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■ 素敵女子ランチトーク


第4回 ココがヘンだよ、日本のダイバーシティ

経済ジャーナリスト 谷本有香さんの座談会。今回のゲストはドイツ・ミュンヘン出身で日本歴16年のサンドラ・ヘフェリンさんと、イタリア出身で日本歴10年のミノポリ ジョバンナさんです。

ココがヘンだよ、日本のダイバーシティ

谷本:いまや日本では、『ダイバーシティ』という言葉は流行語のように氾濫し、多くの企業が取り組んでいる重要なイシューです。客観的に日本のダイバーシティをどうご覧になっていますか?

ジョバンナ:私はある日本企業に8年間勤めましたが、「外国人」であること、「女性」であることを否が応でも意識させられたと感じています。実際にその会社に勤める欧米人は私一人でしたし、ことあるごとに「外国人だから」「女性だから」と言われて、仕事の任され方にフィルターがかかり、「一人の人間」として仕事をしている、という認識に立てなかった感覚があります。

例えば、あるグローバル化関連の仕事を任された場合でも「外国人だから」といって特別にプロジェクトメネージャーの責を担うのですが、実際にはその権限は持たせてもらえなかったり、と「特別扱い」される良い面と、反面その責任ある地位にはつかせてもらえない、といった不思議な扱いを受けていました。

サンドラ:職場に男性が多い中での「女性」、日本人が多い中での「外国人」と、特別だからこその扱いなのでしょうが、覚えてもらえる、特別扱いしてもらえるという良い面もあるかもしれませんが、一方その反面、差別を受けている感覚はありますね。

例えば、「…ならではの」といういい方があります。「『女性ならではの』『外国人ならではの』の意見が聴きたい」などとよくいわれますが、外国人でも国によって、文化によって異なるわけですし、十把一絡げにはできないはずですよね。良い意味でこの言葉を使っているのだと思いますが、この言葉の持つ危険性(一般化できない)も感じますね。

ジョバンナ:私はその会社で、グローバル化するための役割を担っていたのですが、グローバル化にも色々手段はありますね。例えばその会社はメーカーで一般職の女性が制服を着る会社だったのですが、グローバル企業に制服はなじまないだろうということになり、制服をなくすプロジェクト活動をしました。

ただ、制服廃止の説明会をしても、女性からの反発もあり結局制服はなくなりませんでした。理由は様々あるでしょうが、制服があれば会社用にスーツを揃える必要はない、漂白剤を使うような女性しか担当しない仕事もあるので、会社の仕事のために私服を汚したくない、お出かけのためだけに私服を購入したい、など意見もでました。

サンドラ:イギリスを除いて欧州には制服の文化はありませんからね。日本では学生時代(中学や高校など)に制服文化がありますから、違和感自体もないのでしょうね。

谷本:日本はある種、制服への信仰もあります。例えばキャビンアテンダントの制服や、丸の内OLの制服など、好きなのは男性だけではなく女性もでしょう。その制服を通じて、ブランドを着ている感覚があるかもしれません。

ジョバンナ:グローバル企業としての「形」から入っても、制服といったその形、風習に理由もあるのでしょうから、グローバル化とは何か、ダイバーシティの本質とは何か、が問われるのだと思います。

谷本:日本のダイバーシティは、社内公用語を英語にする、取締役の何割を女性にする、など方法論だけでまだ終わっているように思います。本質的なダイバーシティを実現するために何が必要だと考えられますか?

サンドラ:形から入るのはいいと思うのですが、それは柔軟性のある考え方が前提にあっての制度だと考えます。その柔軟的な考え方がなく、形だけ導入してもちぐはぐになってしまう。

少し卑近な例ですが、私は母が日本人、父がドイツ人のハーフです。顔はご覧の通り外国人なのですが、育ったのはドイツと日本ですので、英語はそれほど得意ではなく、ドイツ語と日本語を話します。そのため就職活動時には困りました。面接官は私の履歴書ではなく、顔をみた第一印象で、英語前提の質問をされたりするのですね(笑)。

まだまだ日本では、欧米人イコール英語スピーカーという認識なのは仕方ないかもしれませんが、欧米にも英語圏以外のヨーロッパの国々も入りますからね。また私のような、顔は外国人だけど日本語がネイティブスピーカーというハーフの人も最近多いでしょうから、多様性や柔軟性も広がればよいですね。

ジョバンナ:確かに第一印象からか、私が日本語をしゃべるとレストランなどで驚かれることも多いです(笑)。その方の頭の中でうまく変換できないからなのか、日本語をしゃべっていても、私の顔をみて日本語をしゃべっているとは思えないらしく、聴き返されることはしょっちゅう(笑)。

