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■夢を叶えた女性たち


自分の好きを仕事にして人を癒していくイラストレーター

自分の好きを仕事にして人を癒していくイラストレーター

佐藤 玲奈さん
イラストレーター
ネガティブな感情の中で生きていた過去
玲奈さんの作品には「自分らしく生きる」というテーマが常に込められていて、優しさがあふれている作品が多いですよね。イラストレーターとして独立して、自分らしく生きている雰囲気が作品からも玲奈さん自身からも伝わってきて素晴らしいなと感じるのですが、実は気持ちがネガティブな期間も長かったと聞いて驚きました。
物心ついたときから自己評価が低くて、人の顔色を伺いながら自分よりも相手を優先しているタイプだったので、大人になって心の勉強をするまで、ネガティブな考えだったと思います。

短大卒業後はグラフィックデザイナーの仕事を始めたのですが、「他にもっと夢中になれる仕事はないか」と探していました。毎日2時や3時まで仕事をしてタクシー帰りをするハードな時期も続いて、プライベートもうまくいかなくなって。

今振り返ると思うのですが、自分らしくない人生を送っていたり、自分の好きなことから離れていると、自分の軸みたいなものがなくて、心のバランスがとりづらくなっていたと思います。
自分らしく生きるきかっけ
今の穏やかな玲奈さんからは想像できないです。そんな玲奈さんが「自分らしく生きる」ということにフォーカスして、作品作りを始めるようになったのはどんなきっかけがあったのでしょうか?
今の生活からどうにかしなきゃと思っていたところ、友達の紹介でスピリチュアルカウンセラーのカウンセリングを受けることができたんです。 そのとき最初に「あなたの後ろには絵描きさんが見えます」と言われて驚いたけれど、その瞬間納得もしていて。

なぜなら、小さい頃から絵は好きだったし、落ち着いたらやりたいと思っていたことだったからです。そのカウンセリングのなかで質問をするうちに、それまでは仕事やプライベートのことなど全部周りのことがうまくいっていないって思っていたけど、心が満たされないのは「自分が好きなことをしていなかったから」ということがわかったんです。

短大のデザイン科に進んでからは7年近く絵を描いていなかったので、好きなことをすることで人生が上手くいくのなら「絵を描いてみよう」と、その時に決断しました。「~ねばならない」という生き方ではなく「自分の好きなことをやる」生き方にシフトしていきました。

最初はブランクが空きすぎて何を描いていいかわからなかったけれど、「自分の好きなこと」を突き詰めていくと自然と「自分らしく生きる」ということがテーマになっていきました。
「好き」な仕事をするときの不安
「ねばならない」仕事から「好き」な仕事へ変えていくというのは、経済的な不安などいろいろと不安なことが多いと思いますが、玲奈さんの場合はどのように対処していたのですか?
どちらかというと安定志向なので、経済的な不安はとても大きかったです。どういうふうに仕事にしていいかもわからないし、周りに絵を描くことで生活している人もいないのでイメージも湧かなくて。好きなことをやっていこうと決める前は、それこそ結婚して経済的に落ち着いてきたら絵でも描いてのんびり過ごそうかなと考えていていたので、経済的基盤もないまま好きな絵を描きはじめて「やっていけるかな、大丈夫かな」という不安は常にありました。絵に対する根拠のない自信はあったのですが、頭の中ではずっと不安がいっぱいでした。

この頃は「好きなことをしていれば大丈夫だ」と言い聞かせて行動していましたね。
できることをとにかくやっていた独立直後
2008年に独立されていますが、独立直後のお仕事はどのように見つけていたのですか?
最初の1,2年は派遣の仕事をしていました。それまでは、近い条件が見つかったらすぐに問い合わせをするというやり方で派遣の仕事を探していたけれど、好きなことをやると決めてからは、条件をかなり自分のやりたいことに近づけて探しました。

「グラフィックデザイナーではなくイラストレーター」しかも、「出勤は週3、4日」「定時で帰れる」など、条件としてはかなり厳しかったと思います。もちろん、すぐには見つからなかったけれど探し続けてしばらくして見つかりました。

派遣で働きながら、自分がどんな絵を描きたいのかというのを模索しながら絵を描いていくという形でスタートして、徐々に派遣の仕事を減らしていって、2年たったころには完全にフリーになっていたと思います。
派遣以外の仕事はどうやって作り出していたんでしょうか?
派遣以外の仕事は、人がたくさん集まるところに右も左もわからないけど参加して、運良く仕事をいただいたりしていました。イラストレーターで独立するときに、「人脈が必要だね」と友人が誘ってくれたんです。

