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■ 東京ウーマンインタビュー


若者と政治をつなぐ、教育とお笑いそれぞれのアプローチ Vol.2

10代の投票率はどうなるのか。
たかまつ:18歳選挙権が導入されて、投票率は上がると思いますか?

原田:18歳の高校生は投票に行くんじゃないですかね。でも18歳の大学1年生とかは多分カオスですよ、行かないですよ。

たかまつ:なんでそう思われたんですか。

原田:一つは大学1年生って特に親元離れたりすると、政治に触れる機会というのは全然ないんです。高校生であれば、おそらく担当の先生辺りが「投票行けるやつは行けよ」と言うんです。家族がいたら、親とちょっと話をしたりとか。

たかまつ:確かに私、誰にも大学の先生とかから言われたことがないかもしれないです。クラスみたいなものもないですしね。

原田:実家から通ってる大学生はいいんですけど、結構な割合で実家から離れているので、住民票を移してないから地元に選挙いかなきゃいけないというのもあるし、そもそも制度的に住民票を移してから3か月経たないと投票できないというのもあります。

7月に選挙に行こうと思ったら、3月末に移さないといけないんですよ。入学式の日に住民票を移してても、自分が今いる東京じゃなくて、例えば僕の場合だと地元の岡山で投票しなきゃいけない、あるいは不在者投票しなきゃいけないんです。

こういった制度の穴みたいなところを本当にもっと世の中の人に知ってもらいたくて、その穴のせいで投票率が下がるんですよね、絶対。多分70代の人だって、わざわざ郵便投票しなきゃいけないとか、新幹線で3時間かけて投票所に行かなきゃいけないとかなら行かないはずです。

たかまつ:そうですね。それはなかなか厳しいですよね。

原田:でも全体的に言うと、意識としてはそこそこ高くなっているので。特に高校生は行くと思うんですけど、18歳全体で見た時に、それが30代くらいの高い投票率になるかと言うとそういうことはないと思っています。
若者ももっと自由に声をあげればいい
たかまつ:若者の意見が反映されにくいというのはあると思いますが、それを制度的に変えるべきだと思いますか?

少子化で子供も減っていて、投票率が90パーセント位いかないと若者の意見が反映されないという時点で、そもそもいびつじゃないですか。

その上で行かないという選択肢を取る場合もあると思うのですが、もしも70代、60代の人と、20代の投票率が同じぐらいになったところで、やはり若者の意見は反映されにくいというのは、おかしいんじゃないかなと思うんですよね。

原田:これはまさに少子高齢化の中だと制度的な欠陥みたいなものです。でも選挙だけで何かが決まるわけではないですし、当然いわゆるロビイングみたいな活動もあります。

色んな団体とか地域の方がこうしてほしいということを日々政治家にいろんなかたちで伝えるわけですし、僕はロビイングを悪いものだとは全く思っていません。保育園の話だって保育園を増やした方がいい、法制度化した方がいいというのをNPOの人たちに伝えたりしているので。

そもそも「選挙ですべて変わるんだ」みたいな思いこみは間違いです。もちろん大きなタイミングなんだけど、選挙ですべてが決まるわけじゃない。というのと「選挙以外で政治のアプローチができるんだ」とか、あるいは「アプローチしていいんだ」みたいなことを全く伝えていないということが、これまた問題です。そこは変えなきゃいけないですよね。

たかまつ:高校生の授業した時に、例えばどういう部分で政治に参加できるんだという部分で驚いたりしています?

原田:例えばYouthCreateでは、ツイッターを使って候補者に質問できたり、選挙の時に各政党に対して質問できますみたいなキャンペーンをずっとやっています。

僕らが無理やりキャンペーンと言っていますけど、別にやらなくたって自分でメンション飛ばしてリプライ待てば、返ってくる可能性も大いにあるし、実際そうやって返している議員だっていっぱいいます。それぐらいでいいんだよと。

あと具体例として絶対出すのは、各自治体のホームページの区長のプロフィールのページの中には大体区長への手紙コーナーみたいなのがあって、そこはクリックするとフォームが現れて、そのフォームにいろいろ記入することができます。

「この辺で困っています」と記入すると、基本的にはその行政の中で担当の部署までおりて、担当の部署からの公式見解とかちゃんと返ってくるんですよ。

そういう意見がたまれば当然担当の部署としてもあれ?これ大丈夫かなってことは検討しだすので、そういうのをどんどん送ればいいんだという話をしています。

たかまつ:それで例えば若い子たちを説得できるような大きな事例とかあったりします?

