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関口 暁子 文筆家/エッセイスト doppo 大変なとき、嬉しいとき。ときに支えられ、ときには今以上に輝きを増すことができる。「言葉」というものは不思議な力を秘めています。今、私たちの目の前のステージにいる「あの著名人」も、誰にも知られず努力を重ね、感謝を繰り返し、ここまで生きてきたのです。 彼らがその長い「活躍人生」の中で支えに… |
自分の人生の見つけ方~アルケミスト⑫~ |
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12月も後半、今年もあと数日となりました。 激動だったこの一年間、いかがお過ごしでしたでしょうか。 そしてまだ続く混乱の時代への、何らかの方向性や目標を見つけることはできているでしょうか。 「何回も見た夢」という不確実なもののために、 故郷のスペインから砂漠へとあてどない旅をし、 多くの出会いと、幾度かの不運と、そして命をも奪われそうになった危機と、 それでもあきらめきれない夢。それを支えた希望。 サンチャゴ少年がたどった旅は、この2020年という年にふさわしい 道連れとなったのではないでしょうか。 コロナ禍は、今のところまだ続いています。 しかし、そろそろ私たちは「コロナ禍とは何か」という本質を 正面から見つめなければならない時期に来ているようにも思います。 サンチャゴが、自分の目や体や心や、さまざまな経験から、 自分の答えを探し続けているように、 私たちも、自分の目で見て、自分の頭で考え、 そして行動することが重要だと教えてくれているように思えてなりません。 さて、連載12回目となった『アルケミスト』の名言をたどる旅。 今回で、サンチャゴの旅は終わりを遂げます。 結論を言えば、サンチャゴは、探していた宝物を見つけることができたのです。 そして、また彼はある場所へと向かう決心をして、物語は終わりました。 (サンチャゴの旅は続くのですが)
どこで、どんな宝物が待っていたのかは、 『アルケミスト』を読んでみたいと思ってくださった読者のみなさんのために、 あるいは、「昔読んだけど、もう一度読もうかな」と思い出してくださった あなたのために、 ここでは明かさずにおきましょう。
前回までのお話に戻せば、サンチャゴは錬金術師とともに、砂漠にいます。 そしてオアシスを出発し、再びサンチャゴが「夢に出てきた宝物」を 探す旅に出かけます。 愛するファティマもオアシスに残してきました。 そこでサンチャゴと錬金術師はある部族につかまり、ふたりに命の危機が訪れます。 このとき、サンチャゴは風や天や宇宙と向き合い、対話をすることになります。 この対話を見ていた錬金術師は、サンチャゴと別れを告げるときがやってきたと確信します。 そして、ひとり立ちするサンチャゴに、ある物語を話して聞かせます。 その話の後に、錬金術師がサンチャゴに最後に贈った言葉。 ここまで読んでくださったあなたにも、この言葉をお届けし、私は次の連載という「旅」に、向かおうと思います。 サンチャゴの旅を愛してくださったあなたの心に響く、 あなたの人生の旅の餞(はなむけ)の言葉になるでしょうか。
「何をしていようとも、この地上のすべての人は、世界の歴史の中で中心的な役割を演じている。そして、普通はそれを知らないのだ」
私はよく、講師をしている大学の学生や出会った人、文章でも、こんな言葉を伝えます。 「あなたの人生の主役は、あなたしかいない」 そして、誰もが唯一無二の存在であり、存在する意味があり、誰かを幸せにしていると心から信じています。 けれども錬金術師はそれだけでは物足りないのです。 人は、自分の人生という枠を、自分の視野だけで小さく見積もっているのです。 けれども、だれかが投げた小石が、世界の変革を促すきっかけになることがあります。 そして長い歴史の中で、それが伝説になることがあります。 そして多くの人は、それは「特別な人の物語」だと、思っているのではないでしょうか。 私も、この言葉を聞くまで、そう思っていました。 自分の人生という舞台の主役はたしかに自分しかいないけれど、 この「自分の人生という舞台」は、小さいもので、 他人から見れば、世界から見れば、あるいは歴史的に見れば、 取るに足らないものである、と。 けれども自分の演じた主役が、自分の果たした役割が、たとえば誰かの命を救ったり 誰かの心を温めたり、誰かの成長の一助となったりしたときに その「誰か」の連鎖が、歴史となり、自分がこの地上からいなくなって遥か遠い時代に、 影響を与えていないとは、誰もが言いきれないこと。 たしかにこれは物語の中の言葉です。 けれども、人の人生もまた、物語なのです。 人は信じるように、信じる世界を作っていきます。 自分の行動が、世界の歴史の一つであると思って生きれば きっとあなたの人生はもっと輝き、多くの人に良い影響を与えるでしょう。 自分の人生や行いに誇りを持ち、責任を持ち、背筋のスッと伸びた 素敵な大人の姿を見せ続けることで、未来はもっと明るく、希望に満ちて 今よりも素敵な社会になるでしょう。 大きな宇宙の中での、あなたというかけがえのない存在を自覚し、 悠然と生きていきましょう。 そのためには、サンチャゴの歩いてきた道のりのように、 ときに険しく、ときに試され、ときに泣きたくなることもあるでしょう。 それでも自分を信じ、きっと未来は素晴らしいと信じて歩き続けることで 今いるあなたの道は、素敵な宝物へとつながっていく道になると確信しています。
冒険すること、自分を信じ続けること、希望を持ち続けて行動し続けること。 私も含め、そんなことからずっと離れてしまっていた大人たちこそ ぜひサンチャゴとともに歩き続けてほしいと願います。
この1年間、私という旅の道連れとともに サンチャゴの冒険を一緒に旅してくださった、素敵なあなたへ。 昨日よりも今日。今日よりも明日、そして日々「自分史上最高!」を更新するあなたの旅の続きを、心より応援しています! 1年間、ご愛読ありがとうございました!
来年からは、ドイツが誇る作家、ミヒャエル・エンデ作 『モモ』 から 大人が無くしてしまった素敵なモノを探しに行く旅に出かけましょう。 2020年 ともに旅をしてくださり、どうもありがとうございました。 2021年もまた、新しい旅にぜひご一緒いただけたら嬉しいです。 親愛なる読者のみなさま、素敵なクリスマス、そして新年をお迎えください!
Frohe Weihnachten & Ein glueckliches neues Jahr!
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