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■ 世界で活躍するウーマンたち


子どもはスゴい力をもっている!『Kids Helping Kids』

子どもはスゴい力をもっている! 
『Kids Helping Kids』

鳥居 晴美さん
子供地球基金 設立者/代表
★インタビュー斜め読み★
1、まず一歩を踏みだそう(やる前に頭の中で制限しない。大抵の事はやればできる)
2、自分の中で筋が通っていれば行動はブレない。その他の外野からの雑音は気にしない。
3、人を信じる。意義のある活動なら、どこでも、いつも、必ず助け手はあらわれる
4、多様性を得るのは素晴らしい事。その分視野は広がり、人生の選択肢も豊かになる
5、人生は自分次第でその20年を200年分にもそれ以上にも充実させられる。
専業主婦から「子供地球基金」に至る道
鳥居さんは当初、専業主婦でいらっしゃいましたが、現在では世界をまたに活躍される社会起業家としてご活躍です。基金設立のキッカケを教えてください。
元々は、難産で授かった息子を入れたいと思えるような幼稚園が近隣になかったことがキッカケです。子どもにとって初めての学びの場である『The first school』、無垢な時に与えられる環境はとても重要だと考えていました。さらに子どもが小さいうちに多様性に触れる必要があると考え、表現教育に特化した「ユニダインターナショナルスクール(※1)」を開校したのが、社会との関わりをもった最初でした。

でも素人が学校を作るわけですから当然「バックを売るのとはわけが違う!」と家族も周囲も猛反対。そのため周囲からの支援はなく、学校開設には銀行からの100%融資が必要でした。ところが当初は「事業計画書」の書き方も知らず、20以上の銀行からダメだしをうる羽目に。それでも幾度も掛け合いながら、最終的に必要な融資を引き出して開校しました。
当時の日本社会や企業設立の環境を考えると、ものすごい実行力でいらっしゃいます。成功の秘訣は何だったのでしょう。
第一に、「自分から一歩踏み出してみること=実行」です。能動的に自らが動きださなければ何も始まりません。特に日本の女性は頭の中で自分にリミットをかけてしまいがちですが、まず「実現のためにできる事」を具体的に考え、そのために動くことが大切だと考えています。問題は起きても、大体の事は始めてしまえば「なんとかなる」ものです。

次に、自分の事業の意義や価値に確信を持つ。ブレないことです。動く時に自分の中で「筋が通っている」ことはとても大事だと思っています。どんな事業でも、自分が矛盾を抱えていての継続は難しいでしょう。また筋が通っていればブレません。ブレずにいればこそ、家族や周囲の理解も得られるのです。またそうして得られた、子どもや家族からの精神的な支援は、様々に起きてくる事業の「物理的なチャレンジ」を克服するなによりの助けになると思います。

そして家族や周囲の理解や協力を得るために「社会的に意義のある活動」かどうかは大きな要素だと思います。そのような活動には周囲の理解や協力はより得やすくなるでしょう。

最後に自分を含め、人を信じること。何か問題があったとしても、活動が意義のあるものならば、不思議と助け手は必ずもたらされます。このことはこれまで支援を行ったどの地域でも、どんな時でも、常に必要な助けや支援を得られてきた経験から確信しています。

ですので「小さな一歩」でいいから、ためらわず踏み出すこと。私の場合、この「小さな一歩」の26年の積み重ねがこの結果を生んでいると思います。
創設されたインターナショナル・スクールで大切にされていたこと(他のどの園になかったもの)そして園で子どもたちが得られるものとは何だったのでしょうか?
日本の教育はとかく画一的になりがちです。一方、子どもに不可欠な要素と思ったのは、
・育児に安心な環境であること
・文化や価値観の多様性の存在(開校当初から、日、豪、伊、米の講師によって運営)
・表現教育の重用(アートのアトリエのような位置づけと活動)
・教師の質の確保 などです。