原田:公園の管理で言うとさっきのロールプレイやってもらったあとに事例を出すんです。例えば僕らが例に出しているのは、いわゆる住民説明会等で、「運動広場が公園にあるのに、駐輪場の数が少ないじゃないか」みたいな意見が出てきて、それに対して区としては、「駐輪場をもう一つ別の入り口にも増やします」といった回答が出てきたりするんです。

反映させた、でも多数決で反映されたわけじゃないですよね。多分一人の意見なんですよ。それが他との兼ね合い、あるいは予算的なものもできそうだったから変わった、ということは、伝えることで変わることもあるよと言うことなんです。

たかまつ:そういうことは若い人が意見しなかったら、ゲートボールの広場になっている可能性もあるわけですね。「サッカーコートをやめてゲートボールにしましょう」という意見が50通集まったらそっちになっちゃうかもしれないですしね。

原田:ですよね。もう一個事例で言うと、千葉市だったと思いますけど、公園の中でのボール遊びがOKになったんです。それは「ボール遊びをやる場所がない。それぐらい公園でやらせろ」みたいな若い人中心の声が増えたからなんです。

たかまつ:今までダメだったんですか。

原田:ダメだったんです。最近都内の公園では多いんですよ、ボール遊びがダメというところが。うちの近くの公園は「スポーツとしてのボールあそびは禁止」とかって、そもそも「スポーツとしてのボールあそび」の意味がわかんなくて。(笑)

たかまつ:本当にどこでもやれないですよね。

原田:それは恐らく誰かがボールあそびは危ない、それは子供がボールを追いかけて道路に出たら危ないからだめ、というのもあるかもしれないし、近所の人がうるさいからだめだと言ってるのかもしれないし、いろんな理由があるんですけど、それと同じく当事者としてもボールあそびさせろと言えば、通る可能性だってあるんだということは伝えなきゃいけない。

たかまつ:そうですよね。私が特に思うのは、批判とか反対の人って声をあげやすいじゃないですか。それで賛成の人が少ないように見えることってよくあると思うんですよね。そのことによって世論が変わっていったり、逆転しているようにみえる時があると思うので、確かに賛成の人も声をあげるのは大事ですよね。

原田:大事ですね。賛成反対まででなくても、疑問ぐらいでも声あげたほうがいいと思っています。特に日本人は自分の意見を言うのが苦手だという人も多いので、いきなり高校生に「この政治のここについてどう思うか意見を言え」と言っても、出るはずがないんです。

でも例えば「選挙制度について疑問あったら教えて」ぐらいの、反対意見じゃないいろんな声の出し方みたいなのをもっと鍛えてもいいかなと思います。

たかまつ:気軽に上げてもいいんだよ、「声をあげる為には、いろいろ調べたりしなきゃいけないんじゃないか」と思わなくていいんだよ、ということですね。

原田:そうなんですよね。特にネット上だと政治の変な意見を言うと、すぐにつぶしに来るのが面倒くさい話です。でもどうなんですかね。

僕サッカーも好きなんですけど、サッカーに今まで興味がなかった奴が興味持ってくれて、オフサイドと言われたらちょっとイラッとするけど(笑)、それはちゃんと教えますよね。多分そういう作用も政治にはあるはずなのに、いわゆる反対の意見をつぶしにかかっているみたいな。
政治家は投票率が上がらない方が得をする?
たかまつ:今おっしゃったことって、政治がわからない人にも伝えるということだと思うんですけども。それって、例えば政治家の責任なんですかね。

原田:うーん。悩ましいですね。政治家の責任も大いにあると思っています。政治家がいわゆる投票に行かない層を投票に行かせようと全く思っていない。全くと言ったら言い過ぎですけど。

