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■ 未来へ繋ぐ女性の生き方


当事者だからできる助け合い~若者と子ども達の未来の為にvol.2

女性の年収アップで夫婦仲も円満?活動の先は「離婚減少」。
Q:江成さんのこれからの活動について教えてください。
江成さん:自分の人生を部分的ではなく、全体的に見てください、と伝えていきたいですね。
現在、キャリアカウンセラーの方たちとシングルマザー会員の方々とのコミュニケーションを密にしています。ご自分の強味をよく分かり、社会に出て活躍をしてもらえることが目的です。そして企業側にシングルマザーの方々の受け皿をつくってもらえませんか、と働きかけをしていますが、この2つをマッチングさせ、活動を拡大させていく予定です。

教育を施してから企業へ繋げたいので、もっと女性が社会に必要とされる人になる為の教育を深めていきながら、シングルマザーのみなさんには、できれば自身でお金を出して払うくらいの意識になってもらい、人生のキャリアを広げた上で、社会に出てどんどん活躍して年収も上がり、全体として女性の年収があがることで、私は夫婦仲も良くなると思っているんです。

というのは、依存心がなくなって、女性が今より自信も持てたら、シングルマザー同士も、企業と女性もそうですし、夫婦もそうですし、お互いを助け合う役割を担うようになっていったら、親子ももちろんですが、コミュニケーションがもっとうまくとれるようになって、ケンカも離婚も減るかなと考えているんです。活動の先は「離婚減少」だと思っています。

お母さんたちがベビーカーを押しながら「仕事にいってきます」と言えるような社会を目指します。子どもの具合が悪かったら、仕事はあの人に任せておけば大丈夫だ、と。子どもが治って復帰できたら、その倍頑張る、と笑顔で言える女性が増えたらと。子育てが原動力になる社会ですね。
「また仕事を休まなきゃいけない」と思いながら、心痛を抱えている今の状態を変えてゆければと思います。

岡田さん:支援しているのが、シングルマザーでもですか?

江成さん:これはすべてのお母さん達ですね。ご主人がいる、いないではなく、男女というものを考えていったら、どうしたら男女が仲良くいられるかに行き着いたんです。

岡田さん:シングルマザーの方も、もいずれ再婚だったり、パートナーもつくりたいという発想ですか?

江成さん:その方が私は良いと考えます。私は男女がパートナーシップを持つ事でより心が豊かになると考えています。
理想のパートナーシップ、女性が主導権?
岡田さん:いいパートナーシップを築く秘訣は女性に主導権があると私は考えています。女性が男性を上手に導いてあげる事でいくらでも良いパートナーシップをつくれる。日本の女性は「幸せにして」と依存してしまう傾向の人も多いようです。けれど逆に、女性はいくらでも”幸せにする事が出来る男性”にすることができるのです。

恋愛コーチングの講師をしている友人によると、男性は女性に何かをしてあげて喜ぶ姿を見る事が幸せなので、受け取り上手、肯定して認めてあげられる女性でいることが男性はいくらでも伸びてくれるそうなのです。男性に対して「私はこう思う」と頭ごなしに意見をかぶせるより、まずは「そうだよね」と認めてあげることが始まりです。相手をありのまま受けとめる器が女性の方にもっとあれば、いいパートナーシップが築ける、それは女性次第だと講師の友人とも話していました。

江成さん:男性が先なのか、女性が先に認めるのかをずっと考えていたのですよ。

岡田さん:私は100%、女性だと思っています。今は、女性の講座をやっていますが、男性の講座も考えています。というのも、エスコートさえできていない男性をよく見かけるのです。そういうマナーが出来ない、スマートでない男性を多く見受けますね。

でもそれを男性がしたとしても、受け取れない女性も多いんです。男性に「荷物持とうか?」と言われた時に「自分で持てるからいいです」という若い女性が100%なんです。

江成さん:自分でやります、私もそう言いますね。

岡田さん:それはいけませんね(笑)。男性に「さすがね」と言うと、もっとやってやろう、と男性は女性に対して、頑張ろうと思うそうですよ。

江成さん:男性に「何か欲しいものある?」って言われても、「自分で買うんで」と言ってしまいます(笑)。

岡田さん:可愛げのある女になりましょう(笑)。まずは相手を肯定する事が大事で「ありがとう」ってずっと言い続けていると、居心地が良いのでしょう。「ありがとう」が言えなかったら、「嬉しいです」でもいい。それは長続きする秘訣だと、恋愛コーチングの友人が言っていました。

江成さん:そういえば最近、男性から離婚届を突きつけられるという女性が増えています。
男性が家に帰っても居心地が良くないな、と感じてしまうケースもあるようです。

岡田さん:私のマナー講座では、所作・立ち振る舞いも大事なのですが、どうしたら愛されるかを、集中して行っています。女性が元気になって愛されると男の人ももっと元気になると思います。