住いが茨城ですので東京とは違うのかもしれませんが、まだまだ日本には外国人が少ない証拠でしょうね。私は海外赴任前研修などのグローバル人材研修や、異文化理解を大学で教えたりしています。その中でいつも念頭においているのは、ダイバーシティを真に理解するためには、何故理解する必要があるのか、具体的なケースを事例に無理解の問題点を伝え、意識を高めてもらうことです。極論を言えば、他者は自分とは異なる人間です。

育ってきた背景や環境、文化、考え方から全て、自分と同じ人はいないのです。自分の価値観で勝手に他者を判断するのではなく、相互理解を深めるためのコミュニケーションも必要ですし、自分とは異なる、多様な存在を受け入れること。そのことがダイバーシティだと考えています。

谷本:サンドラさんのご著書「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ」(メディアファクトリー)、本当に面白く拝読しました。

サンドラ:ありがとうございます。誰が書いているのかをお伝えしようとすると、『「日本」に住んでいる「ハーフ」な私』とこれだけでタイトルが長くなってしまって。

さきほどの話の続きになりますが、この本の中にもジョバンナさんと同じような例を挙げて書いていますが、私もよくファーストフード店などで、日本語でしゃべっても、通じないことが多いです。(サンドラさんも日本語は流暢です)

また他には、ハーフならではの問題があって、特に興味深いのは保険証問題!今のようにiPhoneが普及していない数年前までの話ですが、執筆のアイデアだしの散歩途中、よくネットカフェを利用していました。

その際にはセキュリティの関係上、身分証明書提示を求められるのですが、私は免許証を持っていないので、身分証は保険証になるのですね。

ただ保険証には、サンドラ・ヘフェリンという名前ではない、日本語の姓名が記載されているので、私の顔と保険証を見比べて「本当にあなたの身分証ですか?」と必ず質問される。

車の免許は持っていないので、顔写真入りの身分証明書が欲しいとはいっても、そのためだけにパスポートは持ち歩けない(笑)。とても不便な思いをしていました。

谷本:お二人とも日本に長く滞在され、日本と別の国の文化・風習の違い、両方をよくご存じです。日本人、あるいは日本社会で多様性を受け入れるためには何が必要だと考えますか?

サンドラ:そうですね、例えば日本の大企業の役員の方々が掲載されている記事をみても、おじさん、おじさん、おじいさん、おじいさん、おじさんがほとんどで(笑)、女性はいても一人くらい。結果論でしかないのですが、これでは確かに多様性はないように感じます。

これは実際にあった話ですが、ヨーロッパに進出した日本のある大企業が、ヨーロッパ人の女性社員に訴えられた事例があります。具体的に何があったかというと、そのヨーロッパ人の女性が、他の男性社員よりも専門的に学び学歴も高かったにも関わらず、10年後、明確な理由のないまま他の男性社員たちよりも仕事の内容や昇進が低かったことを訴えたのだそうです。

たしかに日本の会社の感覚だと、女性であれば今後結婚をし、出産、育児と時間をとられるからと事前に織り込み、キャリアプランを設計するのかもしれませんが、オランダやドイツやフランスといったヨーロッパ人からすると、きちんと本人に確認せず勝手に仕事配分や裁量を考えるとはどういうこと?となるのだと思います。

日本の会社では無意識に「女性だから(家事や育児に時間がさけるように)」と、悪気なく仕事を配慮したのかもしれませんが、一方、ヨーロッパ社会ではそういった考えはありません。ヨーロッパ女性からすると、仕事の役割や量を減らしてほしい、とお願いしていないにもかかわらず、何故か結果的に下っ端の仕事しか担っていない、という状況はありえません。

ヨーロッパ社会の前提を理解していなかったため、最終的には話がこじれてしまい、訴えられたケースなのでしょう。ですから、社会に横たわる文化といいますか、前提の理解がいかに大切で、その理解の上でのコミュニケーション、制度設計が必要なのだと思います。
ジョバンナ:私が勤めていた会社でも、同じようなことがありました。具体的には第1子を出産した際、仕事も忙しく早く復帰してほしいという話もあったので、育休もとらず産休1年未満で復帰したのですが、昇給面談の際に「ジョバンナさんはお子さんがいて大変でしょうから、もう少し勤務時間を短くしてはどうですか?」と聴かれるわけです。