たかまつ:それって、広い倫理観で言うとおかしいというのはわかりますし、全く行かない層や選挙権を持っていない人に対しても分かりやすく言う義務ってあると思うんですけども、それはあくまでもすごい理想論だと思うんですよね。

政治家は、当選しないと職を失うとしたら、今応援してくれている人たちだけでいいという考え方になってしまうと思うんですよ。もし投票する人が増えたら、自分の票も支持者も増やさなきゃいけないから。表ではそういっていても、自分の私利私欲を考えたら、本当は投票率が上がらない方が得する人の方が多数だと思うんですよね。

原田:もちろんです。なので最初にちらっと言いましたけど、僕らが政治と若い人の間に立ってやるという意義はあるんですけど、とは言え政治も変わんなきゃいけなくて、よく政治家の人に「町内のイベントやっても若者がいないから若者の意見聞けないんだよ、原田くん」とか言われるんですが、じゃあ若者がいるイベントに行けばという話なだけです、単純に。

若者がやっているフットサル大会に行って、空気読まないでも「ちょっとあいさつだけさせて」と言えば、多分「なんか国会議員来るらしいからちょっとあいさつだけさせるか」となると思いますよ。行ってみて、一人でも二人でもその政治家の人を知ってもらえばいいけど、そういうことをやっていないですよね?

それは政治家の怠慢で、もちろん選挙に勝たなきゃ何もできないから、それは前提としておいといていいと思うんですけども、それでもずっとやっていって投票率下がってどうするの?と。

たかまつ:そこまで考えられる政治家がいないんじゃないかということですね。政治家にしたら同じ時間があるなら、自分を支持してくれそうな人とか投票に行く人に会いに行く。

サッカーの大会とゲートボール大会ならゲートボール大会に行った方が、自分の票が集まる可能性は高い。そうなった時に、政治家に任せたままでいいのかなと思って…。

私たちは政治家を監視したりする役目もあると思うんですけども、どうやって変えていけばいいんですかね。

みんながみんなやる気があるとは限らないし、今の制度的なこともあるでしょうし、それでも投票に行って、私たちの声も反映してよっていう姿で見せていくしかないんですかね。

原田:見せていくしかないと思う。もちろん制度をガッツリ変えるというやり方はありますけど、少なくとも若者世代でできることは、若者が「政治に興味を持っているんだ」ということを示すしかないんですよね。

もちろん政治家だって「若者の言うことを聞こうと思っている」と行動で示すしかない…そこはやり続けるしかないです。
政治教育とメディア
たかまつ:一方でメディアについてはどうお考えですか?伝える役割とか、社会啓蒙みたいな部分って、メディアが担う部分がとても大きいと思うんですけども。

原田:メディアもくだらない不祥事ばかり伝えるんじゃなくて、中身あることをやった方がいいとか、変わるべきところはあるけれど、メディアが変わったとしても、そもそも若者がマスメディア的なところは見ないですからね。そこは多分マスメディアをちゃんと見るんだとか、そういうところから始めなきゃいけない。

たかまつ:テレビ見ないんですかね。

原田:政治のニュースをどこでとりますかと聞くと、一番はテレビなんです。だって、ネットニュースでわざわざ嫌いな政治のこと見ることないし、新聞はそもそも読まないし。あと、ちゃんとニュースを見ている人はちゃんと投票行くじゃないですか。政治のネガティブなニュースがあったとしても。

そこはメディアのあり方として「政治をどう伝えるか」というよりも、「どう政治のニュースを見てもらえるか」というところに関心を払うべきで、伝え方じゃないですね。まず投票率を上げる部分で言うと、投票に行かないと思っている人でも政治のニュースを見ちゃうような、そういう発信の仕方。

たかまつ:伝え方と見せ方って、すごい似てるように思いますが、何が違うんですかね。

原田:見せ方というのは、僕同じ意味で言っていて、そもそも番組を見てもらわないと伝え方の工夫も何もないじゃないですか。

たかまつ:じゃあ、もっと視聴率を上げる、ということに?でもその結果が不祥事とか不倫とかの問題を大きくとりあげるということじゃないですか。

原田:そんなに多いですかね、いわゆるまっとうなニュース番組で。正直あんまりテレビ見ていないというのもあるんですけど。

たかまつ:多分高校生が情報とっている部分ってワイドショーがほとんどだと思います。政治についてどこで情報とりますかと聞くと、テレビがあがる。

NHKの堅いニュースとか国会中継みたいなのではなくて、朝のワイドショーだと本当に不倫とか、汚職だとか、そういう画になるニュース。それが政治に対する負のイメージを作るし、だからその負の連鎖をどんどん招いていると思うんです。

