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■ 世界で活躍するウーマンたち


[中国最前線] 佐藤 愛さん(ガルベラコンサルティング)

佐藤 愛さん(ガルベラ・コンサルティング 総経理)
群馬県前橋市出身。シングルマザーとしては生きづらい日本から「お手伝いさんを 雇いながら子育てができる場所」を求め2004年上海へ。カルチャースクール「馨 スタイリッシュ」立ち上げ後(現在は譲渡)、現在は友人の経営するガルベラ・パー トナーズグループ(本社は東京)に参加、中国でのコンサルタント業務を開始、中国現地法人の税務、会計、労務のほか、日中間貿易サポートやマッチングを得意とする。JETRO上海のビジネスマッチングアドバイザーでもあり、中国各地の地方政府や 中国人経営者の人脈が広く、中国人社会の中でも有名。佐藤愛の中国版ツイッター(微博)の中国人フォロワーは7万人超。
ガルベラ・コンサルティング(大丁草企業管理諮詢(上海)有限公司) URL:www.gerbera.co.jp
言葉もわからず、子連れで上海に飛び込む
中国で活躍する女性へのインタビューシリーズ、初回にふさわしい方にご登場頂きました。ガルベラコンサルティングの総経理でいらっしゃる佐藤愛さんです。

総経理とは日本でいう社長職にあたるそうですが、佐藤さんといえば、中国のTV番組にも出演されていて、中国国内のファンやフォロワーも多く、恐らく中国で一番有名な日本人女性ではないでしょうか。まずお伺いしたいのですが、なぜ上海に来られたのですか?スタートはどこからだったのでしょう?
上海にある「江沢民」の卒業した交通大学で半年間、中国語を学ぶために子連れ留学しました。現地に知り合いもなく、当初はあまり深く考えずに、とにかく飛び込むつもりで行動に移しました。

世界中をインターネットで調べた中でも上海は、日本人も多く住んでおり、仕事もありそうですし、住み込みのベビーシッターさんが手頃に雇えて、日本人学校と病院があるという条件を最も兼ね備えている場所だったのです。
佐藤さんは中国でお育ちになられた方かとずっと思っていましたので、意外です。大人になってから中国語を学び、中国に来てから文化を知ったという人が、こんなに中国に受け入れられるはずがないと思ってしまいますが、言葉もわからず、飛び込んで来られたのですもの、すごい度胸ですね。まず上海に来られて、まずは何から始められたのですか?
上海に着いてまず私と息子で大学の家族寮に入りました。上の階に大学の先生がご両親と一緒に住んでいて、子連れの私をみかねたそのご両親が息子の面倒を見てくれました。その後寮を出て働き始めると、そのまま先生のお母様が住み込みのお手伝いさん兼シッターとして、子育てと家事一切を引き受けてくださることになったのです。

日本で働く多くの女性に取材しても、まだまだベビーシッターや家政婦さんを雇ったことがない方が随分多いようです。一方、中国で働く女性はシッターやお手伝いさんを活用して、出産後まもなく社会復帰することで知られていますね。とはいえ、言葉も完璧でない、人間同士の信頼関係も充分でない異国で、お子さんを預けることに不安はありませんでしたか?
もちろん不安はありましたが、この先生のご両親には本当によくしていただきましたので、おかげで私は自由に働けてキャリアを積むことができました。息子が小学校3年生の頃から、先生のお母様も60代になり足腰が悪くなってしまったので、他のお手伝いさんを雇うことにしたのですが、それでもあれこれ世話をやいてくれます。今では金銭的やりとりはありませんが、逆にしょっちゅう、手料理など持ってきてくれたりしています。

そんなに手厚くサポートして下さるのは有難いですね。一度信頼関係を築くと、中国の方は人情味あふれる国民性だとよく聞きますが、こういうケースをお聞きすると、その通説は納得できますね。しかしその短期間で信頼関係を築けた佐藤さんの努力にも感服致します。
子育てをしながらキャリアを積むには、こういうサポートは欠かせません。大学から東京で暮らし始め、そのまま東京で就職しましたから、実家も遠く、子供を預けるにしても人を頼むにしても、とてもお金がかかります。制限のある日本では難しく、逆に自分が生きやすい場を選び、そこで頑張ってみたいと考えたところから、思いがけずキャリアを積み上げる一歩が始まったのだと思います。

