東京で働く女性のライフスタイルマガジン［東京ウーマン］

こんにちは。自分関係®改善カウンセラー（臨床心理士）の髙橋雅美です。

さて今回からは、人間関係を良くするコミュニケーションについて考えていきます。カウンセリングをしているとよく言われるのが、「私は、コミュニケーションが苦手なんです。何か話題を振られても、どうも上手に返すことができません。なので、相手は退屈だと思うんですよね。職場でも同様です。上司から意見を求められてもしどろもどろなんです。」というお悩みです。こういう時、私は「まずはきき上手になりましょう。」とお伝えしています。

話し方が上手になりたいのに、きき上手になるって、答えになっていない！と感じる方が多いのか、こうお返事すると、ほとんどの方が「・・・・」と無言になってしまいます。どういう意味なんだろうと頭のなかで？マークが飛び交っているのでしょうね。

おそらくほとんどの方が、コミュニケーション上手とは、話し上手であると考えていることも原因でしょう。確かにテレビでお笑いタレントさんたちの、気の利いた面白い切り返しなどを普段から見聞きしていると、そう思ってしまうのかもしれません。ですが私は、コミュニケーションが上手な人とは、きき役に徹することができる人だと思っています。

きき上手、きき役と表現しているのは、「きく」の中には、「聴く」と「訊く」の両方の意味が入っているからです。「聴く」の方は、「傾聴する」などに使われるように、相手の話を心を傾けてきくということですね。「訊く」の方は、たずねるという意味です。

まず、「聴く」の方ですが、私たちはそもそも、自分のことを話したいのです。だから話したい人たちが集まり、何を話しているのかと聞き耳を立ててみると、案外、自分が言いたいことを言いたいように話しているだけ。相手が話し終わると、「ふーん、そうなんだ。で、私はね・・」とそれぞれが自分の話をしているということが多いものです。なので、こういう時、「へえ、それでどうなったの？」などと、相手に質問をしてあげると、とても珍しがられるわけですね。これは夫婦、親子、友人とのコミュニケーションすべてに当てはまることです。

さて、ここで、職場でのコミュニケーションに話を戻しましょう。職場の人間関係は、仕事場で時間を過ごすのが長いだけであって、その相手を好き嫌いや相性で選べるわけではありません。また、これまでの経験や立場も様々で、価値観も人それぞれというわけです。ですが、日々、あの上司は、いつもこういう態度だからこう考えているに違いない、だからこの件については反対と思っているはずだ、と決めつけてしまいがちですが、本来は逆なんですね。相手が自分とは違う立場で価値観の持ち主であればあるほど、「部長はどうお考えなのですか？」と相手の意見を訊いていいのです。

ここでは「訊く」が出てきました。何かを訊かれたら、すぐに答える必要はないのです。まず、相手の考えを「訊く」。相手が話し出したら、それをきちんと「聴く」。その後、自分の考えを述べていいのです。

「聴く」時の注意点は、相手に対して「私はあなたの話に耳を傾けていますよ」ということがわかるように、うなずいたり、相槌をうったりしながら聴くということです。たとえ相手の意見に共感、同意できなくとも、「なるほど、この人はこう考えているんだ。」と判断、評価せずに、ましてや反対意見やアドバイスをはさまずに聴くことです。

話を聴いてもらった相手は、そんなあなたの態度に満足し、心を開き、「あなたはどう思うのか？」と、今度はあなたの話を聴く準備ができるのです。きき上手な人は、相手から嫌われることは少ないでしょう。

こちらの言い分を通したい時ほど聴き上手になりましょう。交渉ごとでも、まずは自分の言い分を言う前に、相手の言い分を聴いた方が、こちらの言い分を受け入れてもらうことが多いとも言われています。

今日からあなたも「きき上手になる」ことを目指してみませんか？