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■ 未来へ繋ぐ女性の生き方


「女性の権利省」が存在する国 フランスの女性の生き方事情

「女性の権利省」が存在する国
フランスの女性の生き方事情

高橋 真美さん
パリ在住フリージャーナリスト
コーディネーター
仕事、結婚、育児・・・。時代の流れと共に女性を取り巻く環境も変わり、生き方も多様化していると言われています。政府も2020年までに企業での女性管理職の割合を3割にするといった数値目標を掲げる等、日本でも女性の社会進出に関する話題に関心が高まってきています。

職場での問題、夫婦・恋人との関係・・・。視野と角度を広げれば、仕事やプライベートでもどう向き合うか、答えを見いだしていけることもあるはず。仕事もプライベートと一生懸命生きる女性に、生きるヒントとして成り得たらと様々な角度から問題提起していきたいと思います。

第一回目のインタビューは、フランス・パリ在住の日本人ジャーナリスト、高橋真美さん。2年前、内閣に「女性の権利省」が生まれた国、フランス。社会進出にとても女性が積極的と言われるフランスの女性たちの生き方、結婚観などを伺いました。
「女性の権利省」が存在する国、家庭も仕事も充実させたい
先日、社会党の女性の議員さんを取材したんです。 党内の重要な任務を担っている幹部で、家庭では二児の母親。 とても輝いていた。今風の服を着て、凄く綺麗。明るく迎えてくれて。

彼女は「フランス人女性は欲張りだという」と。 仕事だけうまくいっても満足しない、家庭だけ手にいれても満足しない、両方よ、と。 フランス女性の中には家庭がありながら 「もっともっと上にいきたい、交渉したり上にあげてくれ」と訴える人も多い。

フランスのファッション誌「エル」では、フランス人女性の生きるモデルとして取り上げられていて、登場する女性は働いてて家庭を持ってる、色んな年代に渡って紹介されていて。

フランスではそれが当たり前、両方手に入れようとして、女性がそういう気持ちで 頑張ってそれを国も後押しをしてる、という感じ。

国は・・・例えば、政治家の数を男女一緒にしましょうという法律「パリテ法」をつくった。 このままだといつまでたっても男性議員ばかりで、それじゃものごとは正当に決めていけないから、両方同じにする、と法律を決めて・・・。 それから確かに女性議員が増えています。
子育て中の女性議員の声で国会が変わる?!
女性の議員が増えてくる事によって、例えば9時からの議会が、9時半からになった。 子どもたちの始業式が議会のミーティングとバッテイングしていたので、 女性議員たちが時間を変更しましょう!と声をあげたのです。 フランスでは、子どもたちを各家庭で学校に送らなければならないんです。

それも、8時20分から30分までの10分間に校門にとどけなければならないのですが、 ネクタイ姿のサラリーマンや、高いハイヒールはいた働くママたちも子どもたちを学校に送っている。 こんなふうに女性議員たちが声をあげることで、家庭を男女両方で支えようという社会に変わっていく。
「企業にもパリテ」国がメス
政府がメスを入れようとしているのが企業のパリテ。 企業の管理職を男女同数に近づけるために各大手企業がどのくらい管理職に 女性を採用しているかランキングを発表しているんです。 こうすることによって企業もイメージアップにつなげようと積極的に女性管理職を増やし、 少しずつ企業のパリテの効果があらわれている。

このように、女性がキャリアと家庭の両方手にいれられるように国が後押しをしている。 それは日本にはある? 日本のメディアが、「家庭も仕事も凄い、管理職女性」って伝えても、「雲の上の人」、「例外よ」、という反応がほとんどでは? 子育てをしている現代のフランスの女性たちにとって管理職は、「私でも手に届くかもしれない」、と目標圏内に入ってきている。
フランス女性起業家のカタチ
起業も男女同じくらいありそうだけれど、そういえば男性起業家コンクールってないよね?(笑) でも、女性誌が主催する「女性企業家コンクール」は話題になっているから、やはりフランスでも珍しいのかな。

フランスの女性起業家とは例えば、布地屋さん。パリのモンマルトルの近くに布を売ってる界隈はあるけれど、フランスでは全体的に店舗がなくなっている一方で、需要はかなりある。 そこに目を付けた女性が、多種多様の布を集めて1m単位でネット販売した。

最初はひとりで経営していたのが、フランス中からオーダーが殺到。 こんな女性起業家が成功しているニュースを見ても、女性はこういう所に目をつけるのが上手、 隙間産業的な。フランスでもネットで事業を成功させたケースが話題になっている。