それでも、なかなかその一歩を踏み出せない人が多いように思います。
常識にとらわれず、可能性を自分で探し出すことが大事なのではないでしょうか。下を向いて歩いていると気づかないですが、スモッグだらけの上海でも、見ようと思って空を見上げれば、まだ沢山の星を見つけることができます。キャリアの可能性も、自分で探し出す根性が必要なのかもしれません。

自国でもキャリアの可能性を自ら発見したり、創り出すことは難しいにもかかわらず、それを、ビジネスの世界では恐らく最も難しいとされている中国で成し得られた。まさに「根性」が必要ですね。佐藤さんは留学の後、どのようなお仕事に就かれたのですか?
留学後は不動産会社やコンサル会社に勤務し、その後独立して、上海で始めての総合カルチャーセンターを設立しました。そこでは習い事から資格取得、日中交流イベント(映画祭や万博等)への出場等、いろんな道を用意できるようになりました。そのうちに、さまざまなご縁で中国への企業進出の相談を多く受けるようになり、それが今の本業になっています。
ビジネス、文化、人の日中の懸け橋に
佐藤さんは現在、コンサルティング会社の総経理、日本でいう現地法人の社長でいらっしゃいますが、具体的にどんなことをされているのですか?
現在、私が主に手がける業務は、(1)日本企業の中国進出支援(2)中国企業の日本進出支援(3)日本の優れた商品(具体的には空気清浄機等)の中国販売支援の3つです。日本企業進出支援は所属するコンサルティング会社での業務のほか、ジェトロ上海や日本郵便上海の顧問もさせていただいています。

ジェトロでは「アジアキャラバンプロジェクト」といって、日本の中小企業様が自社商品中国市場販売を目的とし、中国各地で商談会の開催を担当しています。今年は海外に初拠点を開設された日本郵便上海の商談会が9月に開催予定ですので、運営のお手伝いをしています。

中国は世界の中で今後、疑いなく成長の果実を得られる発展豊かな国の一つですが、現在はかつての激しさは無くなったものの、特に2012年9月以降、尖閣諸島の領有権を巡る問題で、1972年の国交正常化後、41年の中で日中の政治関係は最悪の状態もあり、ビジネスへの影響も否定できません。そんな中で大体、年間どのくらいの日中間のビジネスのマッチングをされているのですか
年間100社くらいでしょうか。中国企業の日本進出は、特に2012年より再生エネルギーの売電が開始したことを受け、主に太陽光発電の上場企業による日本投資プロジェクトを担当しています。

日中間の文化交流にも携わっていらっしゃるそうですね。
はい。来月には国際映画祭が上海で開催されます。その中でも定評のある日本映画週間は、ボランティアで運営されていますが、7年ほど関わらせていただいています。

佐藤さんは中国のTV番組にも多数ご出演されていて、大変有名人でいらっしゃいますね。
できるだけ多くの中国人に、本当の日本人の気さくな日常をお伝えするようにしています。
どっぷり漬かることで見えてきた可能性
お話を伺っていますと中国という国は、佐藤さんの気質や持ち合わせているエネルギーに合致するところが多いように思いますが、そもそもなぜ、中国に興味をお持ちになったのですか?
一番最初に興味を持ったことといえば、子供の時に読んだ「西遊記」にはまったことでしょうか・・・。約20年前高校生の夏休みに中国の敦煌まで旅行をしたのですが、当時誰も中国に興味が無いものですから、「トイレは穴が開いてるだけなんでしょう?」といった質問ばかり周囲から聞かれました。今では本当の意味で第二の故郷です。自分に色々な世界を見せてくれ、可能性を与えてくれた国ですし、どっぷり漬かっています。

しかしこのどっぷり漬かったというのが、今のビジネスに非常に役立っています。とにかく中国語もろくに喋れない状態から、子供を預けるために必死でお手伝いさんと中国語で会話をし、一緒に生活をしました。この一緒に生活をしながら子育てをするというのは、文化を深く学ぶ何よりの体験だったと思います。何を食べて何を考えて、どういうものごとの捉え方をしているのかということが嫌でも分かってきますから。

