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山形初の「グランピング・スポット」をセルフビルディングで 山形への移住と新しい時代の創業スタイルとは? GLAMPiC 代表長濱温子さん インタビュー

山形初の「グランピング・スポット」をセルフビルディングで
山形への移住と新しい時代の創業スタイルとは?
GLAMPiC 代表長濱温子さん インタビュー

「グランピング」という言葉をご存知でしょうか?グランピングとは「贅沢なキャンプ」のこと。食事や寝具などの快適なサービスと、豊かな自然との触れ合いを両立させた、新しいスタイルでのキャンプの楽しみ方です。
今回、インタビューさせて頂いたのは、山形初となるカフェバー&グランピングスポットGLAMPiCの長濱温子さんです。東京都出身の長濱さんは、地域おこし協力隊としてパートナーの方が山形で生活を始めたのをきっかけに、一昨年、山形市に移住しました。山形駅から車で15分のこの土地(山形市新山)に3000坪もの裏山付き物件が貸し出されていることを不動産サイトで見つけると、グランピング施設をセルフビルドしようと決意しました。
創業のきっかけは"3000坪"の裏山付き物件との出会い
山形市内での創業を意識したのは2015年7月のことです。当初は山形県寒河江市での起業を考えていましたが、なかなか良い物件には巡り会えませんでした。そこで、少し視野を広げてみようと思い、広く物件を探したところ、3000坪もの裏山付き物件が山形駅からわずか15分のこの地にあるのを見つけました。3000坪の裏山に加え、湧き水を利用することもできます。湧き水をグランピングに利用できるのは面白いと思ったのもこの地を選択した理由のひとつです。実際に物件を見て大家さんにお会いしたところ、ものすごく面白いアクティブな方で話が盛り上がり、その場で即決しました。

それまでは東京在住で、新卒採用のコンサルティング会社で営業職として2年間勤めていました。仕事も楽しかったですし得られることもたくさんあり、自分自身も成長することができたので、とてもよい経験になりました。でも、次第に「仕事はこうやって進めていくものだ」とわかってくると、今度は「自分で一からやってみたい」と思うようになりました。

会社での仕事はルールが決められています。どんなに自分が「こんな風にやりたい」と思っても、なかなかその通りにはできません。こうした経験を重ねるうちに、「もし、自分でやりたいようにやったら、どんな結果が戻ってくるのだろうか」と思うようになりました。実家が建築関係の仕事をしていたこともあって、子供の頃から将来は自分でゲストハウスのような施設を運営したいという思いもありました。
旅から多くのことを学んだ
元々旅をすることが好きでした。子供の頃から家族でキャンプに連れて行ってもらったり、兄が2人いた影響もあって男の子と遊ぶことが多く、活発な子でした。

大学生の時にグランドキャニオンに行って壮大な景色を見て「すごい」と感じ、そこから旅にのめり込みました。大学4年間で15カ国ぐらいは海外に行ったと思います。夏休みは2,3個バイトを掛け持ちして、足りない分は親から借りて、最後に行きたかったウユニ塩湖に行ってきました。

沢山バイトをして旅行にたくさん行くことができて、多くのインスピレーションを受けられたことが現在の仕事にもつながっています。社会人になるとお金は比較的自由になりますが、今度は時間がなくなります。行かれる時に「今、行く」というのは悪いことではないと思います。

創業する前には世界一周旅行を一度してみたいと思い、勤めていた会社を辞めると、その後2~3ヶ月は海外で過ごしました。日本に戻って半年くらいは、東京で起業のための情報集めなどの準備をし、その後、山形へ移住しようと決意するに至りました。

正直なところまだ山形に定住した感じはあまりないです。それでも大分、落ち着いた感じはあります。実家が東京にあるので帰ろうと思えばいつでも帰ることもできますので、「長い旅をしている」感覚なのかもしれません。
手作りのおもてなしで得られるやりがい
お客さんの8割ぐらいは県内からの方だと思います。仙台からきた20代のお客様と話した時に「山形は、今、新しい色々なお店が出てきているから楽しい」とおっしゃっていました。

現在営業している施設のうち、1階のカフェ部分の電気水道関係は業者さんにお願いしましたが、それ以外の8~9割は自分たちで作りました。テラス席になっている2階部分と、この近くにある別棟のゲストハウス、裏山のグランピングエリアなども電気関連以外は全て自分たちで作っています。
メニュー開発も自分たちでしています。「このメニューは喜んで頂いている」といった情報をメニューとして次々に取り入れていくことも楽しいです。自分がやったことに対して、お客様が直接反応してくださる。こうしたことが、自分のやりがいに繋がっています。会社務めでは経験できないことでした。

お客さんに良いリアクションをしてただけた時はやはり嬉しいです。「ご飯がおいしい」と言って頂いたり、食事の盛り付けの"見栄え"の良さに驚いて頂いたり。セルフビルディングの内装に「凄い!」とおっしゃっていただいた時なども嬉しいです。
常に新しいことをし続けたい
セルフビルディングの店が完成し、他にも内装やイベントなどの新しいことをするというのは考えればいくらでもあります。常にいろんなことに取り組んで「これは当たりだった」や「こっちはハズレだった」といろいろチャレンジを重ねて良いものを取り入れていけば、少しずつファンも増えると思っています。何でも挑戦するしかありません。

ゆくゆくはこの場所を若い方や山形に移住して新しい事業をやってみたいという方に任せたいなとも考えています。例えば週替わりで店長が変わるお店も良いですし、この場所自体を引き継いでくれる人がいれば最高です。それで私は一人旅をしながら何か別の事業ができればいいなと考えています。でも、私は自分自身にも人に対してもシビアなので、なかなか"継ぐ人"を見つけられない気はしています。スタッフを募集しようと思っていますが、なかなか探すのは難しいです。

今は、近くの方から無償で土地を貸してくれるというお話もいただいています。ゲストハウスをオープンさせることができましたので、今度はそこを利用して、また新しいことを始めるかもしれません。もちろん何年かはここにいるつもりですが、いつでも動ける身でいたいという思いもあります。

"移住"となると仕事やお給料のことがあるのでハードルが高いと思います。「東京で稼ぐ金額と同じ位の金額を稼がないと・・・」となる人がほとんどだと思います。もちろん最低限の生活ができるレベルでいいという人もいると思いますが、仕事がないことはネックになります。仕事さえ作れればそういった問題は解決できるので、そのためにも、私たちのビジネスをもっと大きくして、若い人たちの山形への移住と創業の基盤が作れたら嬉しいです。
profile
長濱温子さん
経歴
カフェバー&グランピングスポット GLAMPiC 代表

東京都出身。大学卒業後、新卒採用コンサルティング部門に2年間勤務。

退社後、2017年に山形に移住。

3000坪の裏山付きコンクリート住宅物件をセルフリノベーションしながら開業する。

GLAMPiC 〒990−0015 山形県山形市新山514−1 HP:https://glampic.wixsite.com/niiyama-yamagata
(取材:2018年7月)