:そういうことって結構聞くんです。クリエイターさんが京都で個展をすると、クリーマのユーザーさんが来てくれましたとか。そこまで足を伸ばすとなると年齢を重ねた女性が多いようで、ユーザーには40代から60代の方も結構いらっしゃいます。出品されているものも横幅が広いからでもあるでしょうね。ジュエリーでもファッションテイストから伝統工芸を使った作品までありますから、それ相応のユーザーの幅があります。
谷本氏:私の職業柄、KDDIさんとの業務資本提携が気になるのですが、今後もそうした資本提携を続けて資金調達をされていこうと思っていらっしゃいますか?

丸林氏:資金調達を今後も続けていくかというとまだ明確では無いですが、資金調達というより、KDDIさんにはサービス面でクリーマへの導線を引いてもらうということを進めていて、間口が圧倒的に大きくなります。より多くの人に、クリーマに集まる素晴らしき作品を届け広げていくというところが今回の提携です。

今のクリーマの規模ぐらいになると、月間1000万くらい広告に使うケースが多いんですが、うちは今まであまり広告を打っていないんですね。テレビCM打ってとなると、ちょっとテンション違うよなというのもありますし、どちらかというと自然発生的にコミュニティ感覚で広がっていくイメージが近いので、マーケティング戦略もそっちにおいていたんです。ですが、月間ユーザーが100万人以上になって、出店作家さんも2万人を超えてきたので、そろそろ次の大きい世界に出るべきタイミングなのかなと思っているところだったんです。

片岡氏:今からは、売る側と買う側ではどっちを増やしたいですか?

丸林氏:これは「鶏と卵説」と同じで、買い手だけ増えていっても買い手は満足できないですし、売り手が増えていくと、今度は売り手が満足しない。両方どっちも波状的に増えていかないといけないというスタンスだと考えています。
谷本氏:ECサイトだと、ネットを知っている若い世代の出店者の方が多いと思いますが、伝統工芸の方に営業を掛けたりされるのですか?

丸林氏:立ち上げの頃はそういうことでもしないと集まってもらえませんでしたから、いいなと思ったアーティストの個展に行って、お話するというようなこともしていましたが、さすがに今は難しいですね。今では全国で活躍されている素晴らしい作家さんが集まっているベース基盤ができたかなという感覚はあります。

片岡氏:変な質問ですけど、作品の写真を撮ったり原稿書いたりしてネット上にアップしているのは、全て作家さんご自身ですか?

丸林氏:そうです。出店者は自由に出店できるので、自分で作品の写真を撮って、自分で文章を書いてアップしてくださいということが基本です。

谷本氏:そういうところも、それぞれの作家さんだったり作品の個性になってサイトに現れていますよね。後で改めてじっくり拝見します!
丸林 耕太郎
株式会社クリーマ/代表取締役社長 クリエイティブディレクター、 文化服装学院/講師
Creema(クリーマ) ハンドメイドインジャパンフェス クリーマクラフトパーティー 総合プロデューサー

1979年・横浜生まれ。慶応義塾大学在学中にプロのDJとして国内外で活動するも、 大物経営者との出会いから強烈なインスピレーションを受け起業家となることを決意。3年間の修行と位置づけ新卒入社した大手インターネット広告代理店で マネジャー・営業部長・事業部長を経て退社後、2009年に株式会社クリーマを創業。

2010年に日本初となるハンドメイドマーケットプレイス「Creema」をリリース以降、 クリエイターの祭典「ハンドメイドインジャパンフェス in 東京ビッグサイト」、 関西最大級のクラフトマーケット「クリーマクラフトパーティー in インテックス大阪」、 常設セレクトショップ「クリーマストア in ルミネ新宿2」など、クリエイターに光を当てた新サービスを次々に展開。

2014年6月には、KDDI株式会社より、グローバル・ブレインが運営する 「KDDI Open Innovation Fund」を通じて1億円の資本提携を受け、業務提携を開始。「世の中のおかしなことを、事業を通して次々にハッピーな状態に変革していく、 21世紀型の一大コングロマリットを創る」と豪語する気鋭の経営者である。
URL:Creema(クリーマ) FB:kotaro.marubayashi
片岡 英彦
コミュニケーションプロデューサー
株式会社東京片岡英彦事務所 代表取締役
一般社団法人日本アドボカシー協会代表理事
世界の医療団(認定NPO法人)広報マネージャー

1970年東京生まれ。京都大学卒業後、日本テレビ入社。報道記者、宣伝プロデューサーを経て、2001年アップルコンピュータ株式会社のコミュニケーションマネージャーに。後に、MTVジャパン広報部長、日本マクドナルドマーケティングPR部長、株式会社ミクシィのエグゼクティブプロデューサーを経て、2011年「片岡英彦事務所」を設立。2013年「株式会社東京片岡英彦事務所」代表取締役、「一般社団法人日本アドボカシー協会」代表理事に就任。企業のマーケティング支援の他「日本を明るくする」プロジェクトに参加、フランス・パリに本部を持つ国際NGO「世界の医療団」の広報責任者を務める。
マガジンハウス/Webダカーポではインタビューコラム「片岡英彦のNGOな人々」を連載中。

株式会社東京片岡英彦事務所
HP: http://www.kataokahidehiko.com/
FB: kataokaoffice
谷本 有香
経済キャスター/ジャーナリスト
山一證券、Bloomberg TVで経済アンカーを務めたのち、米国MBA留学。その後は、日経CNBCで経済キャスターとして従事。CNBCでは女性初の経済コメンテーターに。英ブレア元首相、マイケル・サンデル教授の独占インタビューを含め、ハワード・シュルツスターバックス会長兼CEO、ノーベル経済学者ポール・クルーグマン教授、マイケル・ポーターハーバード大学教授、ジム・ロジャーズ氏など、世界の大物著名人たちへのインタビューは1000人を超える。自身が企画・構成・出演を担当した「ザ・経済闘論×日経ヴェリタス~漂流する円・戦略なきニッポンの行方~」は日経映像2010年度年間優秀賞を受賞、また、同じく企画・構成・出演を担当した「緊急スペシャル リーマン経営破たん」は日経CNBC社長賞を受賞。W.I.N.日本イベントでは非公式を含め初回より3回ともファシリテーターを務める。現在、北京大学EMBAコースに留学中

HP: http://www.yukatanimoto.com/
FB: yuka.tanimoto.50
2014年9月/衣装協力(谷本有香氏):Otto, オットージャパン/撮影協力:竹内佑
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プロフェッショナル談


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