ただ私はまだ若手芸人ですけど、テレビを作る側の人の気持ちもよくわかるし、私がディレクターでもそっちを使うし、演出家でも、そっちの方が面白いし、数字がとれそうだし、真面目なところ使っても数字がとれないし。

原田:そのへん全部「ニワトリ、卵どっち」の問題で、要は「テレビ見ないからテレビのクオリティが下がっている」というのもあるし、あるいは「投票に行かないのが先なのか、政治家が若者見ないのが先なのか」というのもありますね。

僕の考えはいたってシンプルで、やれることをやり続けるしかないです。僕らはメディアがどういう番組を作れるかにコミットできないんですよね。

となると今やれるのは、今までなかった政治教育がほぼ全員にやれそうだということであれば、その政治教育のなかでメディアの見方みたいなものもちゃんと伝えるべきだったらそこは入れた方がいい。

そのメディアの見方も、不倫のニュースはすぐテレビ消すようにして、ちゃんとしたニュースにチャンネルを合わせる方がいいなら、当然そっちに変わると思うし。

もちろん、こんなニュースにしてほしいとか、もっとまともな議論、例えばニュースの中でやってほしいこととかありますけど、これは僕らがやれるところじゃないので。

僕らのやれるところで間接的に、メディアもコンテンツ変えようかと思ってもらえるような作り方をしていくしかないんじゃないかな。
教育現場の強みは「強制力」
たかまつ:今、原田さんのやれることというのはなんだとお考えですか?

原田:教育現場の一番いいところかな…どっちに転ぶかわかんないんですけど、一番他と違うのは、間違いなく「強制力」じゃないですか。全員に受けさせると。

たかまつ:それはすごい強みだと思いますね。

原田:その強み、強制力という力をどう活かすかというところが今の僕の中での一番の課題だし、そのあたりをどうやっていくか。でも、逆に言えばその強制力、学校での政治教育というのが入ってきているんで、そのスタートの向きが間違うと大変なことになるんですよね。

たかまつ:そうですよね。なんか変な思想家を生むかもしれない。極端な話ですけども。

原田:そうですね、そう偏る可能性もあるし、僕が危惧しているのは政治教育をやった結果、「政治ってつまんねえんだ」と思う可能性も大いにあると思っています。

例えば学校が行政に依頼をして、選挙管理委員会の人に選挙のこと話して下さいとなったとします。選挙管理委員会もそれを断ることできないから請けると、良い悪いは別として、本当に時間がない中で、とりあえずお決まりの、選挙のルールはこれ、みたいなつまらない授業をやっちゃう。

すると生徒たちは45分、50分1コマ終わった後で、「選挙とか政治の話って結局つまんないな」で終わるわけですよね。その授業受けた結果として。それが一番怖くて。

でもそれはしょうがない部分もあって、それはなぜかというと、ちゃんとした担い手、あるいはプログラムがないからなんです。学校の先生がやれば担い手は解消されるのですが、まだ全く追いついていない。

それと生徒側も、生徒のことを考えてしっかり作られたプログラムなのか、そうじゃないのかってわかるじゃないですか。

たかまつ:芸人として思いますけども、表現力もめちゃくちゃ大事ですけども、コンテンツ、何のネタをやるかのほうが絶対大事ですよね。私どちらかというと話すのも下手だし表現力も芸人の中ではない方なので、コンテンツで補ったりネタのクオリティをあげる部分で補うしかないので特にそう思います。

原田:コンテンツを作る時は、受け手のことをめっちゃ考えてますよね。

たかまつ:そうですね。一回できたらもういいと思うので、その一回をみんなで作ればいいなあと思うんです。

原田:そうなんですよ。その一回をちゃんと作らないと、受け手の方を見てなくて、例えば上司の方を見てコンテンツを作っている人がいるわけですよね。なので強制力の学校での教育が怖いんですよね。