それから、ママ専用サイトは多々あるけれど、パパ専用サイトがない、と。 今週末どこに連れて行くか、今夜はママが出張でいないから、夕食に何を作ってあげるか、どこに宅配を頼めばよいか。子どもを連れていけるコンサートはどこか、などの情報を提供するパパの為のサイト、これを女性起業家がやってヒットしています。
世界的に有名なフランスの制度「PACS」、事実婚を選ぶわけ?
フランスの事実婚が多い理由は、誰かのものになる、という考え方への抵抗だと思います。 フランスの結婚って進んでいるように見えるけど、結婚という手続きをとると 夫の姓が「結婚姓」となり、銀行のカード1枚も夫の姓に。 ただし、身分証明書は、旧姓も併記されるし、所得税の申告書などは旧姓も使えるので日本よりは柔軟。 束縛されることに抵抗があるため、「結婚」という法的な手続きをとらなくても、 一緒に住む、事実婚で十分だと考える人は多いんです。

事実婚だと世の中は認めないという日本の考え方ではなくて、世の中も事実婚認めましょう、というのがフランスの考え方。 オランド大統領はパートナーだったロワイヤルさんと事実婚で4人の子どもをもうけた。 その後、別れて、大統領選になってからジャーナリストの女性記者がファーストレディーとなった。

最近、大統領は女優と親密な関係があることが発覚して、その女性記者とも別れた。 私が関心するのは、事実婚を選ぶ女性たち。

大統領を取り巻く女性たちは、大統領と別れた後も自活していける力がある。 自立してこそ手に入れることができる「自由」なんだと思う。

フランス人女性は8割以上が職についている。これは生活のためだけではなく、自由を手に入れるためでもある。 婚姻届は出さないけれども、カップルとして認められるから一世帯として税金の所得申請も出来るし、世帯として認められる。

フランスでは、離婚手続きが凄く大変。子どもがいると更に複雑になる。 例えば、母親に親権があったとしても二週間おきの週末と、バカンスの半分はパパと過ごせるように法で規定される。 離婚後、新しい人に会ったけれども結婚ではなくパックスを選ぶ人が多いと聞いている。
50%、婚外子率の多いフランス
日本人がイメージする婚外子は、結婚相手以外の女性から生まれた子どもたちかもしれないが フランスの場合は、結婚をしていないカップルの子どもたちを指している。 パックスを結んでいるカップルから生まれた子どもも「婚外子」のカテゴリーに入ります。

フランスは政教分離の国であり、カトリック教は国教ではないけれど、 こうした家族制度の自由化に対するブレーキをかけようとする力も小さくはない。

カトリック教は、離婚を認めず、避妊もよしとしない考え方。 私たちは日本人カップルですが、パックスを結び、子どもができたことがきっかけで結婚をしたんです。

出産する病院をカトリック系のクリニックにしたところ、 修道女さんから「あなたたち日本人カップルなのに、パックスとは何なの?」と言われて、 「わかりました、結婚します」と。それで結婚する運びになりました(笑)。
お互いの連れ子が一緒に暮らす「複合家庭」
それから、フランスでは「複合家庭」が多い。 カップルがお互いに離婚や離別を経験していて、それぞれ既に子どもがいる。 2人の間に子どもが生まれて、新しい家庭を構成する。

私は、「複合家庭」に数ヵ月だけ暮らした経験があって、2人の子どもの母親がそれぞれ異なっていたけれど、 お互いにいたわりあって暮らしていたように見えた。

びっくりしたのは、2人の子どもの母親がそれぞれ彼氏を伴って食事に来た時で、 それぞれが心の内側で何を考えているのか、子どもたちは複雑な思いをしていないのか、 観察をしていた。

私は例外的な家庭を見たと思ったけれど、フランスでは全く珍しくない家族形態だった。
恋愛大国フランス
サルコジ前大統領も「複合家庭」に暮らしている。3人の女性との間に、5人の子どもをもうけたんだけど。 3人の女性とはそれぞれ正式に結婚していた。 2人目の妻は、サルコジ氏が大統領選挙中に他の男性の元にいってしまって、大統領に決まった瞬間に「さようなら」と立ち去ってしまった。 フランスは恋愛大国なんです。笑
肉親ではない人と暮らす、子どもたちの心境は
社会が複雑な家族に対して冷たい視線を向けないから、子どもが非行に走ってしまうとか、自分をマイナスに見るようなことは無い。 親から受ける愛情に変化がない、という事がわかっているから。 一般に想像するより悲惨な状況ではないものの、 不安定になっている子どもたちを支えようとするアソシエーションもあるので全く問題がないとは言い切れないでしょう。
1.6(1993年)→2.1(2009年)上昇する出生率のワケ
フランスでは、子どもを産みたい・育てたい場合は、2人の子どもがもてるように推進しています。 子ども手当に当たる「家族手当」は、1人目には出ないけれど、2人目から手当があって(月127.05ユーロ 2012年12月現在)、3人目からはその30ユーロ位が加算されます。