また、佐藤さんは「親」としての視点もある。ここも大きいですね。教育という面において特に「中国」は、『タイガー・マザー』(原題:Battle Hymn of the Tiger Mother エイミー・チュア著)以降、再び注目されているように思います。
現地で子供を育てると、この国ではどのような教育を行っているのか、それにより皆がどういう思考を持ってゆくのかという、非常に根本的なところをゼロから目の辺りにできます。これが、私が中国でビジネスをした際にも、テレビに出演するようになった際にも非常に役に立ちました。

この国の人が喜ぶツボや言い回し、逆にどのようなところが逆鱗に触れるのか、何を大事にしているのか。そういう大事なところが、勉強して聞いて分かったのではなく、もう自分の身に染みているからはっきりと分かるのです。

よく言われているように、働く女性、母親にとって、中国はやはり働きやすい場所ですか?
私が中国に来た理由は、子育てをしながら働ける、それだけです。上海には日本人学校もインターナショナルスクールもあり、息子は日本語もしっかりした日本人の先生に毎日教えてもらえるインターへ通わせています。おかげで日本語と中国語と英語がネイティブになり、10歳で英検2級に合格しましたし日本語の作文もしっかり書くことができます。日本の公文にも幼稚園から通っていて、今後は中学受験に向けて駿台や早稲田アカデミーやENAなどの受験塾に通わせることを考えています。

日本の高島屋や伊勢丹など百貨店も、日系スーパーもコンビニもありますし、日系病院も沢山あります。何より日本から近い。こういう環境があったからの選択ですし、ビジネス的にもまさにバブル期の上海で仕事を構築することができました。結果的には最適な選択になりましたが、最初に選んだ理由はあまりビジネスとは関係ありませんでした。

母親視点、つまり子育ての環境において中国は確かに住みやすそうですね。
しかしキャリア、仕事という意味において、中国と日本の違いは感じられますか?
世界中どこで働いていても特に違いは感じませんが、日系社会では比較的男性の方が仕事をしやすいかもしれません。本当に優秀な女性なら、日本で息詰まりを感じたらどんどん世界に飛び出しても良いと思います。

もっと世界にも飛び出して行くべきですね。しかし全ての人が成功するとは限りません。そこで初めて実力、つまり「個人力」を試されることになるのでしょうか。さまざまな縛りが無くなるという利点の半面、助けになる肩書や、あうんの呼吸のような通念もない。まっさらな状態で飛び出さなければいけないと。

そういう意味で、中国をはじめとした海外のビジネス習慣や文化には、日本人が学ぶべきことはたくさんありますね。
日本企業が、中国だけではなく海外の企業に学ばなくてはいけないのは、決断力・現地化だと思います。上海という国際的な大都市で世界の企業と戦う日本企業を見てきましたが、日本企業でも現地化ということが大きなテーマとなり、よくセミナーの話題にも上りますが、まだまだだと感じています。

現地化が進まず3年目でようやく中国でのビジネスが分かり始めた頃に上司(駐在員)がまた交代。しかも先が見えない。このような状態では良い人材の確保が難しいのはもちろん、なにより企業にとって必要不可欠な決断力や決定権が確保できず、中国市場を逃している日本企業を横で見ていて臍をかむ思いです。

逆に韓国企業は思い切った投資を即決して行い、中国の家電市場等でのシェアを一気に拡大し大成功しています。もちろん石橋を叩いて渡る慎重さが大事な場面もありますが、やはりチャンスというものはいつまでも待ってくれないものだと思います。アメリカ企業も人材の現地化により中国でのビジネスを成功させています。
中国でのビジネスは難しくない
中国でのビジネスは難しいとおっしゃる企業をたくさん見てきましたが。
特に「中国だから」難しいと思ったことはありません。よく中国でだまされたとか、失敗したという話を耳にしますが、きちんとした市場調査や信用調査を行っていなかったとか、法律を勉強していなかった、あるいは専門家の意見を仰がずに決めてしまったといった失敗がほとんどです。