たかまつ:教科書にそこまであればいいのになっていつも思うんですけどね。せっかくあるのにと思って。

原田:僕も執筆に加わったんですが、政治とか選挙について学ぶ副読本を作って全高校に配っています。使うか使わないかは先生次第だし、当然使いたくない人とか使いにくい現場もあるので、そこをベースに学校の先生が想いをもってアレンジをするかというところがもっと進まないと難しいですよね。

たかまつ:確かにそうですね。難しいなあ。

原田:難しいですよね。これ結構難しいですね。
「第二のハラケン」、「第二のたかまつなな」
たかまつ:原田さんから私に、アドバイスとか芸人だからやってほしいみたいなことってありますか。

原田:たかまつさんの下の世代が来てほしいですね。たかまつさんから見ればライバルかもしれないですけど、ああいう社会問題とかを面白く語ることをやりたいと思う人がもっと世の中に出てこないと、やっぱりひとりじゃ限界。テレビに出られていても限界ってあると思うし、そういう人が出てくるようになると面白いかなと。

たかまつ:私が売れるということですね。(笑)

原田:そうですね。(笑) 憧れられるというかね。

たかまつ:養成所とかって例えば8.6秒バズーカさんがすごい売れたじゃないですか。あのあと急にリズムネタやる人が増えたので、そのくらい社会問題や政治教育で象徴となれるように頑張ります。

原田:あと若者だけじゃなくて、上の世代を巻き込むようなことを僕らもそうですがやらなきゃいけないですね。若者が変わろうとしても上がそういう意識がないと、社会の空気感で潰されていくと思います。

高校生が政治に興味を持って、政治の話をしようと思っても、親はやらないし、社会の中で政治の話ってされないようだと思うとやらないんですよね。すごく敏感に感じ取るので。社会全体が社会問題についてもっと考えた方がいいよというふうにならないといけないなと思います。

たかまつ:本当にそうですね。だからこそ「通訳」になれる人が本当に少ないと思って。この間もテレビの収録でゆとり世代の人とプラチナ世代の人と東大生軍団みたいなのと参加させてもらって、ゆとりとプラチナが議論している時に、まあかみ合わないことかみ合わないこと。

宇宙人と話しているみたいな感じなのでやっぱりここに「通釈者」がいないと、行政なんて特に古い体質でなかなか通訳になる人がいないと本当だめだなあと思いました。

原田:そうなんですよね。さっきのバングラデシュの橋の話じゃないですけど、それぞれの関わり方があって、もちろんいい部分も悪い部分もあるのに自分の思いだけ言っても伝わらないから、そっちの背景にちゃんと即して伝えないと伝わらないわけです。

海外で「スラムダンク」って全く流行らないんです。それって部活という制度がそもそも海外にはないから意味が分からないという話なんですよ。

やっぱりそのあたりの通訳者というか、お互いの背景をちゃんと知っているからこそ言えることがもっと増えていかないと。

普通の企業の営業であれば、当然営業先の会社の状況を知っている中で、どうわが社の製品を買ってもらうかってやっているはずなのに、なんか政治の議論とか社会問題の議論になると、こうあるべきだ論だけで止まっちゃうのがすごく危うい気はしていますね。

たかまつ:たしかにそうですね。

原田:そういう意味で言うと政治家がだめだとか行政の怠慢だというので発言終わっている人って、つまんないなと思いますね。

たかまつ:そうですね。でもちょっと興味のある人に興味を持たせるのは簡単なんですけど、全くそっぽ向いている人に振り向かせるのはめちゃくちゃ大変だと思います。

原田:僕の中でも解決策は一つしかなくて、その現場に連れていくか、もうちょっと広げていえば強制的に政治家に会わせるしかないですね。それで無理だったらもう無理だと思うんですよ。それができれば、そのうちいつか興味を持ちます。