あとは、やり方がわからないので思いつく限りの方法で自分の作品を公開していました。カフェで自分の絵を展示したり、ホームページやブログを立ち上げたりしました。カフェの展示では、それをご覧になった企業の方が仕事の依頼をくださったり、ホームページを見た企業からも依頼をいただけたりして、仕事が増えていきました。ちなみに、そんな活動をしている中で今の旦那さんにも出会えたんです。

好きな絵をやっていけば、出会いもあるし、仕事もつながるし、今まで以上に自分と合う友達が増えていき、いろいろやっていったことが、ちりも積もってつながっていくんだという実感を少しずつ味わうことができました。

今振り返ると、派遣で仕事をするという選択より、最初からイラストレーターとして独立する選択もあったかもしれないけど、これまでの経験があるからそう思えるのであって、そのときの私の経験値や自分の絵のスタイルの確立度とかを考えると、あの時点では、派遣をしたり色々な絵の仕事をしていった選択で良かったんだなと思います。そういう意味では、人生のどの時点でも、悩んで選んでいったことは、最善の選択でもあるんだなと思います。
好きな絵を描くことで開花するほかの才能
すべてのことが無駄ではない。そのときの自分がベストだっていう、そんな内容の詩も書かれていますよね?とても心にすっと入ってきました。無理やり出した言葉ではなくて、自然と出てきた言葉だなというのがよくわかって、とても印象に残っています。
ありがとうございます。イラストレーターでやっていこうと思ったときに、自分がどんな絵を描きたいのか、長い間好きな絵から離れてしまっていたので、最初まったくわからなかったんです。子どものころから突き詰めていれば確立された自分の絵のようなものがあったのかもしれないけど。

どんな絵を描いていくかを考えたときに、心理学が頭に浮かびました。子どもの頃から「どうしたら人は幸せに生きていけるんだろう」ということに興味がありました。小学生の頃には既に心理学にも興味があったので、心理学と絵を合わせられないかなと。海外だとアートセラピーというのが盛んで、刑務所にいる方をアートで癒すなんていうのをやっていたりするんですが、日本じゃ難しいかなと10代のころは思っていました。

イラストレーターとして独立したときに、絵と同様に興味があった心理学やスピリチュアルを学び始めていたので、改めて絵とそういった心の問題を組み合あせて表現してみたいと思うようになりました。そんなふうに心理学とアートのことを考えながらブログに書いていったら、頭が整理されて自然と詩を書き出していたんです。

実は、私は学校では言葉の使い方が感覚的すぎるというようなことを言われて国語の成績はずっと良くなかったんです。だから文章を書くことには自信がなかったのですけどね…。

だけどその詩を見たとある会社の方が、アプリにしませんか?と言っていただいて、仕事にもつながったんです。文章には自信がないけど、こうして反応をもらえることもあるんだって、うれしかったです。
そこでもお仕事がつながったんですね。今聞いていて思ったんですが、いまだに苦手なことやできないことを克服してくのが素晴らしいという価値観が根強く残っていると思うんですけど、玲奈さんの話を聞いていると、好きなことをやっていたら、自信がないことも自然とやってしまえているという感じですよね。
たしかに、そうですね。苦手なことをやっていると挫折しやすいけど、好きなことを先にやっていくとそのうえで必要なことは、自信がないことも自然と行動できてしまう感じがします。
絵よりもやりたい心理学?
心理学という言葉が出てきましたが、心理学にも興味があるんですね?
子どもの頃から「どうしたら人は幸せになれるのか」ということに興味があったんです。好きなことをやろうと決めたときに、イラストレーターを仕事にしつつ、興味のあった心理学やスピリチュアルについても勉強するようになりました。実は、数年前なんですが、絵よりも心理学のほうがやりたいなって強く思ったことがあったんです。

絵はもちろん好きですが、呼吸してご飯食べてというのと同じくらい自然に絵というのは描けてしまうので、「好き」というよりなじんでいる感覚なんです。心理学は知識がないから強く「好きだ」と思ったのかもしれません。「どうしたら人は幸せになれるのか」という子どもの頃からの思いがより強くなったという感じです。

私が好きなことを仕事にし始めたきっかけはスピリチュアルでしたが、スピリチュアルって、やはり人によっては「あれ。玲奈ちゃんおかしくなった。」って言われてしまうこともあって(笑)。でも、私はスピリチュアルを伝えたいのではなくて、人を幸せにしたいという思いがあるので、その手段としてスピリチュアルである必要はないな、とすぐに頭を切り替えました。「もっと地に足のついた勉強をしよう、心理のスペシャリストになるまで満足するまでやろう」と心理学を学び始めて、それは今でも続いています。最近では、NLP(神経言語プログラム)という心理学を学び始めて人の無意識についても勉強しています。