日本国内でも、北海道の方がいきなり沖縄で店舗を出せば、全く市場も分からず見当違いな店になったり、余計な費用がかかったりと、結果失敗するのではないでしょうか。どこの国でも必ずきちんとした下準備を行っていれば問題ありません。

そこに費用や時間をケチってしまったり、知り合いのツテや噂話、イメージだけでビジネスを進めると失敗する確率は自然と高くなってしまいます。しかしそれは「中国だから」難しいわけではありません。

日中の関係を考える際に、政治的な問題は避けて通れないと思いますが、佐藤さんご自身に影響はありましたか。
出演していた番組がデモで放送中止になってしまったこともありましたが、逆に沢山の励ましの言葉をいただくこともあります。ビジネスに多少ダメージを受けましたが、住人としては全く何ごともなく過ぎていきました。

誰かに嫌味を言われたこともありません。中国企業と商談していた時も、テレビで尖閣諸島の話題がニュースで放送されると、逆に政治は政治、民間は民間で関係ないので我々はビジネスで結びつきましょうとお声がけいただくこともあります。

結局デモに参加している人たちは、実際に日本人と交流したこともなく、日本へ行ったこともない、いわゆる本当の日本を知らない人ばかりだそうですが、日本をよく理解してくれている人たちは良さも悪さもひっくるめて日本を見ています。

同じようなことは日本にも言えますね。メディアを通したイメージでしか相手の国を理解していないこともあります。
反日、反中国に関しては、日本でも同様のことが言えるのではないでしょうか。もちろんそれぞれの国の癖はありますが、お互いを深く知れば人と人のよいご縁が生まれてゆくのではないか。そのためにも、できるだけチャンスがあればテレビに出て、普通の日本人として日本を紹介しています。

「知らない」ということは、先入観による反感や嫌悪感、誤解を生みますし、逆に「知る」と相手の行動や言動の理由も理解できるようになると思います。

中国と言えば、私も洗礼を受けましたが、宴席での慣例がありますね。沢山飲むという(笑)
お酒の席でのエピソードですが、中国で初めて着いたのが、当時の某区人事局局長が声をかけてくれて参加した食事会でした。大きな円卓に十数名の方が座っていて、私は局長の隣に座らせていただいたんです。席に着いてすぐ局長に「お酒を注いだグラスを持って一周し、乾杯の挨拶をして」と言われました。日本では居酒屋でカクテルやサワーを飲んでいただけでしたので、自分がどれだけお酒が飲めるかわからず紹興酒でいきなりの宴会デビュー。

グラスに少しづつお酒をつぎたして行き、乾杯をする際に局長から「グラスを重ねる時には自分のグラスを下に」「飲み干したらグラスの底を傾けて相手に見せて」など、いろいろ指導されながらまわり、一周終わる頃には、見知らぬ外国人であった自分を親しく名前で呼んでくれるようになっていました。

食事が始まってからも、合間に一口お酒をいただこうとすると、また局長が「一人で飲まないで必ず目の前の人や横の人と乾杯しながら飲みなさい」「相手の席が遠い場合は、お互いにテーブルにグラスを二、三回軽くぶつけて挨拶しなさい」と色々口を挟んで指導されました。今思えばかなりのスパルタですが、この宴会で学ぶべきお酒のマナーを全て教えていただいた本当に貴重な経験でした。

ビジネスのためにお酒を飲む必要はありませんし、今は中国でも公務員や軍隊の接待費枠が大幅に下げられ、現場をリークされるのを恐れる傾向にあってお酒を飲む場が減りましたが、ただお酒のマナーを知っている=中国の文化を理解しようとしているという心意気の現われが、中国の皆さんにはとても好ましく映り、その後も続くようなご縁をいくつもいただきました。
中国で人気者の理由(ワケ)
やはり、信頼関係というのは、「人」と「人」で直接築き上げていくものだという根底の意味を改めて教えられる気がします。ただ1対1だとなんとかできそうであるけれど、1対マスではなかなかできるものではない。佐藤さんは大変多くの中国の人たちに愛されていらっしゃいますが、中国の人々に受け入れられた理由は何だと思われますか?
いろいろあるかと思いますが、まずは中国語で、中国文化をしっかり踏まえた今風な会話ができるというところがポイントだと思います。TV番組ではトークがどこまでできるかが重要ですが、中国人と少し違うテンポや特徴が受け入れられたと思います。