なので僕らができるとするとそれぐらいだし、それをもう一個超えて解決できるとすると、教育現場で小中高積み重ねでやっていけば当然変わる可能性があると思います。

あとは現場のネタを持っていったり、実際に学校に政治家を呼んだりもするんです。それは学校の先生だといわゆる中立性だとかそもそも政治家とコンタクトないからどうやればいいかわからない。

僕らが呼んでくれば中立性とか、だれ呼ぶかとか、仮に何かあったとしても僕らの責任者としてもっていけるので、そういうことをやると意識は変わりますよね。

たかまつ:外部団体が入るというのはめちゃくちゃ大事だと思います。学校の先生の責任を軽減するという意味で。「たかまつななの責任でしょ」っていうふうに。しかも「あの人芸人だからね」みたいな。(笑)

原田:それぐらいの立ち位置で扱ってもらいたいですよね。外部としては。

たかまつ:なので、私はできたら自分ひとりじゃなくて、講師養成みたいな形でいろんな芸人さんに協力してもらって、どんどん広げていきたいなと思っているんです。

原田:そうなんですよね。吉本とかだと「"住みます"プロジェクト」っていって全国に芸人さんがいるわけなんだから。そういう芸人さんが街の話題を語るみたいなのが増えてもいいかもしれないし、いろいろやりようはありますよね。

たかまつ:おもしろいですよね、それは。確かに地元の話入れられますもんね。

原田:その広がりですよね。「第二のたかまつなな」みたいなのが。

たかまつ:いるんですか、「第二のハラケン」は。

原田:いると思いますよ。特に大学生はおそらくお知り合いの方もいると思いますけど、僕がivote始めた時に比べると、大学生で若者と政治やるんだって方がすごい増えています。

たかまつ:原田さんの元に「教えてください」と来る人で若い人はいるんですか?私みたいに「政治教育やりたいんです、話聞かせてください」みたいな人。

原田:結構いますね。団体を立ち上げようとした時に、挨拶にきてくれたり、どこか地方でやっている人が東京に来る時に連絡くれたりとか。嬉しいですよ。長くやってよかったなと思いますよ。その時は、偉そうなこと言って…(笑)

たかまつ:若い芽を摘むんですか?(笑)

原田:摘まないですよ。まさか。(笑)

たかまつ:よかったです。政治をやっていなくて。

原田:あとは最近中学生高校生とかからも結構連絡が来るんですよ。

たかまつ:なんでですか?

原田:例えば夏休みの研究発表とか、高校でも卒業発表みたいなのを書かせるところが増えているみたいので、そういったネタで18歳選挙権とか若者の投票率をやりたいという人が増えてきているので、そのヒアリング等です。
政治教育を始めるのは今年が最大のチャンス!
たかまつ:今までの活動の中で、人を集めるのが大変だとお話しされていましたが、それ以外に大変だったことはなんですか。

原田:政治的中立というのはメッセージ性が弱いというところで悩んでいます。まさにさっきおっしゃったように、批判だとメッセージが強い。でも賛成でもおそらくメッセージがまだ強いんですよ。

でも僕は「政治について考えよう」としか言えなくて。消費税あげるのがいい、下げるのがいいという話じゃ何もやれないよというんですよ。

そこはメッセージ性が弱くなるし具体性に欠くというのは悩ましいかなと。そういう意味で言えばメッセージでは伝わらないんですよね。何か体験してもらわないと。

たかまつ:そこは悩ましいですよね。何か説得させるために主張する方がはるかに作るのが簡単ですもんね。芸人さんでも例えば私が尊敬している松元ヒロさんという方がいらして、もともとニュースペーパーにいらした方で、「憲法くん」というネタをやってるんですけども、憲法の気持ちになって「憲法を変えないでください」みたいなことをやってらっしゃいます。

それはめちゃくちゃ面白いし、なるほどな、と説得もするんですけど、改正する側の意見は当然入っていないわけじゃないですか。この辺も難しいなあと、やっぱり。すごい面白いし、笑いをとるのはそっちの方がはるかに楽なんですが。