教育費も自己負担の比率が少なくて、公立の学校は無料(給食代は別)。 国にきちんとした家庭政策があって、フランスでは出生率上昇によい効果を出している。子育てをするための財政的な不安がない。 私のように子どもが1人なのは珍しい方で、たいていは子ども2人。3人や4人の子どもがいる人も多い。子どもが多いのは移民系だけではないことも付け加えておく。

【参考】各国の家族関係社会支出の対GDP比の比較(2005年)※出典:厚労省
※先進国の中で日本が子どもにかかる手当や教育費は圧倒的に少ない。
世界の子育て予算を比べて
日本政府が子育ての支援にかけている予算は、GDP比でスウェーデン3.21%、フランス3.00%、ドイツ2.22%に対し、日本は0.81%と先進国中最も少ない国の一つとなっている。特に6歳以下の子どもへの支援額がOECD諸国平均と比べ非常に低いとOECDに指摘されている。

私の4歳の子どもは、公立の幼稚園っていうけれども、日本の幼稚園とはちょっと違って、「小学校の就学前教育」と言う。 教育の一環に組み込まれていて、義務教育ではないけれどもが3歳の子どもの9割以上が通っている。給食代は所得によって値段が異なるが、学費は所得額にかかわらず無料。
フランスから見た、日本にこれから必要なこと
日本人男性も育児に参加したい人が多いのではないでしょうか。 子どもの送り迎えをする背広姿のパパは、大変そうだけれど、素敵。 女性には、仕事に生きるか、家庭に生きるかとかじゃなくて、両方手に入れられる例がここにある、と伝えたい。

仕事と家庭の両立は無理、と自分自身も思っていたけれど、ここでは色んなレベルの女性たちが両方を手に入れています。 それから日本は、国や企業は女性が役職につけるような配慮、国は後押しするようになったらいいかなと思います。 そのためには、もっと女性が政策決定に参加し、社会に出ていくことが必要ですね。
高橋 真美さん
北海道報道(HBC)の記者を経てフランスへ留学、大学でメディア研究を専攻。その後フランスの時事・社会情勢を伝えるジャーナリスト、日本のメディア(テレビ・雑誌等)とフランスを中心としたヨーロッパ諸国を繋ぐコーディネーターとして活躍中。フランスでシェフとして活躍する日本人男性と結婚、出産し、現在子育て中。
HP:Office MaMi
最近、Face bookのCOOシェリル・サンドバーグ氏の書籍「LEAN - IN」の中で、世界中の女性の問題、途上国の少女たちが売春を強いられて生きていく、主に中近東で女性が家族の手に殺されてしまうという名誉殺人等も含め、女性差別の問題を解決していくには様々な分野で女性の幹部がもっと誕生すべき、そして問題を提起し議論していくべきだという記述がありました。

世界のみならず、これまでいろんな職場で、子育てを理由に第一線から退かざるを得なかった女性、結婚・出産を考えて、キャリアへ一歩踏み出せない方等、色々な悩みを聞いていく中で、今より視野を広げられるような視点でインタビュー取材を企画しようという運びになりました。女性が安心して、子どもを産み育てられる社会を望みます。

パリは、13年前に訪れたのですが、ユーロ圏になった事で他国から移民が流れ、犯罪率も上がっていると伺い、また、不況から治安の悪さを肌で感じました。一方で、今 パリでは日本の食文化が受け容れられ、ラーメンやお弁当が大ブームです。日本文化が益々花開く、と予感したこの度のパリへの旅なのでした。
加藤 倫子
PRESS ROOM
ライター、広報・PR支援を個人事業で行う。 ニュースの仕事を通算で8年。社会、政治、国際のニュースをテレビ、週刊誌、Webで取材・編集に携わる。他にも金融機関で営業職を4年、会社のPRや新聞広告作成など広報の仕事を任される事が多く、外部広報・PR業務を受諾、企画支援、新規事業支援、ライター業も。報道(メディア)とビジネス両面の経験を強みとし、仕事を展開している。
写真協力:Yuzo Komoriyama(加藤倫子プロフィール)


 


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