例えば「主婦」という立場に憧れて、好きな男性に尽くしたい、というような。日本なら普通なことも、中国では「特徴」の一つになってしまうのが面白い点でもあります。中国は男女平等なので結婚しても女性の姓は変わりません。結婚しても男女別々に社会保険に加入し、働かなければいけない社会ですから、家事は女性の仕事だという考えはありません。

やはり事情や文化や歴史があって、徐々に社会通念や、役割分担のようなものが決まってきてしまうのであれば、日本や韓国のような国がすぐに変わるのは難しいかもしれません。
特に私が住んでいる上海は家事は男性がするという習慣もあります。女性が非常に強い立場にいるので、面白いけれども古風なキャラという日本人女性の私が受け入れられたのかもしれません。

自分も働いて家族を養っているので仕事の大変さも分かるから、ゴチャゴチャ言わすに男性には尽くしたい、子育てもしっかりしたいし、家のことにも手間をかけたい、というような発言をしています。

それは、周囲にいる駐在員の奥様たち、専業主婦でもお手伝いさんがいて、毎日お習いごとで私よりもスケジュール帳が真っ黒で、何より子供に手間をかけてあげることができる息子の同級生のお母様方に本当に憧れていて、そういう言葉がスラスラ出ちゃうんです。

包み隠さず、素直に発言することが奏功したと。
中国ではそれが意外で、ポンポンとテンポ良く話せるのも面白いのだと思います。ただ思ったことをストレートに表現する中でも、中国の方の考え方や風習というのをしっかり外さないようにしています。ちょっと皆さんと違う視点から面白い発言をしながらも、中国文化をしっかり分かっているというところが一番の受け入れられたポイントだと思います。

中国のみならず日本人として海外で生きていくためのTips、資質、また、どのような考え方があると思われますか?
固定概念にとらわれないことと、広い心を持つことだと思います。自分が今まで生きてきた世界とは全く違う社会の中で生活させていただくので。
死ぬ気になれば誰だってキャリアなんて積める
佐藤さんは本当に絵に描いたような「アジアで活躍するキャリアウーマン」ですね。そもそもどのような「キャリア観」を持っていらっしゃいますか?
「キャリア観」は全くありません。息子にきちんとよい教育を与えたい、そのためにはインターナショナルスクールや日系の塾に通わせたい。それには経済力が必要なので、その日一日できることを精一杯行っているだけです。

もしかしたら「東京ウーマン」の意図とは逆になるかもしれませんが、今でも専業主婦に憧れますし、一番賢い生き方ではないかなと思います。仕事なんて死ぬ気でやれば誰でも絶対にキャリアは積めます。それだけ他のものを捨てて命がけで頑張れば、応えてくれない仕事はありません。覚悟がどこまであるかだと思います。

「覚悟」・・ですね。先程から「根性」「覚悟」と男らしい言葉がさく裂しております(笑)。
決めた仕事に命がけで取り組んでいるのに全くキャリアが積めないという話は逆に聞いたことがありません。そこまで切羽詰って向き合っているかどうかだと思います。もちろんそれが成功するかどうかはまた別の話ですが、失敗からも全力で学びそれを乗り越える気構えがあればそれすらもキャリアへ続く道だと思います。

私が最初に起業したカルチャースクールは創業から人にお譲りするまで5年間経営しましたが、上海万博など大きな舞台にも関わらせていただいて、それでドカンと儲かったかといえば全然そうではありません。手探りもいいところの起業だったので、今思えばとんでもない回り道を沢山してしまい効率も悪かったと思います。しかしその時代に学んだことや培った人脈は今も生きています。

先にキャリア観があっての仕事ではないと。
キャリアは積もうと思ったらいつからでもできます。でも主婦になるには良い旦那様を冷静にキャッチしなければいけないので、努力がそのまま報われるとは限りません。私もこの年になって、「主婦」は実は一番賢い選択だな、凄い職業だなと思っています。仕事にかまけて子供に手間をかけてあげられなかった反省からくる部分もありますが、なれるなら今からでも専業主婦になって、息子の同級生のお母様方みたく子供に手間隙をきちんとかけてあげたいと思います。