「笑いをとる」というのと、「分かりやすくかみ砕く」って、真逆の作業なんです。同時にすることはできないんですよ。

でも、交互にすることならできると思って、舞台上にあえてギャルの子とか何にも知らない女子高生の子を置いてそこで掛け合いをやるみたいなことをするようになりましたね。

原田:そうですよね。ひとりじゃ伝えきれないし、突っ走っちゃうじゃないですか。掛け合いの途中で疑問とか入れてくれると一旦立ち止まれるから、確かにコンテンツは一人で講演依頼が来た時でも極力会場にはちょこちょこ投げるようにしていったりしてるので、そこは近いのかなと思います。

あとは悩ましいところ…あんまりないんですが、不安があるとすると、参院選が終わったら一気に今いただいている機会とかが激減するのが怖いですね。

たかまつ:それはあると思います、といったら失礼かもしれないですけど。

原田:ほぼ間違いなくあると思います。だから一過性のイベントとかじゃなくて、しっかり年度計画とか数年計画とかで一緒にやっていきましょうみたいなことを、参院選が終わる前にちゃんと組んでおくことは考えなければならないと思う。

たかまつ:私は、政治教育はずっと先にやろうと思っていたんですよ。最初は芸人としての自分の芸を磨くのと、大学で勉強するということに力を注ごうと思ってたんですけど、逆にこの機会を逃したら、こんなに政治教育に興味を持ってもらえるきっかけはないだろうなと思って、だったら今立ち上がるしかないなあと思って。私も乗っかった感じですね。

原田:その通りですね。今年できないことは来年できないんですよ。

たかまつ:これが今一番、70年ぶりの見直しなのに、それでも何にも変わらなそうだから私はもう嫌だなって思って。

原田:正に。本当に何かの計画の一歩は参院選までに切っておかなきゃいけないです。一歩切っちゃえばあとは行くところがあるので、それをやらないとやばいですね。

特にメディアの人にそこは強く言っています。今は18歳選挙権やるけど、選挙終わった時に「18歳の投票率低かったですね」と勝手に言って、ハイ終わりっていうのはマジやめてくださいねと。

たかまつ:そうなると思いますよ。

原田:そうなるんですよね。残念ながら。

たかまつ:だから今のうちに学校現場で落とし込むということ。だから私は学校の先生に見てほしいなと思うんですね。私もいくつか取り上げてもらえる機会があるんですけども、そこで学校の先生に見て教育を考えてもらうきっかけを作ってもらいたいなと思います。

原田:それはあります。教育やって嬉しいのは、マニュアルとかをダウンロードしていろいろやりとりさせてもらっている会ったことない先生からYouthCreateのプログラムを元に授業をやって、こんなに生徒から反響きましたというのが一番嬉しいので。そこですよね。

YouthCreateの場合は、子育て世代というのも今年度のもうひとつのターゲットにしていて。そういう過程の中でどういう政治教育的な話ができるのかというのは、もっと広げていきたいです。
これからの「若者と政治」の担い手に向けて
たかまつ:プログラムのコンテンツの開発は誰とやられているんですか?

原田:僕とメンバー何人かです。たまに外部のコンテンツを作るプロの仕事の方々とかにちょっと相談に行ったりとかはありますけど。

たかまつ:すごい失礼な話なんですけど、収入源とかはどうしているんですか?

原田:よく聞かれるんですけど、講演とか機構とかメディアとかから収入を得ています。僕自身は今NPOから給料もらっていなくて、個人事業主みたいな感じで、NPOの収入はNPOの収入でうちの経費とかスタッフが一人いるので彼に回しています。NPOは行政と一緒にやったり企業とか、あとは寄付もいただいたりで回っているという感じですね。

たかまつ:やっぱり政治教育の話ってお金にならないから嫌だという人ほとんどで、それは結構悩んでいますね。私はこれは必要だと思うので、例えば赤字切ってでも自分のお笑いで稼いだお金から出してでもやっていることって多いんですけども、やっぱりお金にならないからって、それでも想いがある人は、集まってくださるんですけども。

原田:同じ想いはありますね。まあ、稼げないですよね。政治と若者というところは。ややこしいのは、他の国際貢献のNPOと違って、大きな企業から例えば年間100万みたいな大きなお金をもらうのが僕らは怖くて。そんな案件は別にないんですけど。色がついちゃうんで。