そうしたことを学んで人の心に携わる仕事をするなら本当であれば、カウンセリングや講演を行っていくのがいいのかもしれませんが、それにはもう能力の高い人がたくさんいて、今の私ならそれをするより、能力を最大にいかせる絵と組み合わせた方法で伝えていくのがいいと思っています。

そんなことを考えながら出版社を周っているときに、ふとコミックエッセイがいいかもしれないと思ったんです。漫画なら絵が多くてよく読んでいたし、これならできるかもしれないと思って。
『生きるって何?』
中経出版さんでコミックエッセイ『生きるって何?』を描かれていますよね?「自分には何もない」って感じて絶望しているクマさんとその気持ちを解きほぐしていくペンギンさんのやりとりには共感する人も多いと思います。
ありがとうございます。このコミックエッセイは、私が現在に至るまでに体験したことの「ポイント」をアレンジしている作品で、是非多くの人に見てもらいたい作品です。

最近でも自殺のニュースってたまにありますが、心がネガティブになると行きつく先は自分の人生を終えることなんですよね。自分もネガティブに生きていた過去があることと、その先に死を選ぶ人もいるということについて考えをめぐらせているときに、タイトルにもなっている「生きるって何?」ということをテーマに描きはじめました。
玲奈さんにとって生きるとはなんでしょうか?
自分の好きなことをやって自分らしく生きて幸せになることが生きることなんじゃないかと思います。ネガティブな感情や価値観を取り払った先には結局やりたいことしか残らないと思うんです。自分の好きなことをやって自分らしく生きて幸せになることが生きることなんじゃないかと思います。
好きなことのさらに好きな仕事を選ぶ働き方
現在は完全にフリーで働いていらっしゃいますが、不安が完全に払しょくされたのはいつごろですか?また、現在のお仕事はどんなふうに受けているのかもお聞かせください。
そうですね。独立したときの様々な不安が払しょくされたのは、1,2年前くらいです。不安ながらも独立して4年近くやってきて、「あれ?そんな不安にならなくても、生きてるじゃん。」ってふと思って(笑)。

仕事を続けてきたという自信と経験が増えていくことで、少しずつ結果が出るのが実感できました。

当初、いただけるお仕事の中には私の絵のタッチを求めていないお仕事ももちろんあって、修正の繰り返しになるような仕事もありました。ただ、そういった仕事をしっかりこなしていくことで、徐々にですが、「佐藤さんの絵のタッチでお願いしたいです」という内容の仕事と出会えるようになってきました。

わかったのは、絵を描いているから幸せということではないんだなということです。絵を描くなかでも、さらに「好きなこと」を追求していくことができるようになると、より納得のいく自分らしい仕事ができていくような気がします。
これからの新しい活動
これからの玲奈さんの活動が楽しみですね。
そうですね。これからはコミックエッセイを思いつく限り描いていきたいと思っています。最初は、国語が苦手だった私にストーリなんて書けるかなと思っていたけど、「あ、これイラストレーターになろうと思ったときの不安と一緒だ」と気づいて。「私なんかで大丈夫かな。やっていけるかな。」ってイラストレーターになるときも同じように悩んでいたなと思い出しました。それなら乗り越えられると思ったし、 さらにNLP(神経言語プログラミング)を学び始めていたのも良かったです。まだ少し残っていた不安もだいぶとりはらわれました。

新しいことをするときは不安になることもあって、ときに躊躇して遠回りをしてしまったりするけど、結局その「やりたいこと」をやらないと、次のステップに進めず、心に残したままになってしまうと思うんです。やりたいことをやっていくことが結局プラスになって、そうすることで、また次のやりたいことも見えてくるなと思います。

「ねばならない」って仕事をしていたときは、自分のことをいったん脇に置いて仕事をするのですが、自分がやりたい仕事をしていくと、自分が日頃考えていることが仕事になってきた感覚があります。

普段頭の中で考えていることってとても膨大にあるので、それが生かせると効率が良いし、仕事に対するエネルギーも自然と湧いてきます。今はエネルギーが常にあって、壁が出てきても「よーし、これはやってやる」というエネルギーが途切れない。日頃考えていることがそのまま仕事になっていくというところが、やりがいがあって楽しいです。