私にとって何が大事かというと、やはり一番は息子です。現在は、息子が大きくなってきたのを機に住み込みのお手伝いさんを夕方までの通いに変更し、夜と週末は子供と二人で過ごしています。もちろん断れない夜の予定や土日の会食・商談もありますが、その際にはお客様に同意を得て、息子を同伴しています。息子も私が夜遅くなるのも遊びでお酒を飲んでいるわけではないと理解してくれるようになりましたし、自然といろんな知識も身についてきました。固定的なキャリア観がないのが私のキャリア観です。
ボーダーレスの時代に自分が出来ること
日本も景気がやや上向いてきたとはいえ、やはりカギを握るのは人口動態です。そう考えると、世界のどこよりも高齢化と人口減が進行している日本にとって、成長著しい隣国との関係が重要になってくる。日本はこれからの中国をどう見れば良いと思われますか?
ビジネスに関しては、日本にとってこれから中国は益々生産拠点から販売拠点へと移行してゆく方向にあると思います。手がけている日本企業の中国進出の第一歩である会社設立業務ですが、以前と違い今はほとんど中国で物やサービスを販売する日本企業の設立がメインとなっており、今後中国は大きな市場として日本企業が戦っていく場になると思います。

ただ中国で物やサービスを販売していくとしても、日本でよく売れているから、受け入れられているから中国でもいけるのではないかというと、必ずしもそうではなく、工夫が必要です。

例えば麒麟ビールの同シリーズの商品名が中国各地によって違うというのは有名な話ですが、中国は広く特有の方言もあり、中国人同士でも聞き取れず外国ほど文化も違います。

そこで必要とされるものも食べられているものも全く違ってきますし、商流にも特徴があります。各地方に必要とされるカタチにパッケージを調整したり、全く日本とは違う方向へキャッチフレーズを変える等、地域に即した販売ストーリーを立てる必要があります。

そこにそのストーリーにあった代理店をマッチングする仕事は、やはり経験がモノをいうところがありますから、誰にでもできることではなく、自分の特色だと思います。現在では良い商品ほど、並行輸入でどんどん中国に入ってきてしまいますから、正規輸入を開始した際の障害となるケースが最新の問題点となっています。そうしたインターネット戦略のサポートも行っていますし、今後も日本企業の中国進出をお手伝いしていきたいと思っています。

最後に、これからグローバルに働きたいという女性へのメッセージをお願いします。
今の時代は本当にボーダーレスだと思います。世界を視野に入れて、自分はどこで一番活き活き生活できるかを判断しても良いと思います。ただ海外に出て働くほど必要になってくるのは、日本人としてのアイデンティティだと思います。海外では自分が外国人です。おのずと日本という自分のバックグラウンドが明確に浮き出ます。日本人としてのマナーや文化が理解できてこそ、海外で自分の強みが出るということも忘れないでほしいですね。
 
-企画・取材-
img谷本 有香 Yuka Tanimoto
経済キャスター/ジャーナリスト 
山一證券、Bloomberg TVで経済アンカーを務めたのち、米国MBA留学。その後は、日経CNBCで経済キャスターとして従事。CNBCでは女性初の経済コメンテーターに。

英ブレア元首相、マイケル・サンデル教授の独占インタビューを含め、ハワード・シュルツスターバックス会長兼CEO、ノーベル経済学者ポール・クルーグマン教授、マイケル・ポーターハーバード大学教授、ジム・ロジャーズ氏など、世界の大物著名人たちへのインタビューは1000人を超える。

自身が企画・構成・出演を担当した「ザ・経済闘論×日経ヴェリタス~漂流する円・戦略なきニッポンの行方~」は日経映像2010年度年間優秀賞を受賞、また、同じく企画・構成・出演を担当した「緊急スペシャル リーマン経営破たん」は日経CNBC社長賞を受賞。 W.I.N.日本イベントでは非公式を含め初回より3回ともファシリテーターを務める。北京大学外資企業EMBA 修了
http://www.yukatanimoto.com/

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 


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