例えばトヨタから僕らが100万もらったら、あの団体は円高円安どっちを推しているんだみたいになるわけですよ。多分。広い意味で言うと。それはやりづらいというのはひとつあります。

まあ、でもなんとかなるし。なんとかならなかったら、それはそれで他のところで何とかして、儲かる事業と赤字の事業と、当然学校の先生にプログラム配ってアドバイスしているというところは人件費的にいうとただの赤字なわけですけども。

でもそういう経験があるから講演に呼んでいただける、今日みたいな対談に呼んでいただけるというのを割り切らないと難しいですよね。でも大丈夫ですよ。皆さんが思っているよりうまいこと稼ぎは増えていっています。

たかまつ:私もいろんな人たちに心配されるので。「芸人だけやってればいいのに」と。

原田:でもそれがどこかで僕らがお金にならないことをやり続けていると、それが社会的に意義があると思っていただければ、そこが徐々にお金になっていくじゃないですか。市場をつくっちゃえば、その市場に次の人が入ってくるんで。

やっぱり「若者と政治」について大学生でやっている方いっぱいいらっしゃるのに、その多くの人が卒業したら普通の企業とかに行っちゃうのは、もちろんそっちに行きたいという人もいるけど、どうせ「若者と政治」を続けていても食えないと思うからそっち行っちゃおうかなとなるんで。ある程度食えるというのをもうちょっと広げておきたいと思います。

たかまつ:ザクザク儲けてそれをアピールしましょう。

原田:そうですよね。ちょっと盛ってアピールするぐらいで頑張ろうかなと思う。(笑)

たかまつ:そっちの方がいいんじゃないですか。高級車乗ってやってきて。(笑)

原田:毎回ビールはプレモルですとか言っておいた方がいいですか?それぐらいで行きます。

たかまつ:最後に、高校生の方にメッセージをお願いします。

原田:本当にこれほど高校生世代というか10代に社会の着目が集まっているタイミングってなかったと思っています。そういう意味で言えば何かを言い始めるチャンスなんですよね。

そのチャンスの一つとして投票に行ける年齢の人は投票に行ってもらえればいいと思うし、別に投票じゃなくて何か社会問題に関心があるでもいいし。

もちろん芸人になりたいでもいいし、何かやった時に今年やっておけば去年より来年よりもはるかに多くの注目を浴びるし、はるかに多くのいろんな人からのサポートを得られるタイミングだと思うから、なんかやっちゃえばいいんじゃないですか。

その中の一つとして投票に行って欲しいです。何でもいいからやっちゃった方がいいと思います。

たかまつ:ありがとうございます。
原田 謙介さん
YouthCreate代表
1986年岡山県生まれ 東京大学入学後、国会議員事務所でのインターンを経験。独自で地元選出議員のもとで2年間お世話になる。東大3年時の2008年、「20代の投票率向上」を目指し学生団体「ivote」を結成。2012年3月に大学卒業後、「政治と若者をつなぐ」をコンセプトに活動を続ける。2012年4月、インターネット選挙運動解禁を目指す「One Voice Campaign」発起人。現在、NPO法人YouthCreate代表「若者と政治をつなぐ」をコンセプトに活動中。
オフィシャルブログ:http://haraken0814.blogspot.jp/
Facebook: https://www.facebook.com/kensuke.harada/about
Twitter: https://twitter.com/haraken0814?lang=ja
たかまつななさん
お笑いタレント
株式会社 笑下村塾代表取締役
神奈川県横浜市生まれ。フェリス女学院出身のお嬢様芸人として、テレビ・舞台で活動する傍ら、お笑いジャーナリストとして、お笑いを通して社会問題を発信している。芸能活動する一方、慶應義塾大学政策メディア研究科と東京大学大学院情報学環教育部で学業に勤しみながら、講演会・シンポジウム・ワークショップ・イベント企画など手がける。夢は、お笑い界の池上彰になることである。18才選挙権を機に、若者と政治の距離を縮めるために、株式会社笑下村塾を設立。「笑える!使える!政治教育ショー」を開発し、全国に出張授業・講師養成を行う。
オフィシャルサイト:http://takamatsunana.com/index.html
株式会社 笑下村塾:http://www.shoukasonjuku.com
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