私は一度も、勤務時間を短くしたい、育児があり大変だ、などとは言っていないにも関わらず、です。仕事でも成果を出していましたし、周りの男性は昇進していくのに、何故私は昇給も昇進もないのか、とも尋ねました。ある年には「会社も業績が悪いため、昇給はできません」と言われたり、また別のある年には「管理職になっても、大変なことばっかりでいいことは何もありませんよ」と言われたり。

まあでも、この言葉を聴いた時はとてもショックでしたね。私は訴えることはしませんが、ヨーロッパでは明らかに訴えられますよ、とお伝えもしました。この一件が引き金で、結果として私もその会社を退社いたしましたが。

サンドラ:上司に適当な折り合いをつけられ、諭されそうになったんですね。その言葉自体、問題ですし、本来、本人にキャリア構築の考えを聴いた上で会社も考えていくべきで、本人に確認しないままよかれと思って仕事の質や量、責任を決めていくべきではないですよね。そういった異なる前提が理解できていないことが、根本の問題なのでしょう。

谷本:確かに女性は、男性と比べ、性別の面でハンディを負っている部分もあります。私が聴いたケースでは、ある会社が女性活用の象徴として、40歳前後の若い女性を役員に昇進させようとした際、男性陣からクーデターが起きたそうです。

その女性は男性社員とは異なり、危険な地域での赴任経験も免除されてきた。そんなハンディを負った女性に役員が務まるはずがないというのがクーデターの理由で、実際にその女性は役員へ昇格しなかったそうです。

サンドラ:ビジネスの世界の話なのですが、その背景に「仕事は苦労しなければならない」といった根底の価値観も感じます。苦労することが大好きなのですよね。

育休をとっていたり、苦労して危険な地域に赴任してもいない、という人が役員に昇進するなんてありえない、と言葉には出さなくても心の中で思っている人は多いと思います。

もちろん苦労することで人間としての成長もあるはずで、私も肯定する立場ですが、仕事の上では「苦労」以外のファクターもあるはずで、その他秀でる能力が考慮されているはずなのでしょうが。「苦労は美徳」は日本社会の前提のように感じます。

谷本:そうですね、今後多くの女性、会社が直面していく重要な課題だと思います。私も育児と仕事を両立してやっていますが、育児の時間が絶対的に必要な分、一切の無駄をそぎ落として時間を捻出し、合理的に仕事をしています。

時間を管理し、結果にフォーカスして仕事をいるにもかかわらず、それを長時間働いていないから(苦労しているように見えない)、という理由でキャリアを判断される。それでは女性は働けないです。ドイツやイタリアではどうですか?

ジョバンナ:イタリアも日本と状況は似ているかもしれません。やはり女性は男性と比較して、チャンスは少ないですし、昇進も遅いようです。産休をとって帰ってくるのも難しいです。

サンドラ:ドイツもまだ少し、そういった傾向はありますね。女性活用で進んでいるのは、ヨーロッパの中でもスウェーデンやフランス、ノルウェーでしょう。

ドイツには「ラーベンムッター(Rabenmutter)」、直訳すると「カラスのお母さん」という言葉があります。これはどういう意味かというと、「子供のことをほったらかしにしている悪いお母さん」という言葉で、この言葉があることで、母親が人に子供を預け仕事を続けることに、やはり罪の意識を感じる人もいるようです。フランスやスウェーデンには、そういった言葉自体がありませんからね。

ジョバンナ:イタリアでも子供を預けて仕事を続けることに、罪悪感を持つ人はまだ多いです。私は育児をしながら仕事をしてきましたが、むしろ周りの方から、「それで(子供を預けて仕事をして)大丈夫なのですか?」と聴かれましたね。

サンドラ:お弁当とかは、どうなさっていたのですか?

ジョバンナ:夫に作ってもらっています。もちろん私が朝7時半には自宅を出なければならず、夫は自営で時間もある程度コントロールできるから、というのも理由ですが、子供は女性が育てるものではなく、夫婦で作り育てるものです。同じようにフィフティフィフティで役目も担ってもらっています。

サンドラ:日本のお弁当は、キャラ弁などもユニークで私も大好きなのですが、女性が育児にあたってこなすべき仕事の象徴のように思います。

毎日子供が喜ぶようなお弁当を作ることは母親として当たり前で、そうでなければならないような、ステレオタイプの押し売りにも感じます。

ヨーロッパではお弁当は、サンドウイッチや果物といったごく簡単なもので、だからといって子供に対して愛情を注いでいないか、といえばそうではありません。

こんな例がありました。私と同じハーフの友人がいるのですが、彼女はお母様がドイツ人でお父様が日本人の、小学校の子供時代の話です。学校で必要なのでお母様にお弁当を作ってもらうよう頼んだところ、お金を渡すのでコンビニかどこかで買いなさいと言われ、そうしていたそうです。