心理学と絵を融合したコミックエッセイは、以前から制作していたのですが、なかなかそこに時間が使えずにいました。今、イラストレーターとしてやりたいことをやれるような段階になってきたと思うので、これからはより勢力的に取り組んで行きたいと思っています。
自分らしく生きたいみなさんへ
最後に、自分らしく生きたいと思っているみなさんへメッセージをお願いします。
自分らしく生きようと思ったらいろいろな方法があると思います。
自分がどんな人間なのかを知るのに気軽に心理療法とかも組み合わせればより効果的ですし、どうしても自分の心の癖というのがあるので、そういう身についてしまっている心のパターンを変えていくためにも外部の刺激というのはあるとよいと思います。同時に、本当に好きなものってなんだろうと自分を突き詰めていく内なるパワーも必要で、外部からこんこんと自分の殻をたたいてもらいつつ、内部からも殻を割っていく両方の力があるとプラスなんじゃないかな。

変化していくことは不安だったり怖いなと思うこともあったりしますが、好きなことに向かっていくことは上質な学びと充実した気持ちが増えやすくなります。そうやっていくと、本来の自分に戻っていくような気がします。
佐藤 玲奈さん
1983年、福島県生まれ女子美術短期大学造形学科デザインコースへ進学。 グラフィックデザイナーを経て「好きなことを仕事にする」と決め2008年6月フリーのイラストレーターとして独立。 スピリチュアル、心理学をアートで表現しつつ、夢や感動、勇気、癒しを与えられるようなアーティストを目指し活動中。 「自分らしく生きる」ということがテーマにあり、人に安らぎを与える優しい色づかいや柔らかいタッチが評判。本やカレンダー、挿絵を中心に活動しているが、最近ではコミックエッセイにも挑戦している。東京在住。
HP:http://www.sato-reina.com/
ブログ:http://ameblo.jp/reina-sato/
仕事実績:http://ameblo.jp/reina-sato/entry-10783601124.html
インタビューのあと、同じくイラストレーターである玲奈さんの旦那さんも含めてお食事をさせてもらえる機会を得たので、3人で武蔵野のカフェで食事をした。好きなことで食べていくっていうのは「才能のある人に限られる」って思っている人が多いんじゃないかという話になった。実際、そう思う人って多いと思う。私も含めて(笑)。

2人ともやはりそう言われることが多いそうだけど、その意見には疑問符が付くらしい。「自分になんてできるのだろうか」という不安を抱えていた時期があるからで、多くの人が抱えているように「自分には何もない」という感情もかつて持っていたことがあるから、特別自分たちがすごいとは思っていないという。

そんな話を聞きながら、私目線で考えると、あえてほかの人になくて、2人に共通してみられるものを挙げてみるとしたら、「自分の好きなことに対する戸惑いがないこと」だと思う。「絵が好きだ」ということに対する思いは人生のどんなつらいときも失われていないのだ。その純粋でしっかりとした軸が、2人のエネルギーになっていると思う。

一方で、「好きなこと」を答えられない人も多い。 それは、生まれてからこれまでの人生の中で、好きなことなんて考えていたら生きていけなかった環境だったからかもしれないし、それよりも大切なものがあるという大人の意見をまるっと受け止める素直で優秀な子どもだったからもしれない。

「好きなこと」があっても「こんなこと大したことでは…」「自分なんて」という言葉で、いつのまにか心の壁を作って好きなことを止めてしまうということも多いだろう。その壁を取り去ることができて、もっと多くの人が好きなことを日常に取り入れていけば、みんなもっとイキイキと生きていけるのではないかと思う。ということを2人も言っていた(笑) イキイキを漢字にすると「生き生き」になるあたり、やはり生きることとは「イキイキすること」なのだ。

実際、会話の間にも、話題の流れに関係なく「あ!そういえば、十詩子ちゃん全然関係ないんだけど、ホームページつくるならこんなアイデアどうかな?」「あ!これは?」と玲奈さん。アイデアが止まらない。インスピレーションが最近止まらないんだとか。イキイキしている。

別にすべての人が好きなことを仕事にする必要はないと思うけれど、少し人生が生きづらくて苦しいことが多くて、もうなんか嫌かもと思うことが多いのなら、好きなことを始めることに何をためらう必要があるのだろう。 「こんなこと」「自分なんて」という心の壁を少しでも溶かすきっかけにこの記事がなっていればと思うし、そんな人にこそ佐藤玲奈さんの作品に触れてほしいと思う。またどこかで旦那さんの作品も紹介できるときがくるといいな。
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滝澤 十詩子
歌人。大学時代から短歌を詠み始める。言葉が人に与える影響に興味を持ち、心理学のひとつであるNLPを学び資格取得。日々自分の感情と向き合い表現していくのに、短歌は一つの手段としてとても奥深く効果的なことに気づく。現在、「短歌詠んじゃったりしようの会」主宰。ライターとしても活動している。


 


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