江成さん:行き着くところ、大切なのは家庭と夫婦の関係、男女の関係ですね。
マイノリティでも、自信を持って生きられる支援
Q:これからの岡田さんの活動について教えてください。
岡田さん:自信を持つ子どもたち、自己肯定できる子ども達を伸ばしていくことを目的としてゆきます。若者たちは自分のマイノリティで悩んでいる人が多いのです。発達障害、摂食障害、障がいを持つ子、中卒の子。でもとにかく「自信を持って生きています」と言える子たちを育てたいのです。

意外と子ども達の方が差別の意識はなく、学校でも先生の方に差別する意識があることを聞きます。 若い世代の人達がどうしたら元気になっていくか、が課題です。

江成さん:自己肯定とは、自分の事を分かり、認めてゆくこと。 人を責めるのではなく、人を褒められる人が増えていくことになりますね。 そういう人が増えていく事で、社会も変わっていく気がします。

岡田さん:ご主人を責めるよりも、自分が愛される女性になりましょう、と。 ”いい女”になることが、世の中を良くしていく事に繋がるのかも知れませんね。
江成 道子さん
一般社団法人日本シングルマザー支援協会 代表理事
20歳で結婚し3人の子どもに恵まれ育てるも、夫の仕事の不振から27歳で離婚。31歳で再婚し、2人の子どもを持つもDV等が原因で37歳で離婚。その後、5人の子どもを一人手で育てる。会社員時代は主に営業職、様々な会社で営業スキルを養う。2011年にシングルマザー専門コーチとして個人事業開業。2013年7月、一般社団法人シングルマザー支援協会設立。「女性が子どもを育てながらも働きやすい社会」を目指し、シングルマザーの就労・自立支援・シングルマザー同士のコミュニティの構築・再婚支援等を行う。現在、同協会の代表理事。現在会員は700名。トラスト認定プロフェッショナルコーチとしての肩書きも。

一般社団法人日本シングルマザー支援協会
岡田 沙織さん
特定非営利活動法人 若者メンタルサポート協会 理事長
両親の離婚から孤独な幼少期、小学生の頃にはいじめ、中学ではドラッグ・自殺未遂、未成年での水商売、家出や暴走族、社会人期はDV・離婚・うつ病・生活保護の受給等、数々の人生経験を持つ。外資系化粧品会社勤務を経てイベントコンパニオン、銀座のクラブのホステスを経験。イベントコンパニオン時代の合格率は100%、ホステス時代には4年連続NO1を記録。マナーインストラクター講師の資格と強みである接客マナー経験を生かし、全国で企業向けに接遇マナー研修や、女性を内面からも磨く「愛されマナー講座」を展開し、講師としても活動。心理学を学び、ブログ等でメッセージを発信、若者の無料カウンセリングを始める。全国から年齢問わず多くの相談が寄せられる。

特定非営利活動法人 若者メンタルサポート協会
ブログ:「こころが楽になる魔法」
「シングルマザーが働ける環境は働く全ての女性にとっても良い環境になる」。はじめて江成さんにお会いした時に伺った言葉でした。もっとも理解されていないところへ理解が広がれば全ての女性にとっても働きやすい環境になる、とのことでした。

江成さんの活動から、女性の能力を活かす環境づくりについて、企業の理解が想像以上に良いとのことから、対人間での交渉が前例のない未来を築いていくことに希望を感じ、また実際に行動を起こさなければ何も始まらない、そんな当たり前のようで、なかなかできないその一歩を歩む大切さに気づきました。

岡田さんのお話からは、特に思春期からの若者で、若者たちが今の社会が不安で、将来を考えられないことから刹那的な行動に走る現実、身寄りの無い子どもたちが大人の商売の具にされながらも救い上げる場がない、といった先進国でありながらも起こっている事実を改めて受けとめていかねばと思いました。

心で受けとめる大人が共に寄り添い、生きる場を見つけた若者は自ずとしたいことを見つける、とのお話から、若者が求めている居場所というのは、ぬくもりだと思います。

大人自身の自己肯定感=自律が必要であり、対談の中にも男女の関係性のお話が現れてきたのは意外でした。親子からはじまる関係、夫婦、友達・・・、人との関係性は大切ですが、ぬくもりのある関係性は創造的な未来を育んでゆきます。また、若者向けにシェルターのようなスペースも設けるとのお話を伺い、従来の施設というより、ぬくもり溢れる新しいコミュニティ、そんな可能性にも期待します。

シングルマザーと社会で生きづらさを訴える若者の支援に携わるお2人の対談でしたが、人間同士の関係性と交流が未来を拓く、これからの新しい可能性を感じた対談でした。

江成さん、岡田さん、ありがとうございました。
加藤 倫子
PRESS ROOM
ライター、広報・PR支援を個人事業で行う。 ニュースの仕事を通算で8年。社会、政治、国際のニュースをテレビ、週刊誌、Webで取材・編集に携わる。他にも金融機関で営業職を4年、会社のPRや新聞広告作成など広報の仕事を任される事が多く、外部広報・PR業務を受諾、企画支援、新規事業支援、ライター業も。報道(メディア)とビジネス両面の経験を強みとし、仕事を展開している。
写真協力:Yuzo Komoriyama(加藤倫子プロフィール)
撮影協力:小森山雄三
撮影場所:CafeAkira
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