ですが、母親が仕事が忙しいからといって、子供にお弁当を作らないということでPTAや学校で大問題になったそうです。

ジョバンナ:私も同じことを考えていました(笑)。ですが夫は日本人ですし、義父母もおりますので、それはないでしょうと(笑)。

私もお弁当は作ったことがあるのですが、パスタだけのお弁当を持たせたら、やはり先生や家族から子供がかわいそうと言われました。夫はミニトマトの赤を入れるなど、彩りも考え、お弁当を作ってくれています。私自身はみんなと違うお弁当は、むしろかっこいいじゃない!と思うのですが、日本では周りと一緒のほうがよいのですよね。

日本の文化には型がありますし、その真髄は神道までさかのぼることもできるのでしょうか。型があることによる良い面もあれば、一方、柔軟性に欠けるという面もあるように感じます。

他のお母様方とお話をさせていただいても、ジョバンナさんは自由に行動できていいですね、とうらやましがられることも多いです。そう考えているならばもう少し、周りの目を気にせず、行動できるとよいですね。

谷本:自由は一方、例えばお弁当のことでお子さんがいじめにあわれたり、自分が職場で左遷させられるということにもつながりかねません。ある程度空気を読みながら、自身の考えを伝えていくことが必要なのでしょうか?

サンドラ:おっしゃる通り、空気を読む必要はあると考えています。私は過去に日本の会社に勤めた経験を持っていますが、会社が閉まっている年末年始に例えばドイツに遊びに行った場合も、そのことをあまり会社では言わなくなってしまいました。

何故かというと、会社が休みの時にドイツに帰り、その半年後、有給休暇をとってまたドイツに帰ろうとした際に、「半年前に帰ったのに、また帰るの?」って聞かれてしまうのですね。ですので、何をして休日遊んでいたとか、楽しんだことをあまり会社では言わない。

これがドイツやヨーロッパでは、休み明けにみんな何して遊んだ、デートした、楽しんだ、という話をしあうのですが、日本では苦労していない人イコール、仕事に真剣に取り組んでいない人、と思われている空気があるように感じます。

またこのことは、中学や高校の体育会系部活でものすごく鍛えられているように思います。体育会系で苦労して何事かを達成したその経験が、会社に入ってからも「苦労することはよいことなんだ」とすり替わってしまっているのではないでしょうか。

谷本:とても興味深いですね。ドイツではないのですか?

サンドラ:ドイツはもちろんヨーロッパには部活というシステムはありません。サッカーをやりたい人は、クラブチームに入るしかない。やはりどこまでも個人主義ですね。

部活の例でいえば、一度チームに入った後、辞めることも難しいですよね。例えばある運動部に入って、あわなかったから途中でやめようとしても、「約束は破るためにあるものじゃない、途中で辞めると内申書にひびくぞ」と脅されるケースもある。部活ごときで辞めたいという人に辞めさせないのは、何故なのか疑問です。

そしてこのことは、会社という組織に入った時も同じです。日本の会社に勤めていた際、例えば他社へ転職する方で、本当の退職理由を言っていた人はいなかったように思います。

みんなうすうす気がついていたとしても、退職理由を「実家の母が」とか「夫の転勤の可能性がありまして」と、例えよい転職先が見つかっていたとしても、そうであればなおさら本当の理由を言わない。本当の理由をからっと言ってもよいでしょうに。

ジョバンナ:会社を辞めることに、裏切り行為のような罪悪感を持ちますよね。

谷本:家族主義的な会社の、悪い面がでてしまっている?

ジョバンナ:そうですね、家族主義的で育ててもらえる、という面は良い面なのでしょうが。私も退社する際は、寂しい辞め方でしたね。

サンドラ:私がヨーロッパで育ったからなのでしょうが、ビジネスの世界なのに「愛社精神」という言葉を聴いた時はもう本当にびっくりしました。ヨーロッパですと、愛は家族や恋人など身近な誰かに対して持つもので、会社に愛を感じて仕事をする、という感覚はないためです。

だから、「愛」を強調する日本の企業でヨーロッパ人が長期に渡って働くのは非常に難しいんですよね。組織の中には様々な人がいてよいわけで、考え方もそうですし、例えばほとんどがネクタイを締めたおじさん達ばかりではなくて、女性もいれば様々な国の外国人、年齢も若い人から上まで、障害を持った人もいて、と多様性があってよいはずです。

ジョバンナ:おっしゃる通り、本当のダイバーシティとは何なのか、真に理解されていない方も多いように感じます。雇用における男女差別撤廃や、外国人の積極的な登用だけではなく、本来、同じグループの同じ日本人同士の間でも、考え方や背景の違いによるダイバーシティは存在するのです。自分とは異なる多様な考え方を受け入れるということから、ダイバーシティの理解は始まるのだと思います。

谷本:単一民族の日本社会の中で、難しい課題なのかもしれませんね。だからこそ、女性活用や外国人登用などの方法論が必要になってくる。様々な事例をお伺いしながら、日本で真のダイバーシティを根付かせるためにはやはり方法論も有効、という振り出しに戻ったようです。では、今度は、女性や若い人たち、あるいは日本に対してでもよいですのでメッセージをお願いできますか。

サンドラ:世の中「第一印象が大事」と言われていますが、私の考えは少し違って、私は第一印象や見た目だけから人を判断するのではなく、もっと本質的にその人はどういった人なのかを考えながらコミュニケーションをとっていただきたいと思っています。

日本は治安もよいし、人柄も穏やかで生活しやすい国です。特に日本には仕事を頑張っている人も多いので、もっと私も仕事を頑張ろう、というやる気にもなります。そういった良い面に加えて、これから日本もグローバリゼーションも進んでいくでしょうから、多様な人や多様な考え方、マインドがあるのだという認識のもと、もっとコミュニケーションをとったり、他者を受け入れていっていただきたいですね。

ジョバンナ:いつもみなさんに伝えていることなのですが、外国人だから何かができるわけでも、外国人女性だからできるわけでもなく、人間だからできる、ただそれだけなのです。周りの目を気にするのではなく、日本の方ももっと自分をだしてよいと思います。

一対一になると皆さん、何か自由になられるのですが、グループの中に入ると何故かみんな小さくなってしまう。謙遜からなのか、過小評価して自己を打ち出すことをしない。もっと他者との違いも認めて、違いも尊重してもらえたらと考えています。

谷本:本日はとても興味深いお話をありがとうございました。
Minopoli Giovanna
ミノポリ ジョバンナ氏
イタリア・サルディニア出身。 日本歴10年。 アメリカ、ヨーロッパ複数カ国で学生時代を過ごし、アメリカで高校卒業。イタリアのナポリ東洋大学で日本語と東洋文化を勉強し、日本の企業に就職。営業・製品開発部の経験と、9年間のグローバル人材開発マネージャー経験から、日本の伝統的な組織における人材開発の知見を養う。 退職後、ダイバーシティやリーダーシップにおける、グローバルスキル・異文化コミュニケーションプログラムを開発し、フリーランスで企業向け研修や、大学で教鞭をふるう。マルチリンガル(Italian, English, Japanese,) 、2児の母。
Sandra Haefelin
サンドラ・ヘフェリン氏
ドイツ・ミュンヘン出身。 日本歴16年。 自身が日独ハーフであることから、ハーフとバイリンガル問題ハーフはナニジン?ハーフといじめ問題などハーフのテーマを中心に執筆活動をしている。 著書にベストセラーとなった「浪費が止まるドイツ節約生活の楽しみ」(光文社) のほか、「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ」(メディアファクトリー)など計7冊。 学校教育やハーフをテーマに講演活動も行っている。 趣味は、執筆、時事トピックについてディベートすること、カラオケと散歩。目黒川沿いや碑文谷をよく散歩している。 
谷本 有香
経済キャスター/ジャーナリスト
山一證券、Bloomberg TVで経済アンカーを務めたのち、米国MBA留学。その後は、日経CNBCで経済キャスターとして従事。CNBCでは女性初の経済コメンテーターに。 英ブレア元首相、マイケル・サンデル教授の独占インタビューを含め、ハワード・シュルツスターバックス会長兼CEO、ノーベル経済学者ポール・クルーグマン教授、マイケル・ポーターハーバード大学教授、ジム・ロジャーズ氏など、世界の大物著名人たちへのインタビューは1000人を超える。 自身が企画・構成・出演を担当した「ザ・経済闘論×日経ヴェリタス~漂流する円・戦略なきニッポンの行方~」は日経映像2010年度年間優秀賞を受賞、また、同じく企画・構成・出演を担当した「緊急スペシャル リーマン経営破たん」は日経CNBC社長賞を受賞。 W.I.N.日本イベントでは非公式を含め初回より3回ともファシリテーターを務める。 現在、北京大学EMBAコースに留学中
http://www.yukatanimoto.com/
衣装協力(谷本有香氏):GLAmaster
ロケ地協力:Decanter/東京アメリカンクラブ
撮影協力: 安廣 美雪(Take_)