また、このような多様性があり自由に表現のできる環境から子どもたちには
・世界に唯一の存在である自分に自信をもち
・社会(世界)につながる自分を認識し
・0(無)を1にする。模倣でない何かを創り、表現すること
・多様性がもたらす広い視野から、よりよい選択ができる
・どんな環境にも立ち向かい、自分の存在意義をみつけられる
・自分の力を社会に還元できる
ようになって欲しいと考えていました。

このスクールで行った様々な社会貢献活動は、子どもだけでなくやがて保護者たちをも変えてゆきました。さらにその一環として始まったのがアート(絵)を通じ、子どもたちが他の困った環境にある子どもたちをサポートするという「Kids Helping Kids」(子どもたちが子どもたちを救う)活動です。これが「子供地球基金」へと発展してゆきました。
子供地球基金の活動や継続性の意義について
子供地球基金では、子どもが絵を描くワークショップ活動を通じて、災害地や被災地の子どものメンタルケアをされています。また子どもたちの絵が他の子どもたちの支援にもなります。なぜ、数あるアートの中から「絵」をお選びになったのでしょう。(注:基金は子どもたちの絵の版権を企業パッケージなどに販売、展示会の開催等も行います。つまり「Kids Helping Kids」)

私たちが「絵」を使うのは、絵だけが「誰でもでき」「世界のどんなコトバや文化も越えて表現できる」からです。コトバや楽器、体の表現は大体知識や技術がいります。でも絵なら誰でも描けます。そして時には(大きなショックを受けた後)絵がかけた後に、やっとコトバが出てくる事もあります。

皆様にお伝えしたいのは、心の傷は、目には見えなくても手足を失うのと変わらない大きなダメージがあるということ。そしてその傷が見えないから、また辛いからと放置や逃避した時、心の傷はほとんどが治らず、やがて「フラッシュ・バック」として後々の人生に影を落とすことも多いこと、等です。
日本では国連の関連組織でもチャリティの資金集めには相当の苦労があるとききます。その中で子供地球基金が20年以上にわたって継続してこられた秘訣は?
まず、社会的に意義のある活動であれば、支援は自然発生的に行われるべきではないでしょうか。もちろんその一方で、支援団体にはその社会的意義をアピールし、支援=「お金を出したい」気持ちにさせる努力、また自立の努力も必要です。基金の場合、支援する対象は幼い子どもたちですが、実は子どもには元々「すごい力」があります。その力を発揮させる形での自助努力(Kids Helping Kids)をしながら継続しています。

また、基金が継続している事で、支援された子ども(かつて心に深い傷を負っていた)たちが本当に回復した姿もみられます。というのも以前、支援を受けた子どもたちが成長して、今度は支援者となり始めているのです。「過去の被害者が、同様の心の傷をもつ子どもの支援側に立てる」のは「絵を描く事=心の傷から逃避せず自己と向きあった結果、傷を克服できた」からです。また彼らは必要とされることでより自信をもち、自己の存在意義をも見いだすことにつながっているとも思います。

特に子どもの教育やメンタルに関わるなら、継続性はとても重要です。中途半端な介入は好ましくありません。そしてNPOでも運営側がムリをしては結局、継続もできません。このバランスも大切だと思っています。
ライフ・ワーク・バランスの基準、バランスの取り方
元々お子様のために始めた事業。当初から必要な育児と仕事のバランスのコツとは? 子育て期の女性達へのアドバイスも含めてお聞かせください。
それ(育児と仕事のバランス)はもちろん、難しいわよ?!(笑)
子どもが幼い時は、仕事をする間の子どもの居場所の確保は本当に大変です。私も引っ越し先のマンションで一軒ずつ、遊び相手がいないか探して歩くなどもしました…事業立ち上げ期や子どもが小さいときは、自分で「できること」と「できないこと」を見極め、何もかも自分で抱えずに、上手に周囲からの支援をお願いすることも必要だと思います。

ただ、そういった物理的な時間やサポートの確保も大切ですが、バランスをとるためになにより大事なのは自分(母親)の精神状態を良い状態に保つことだと思います。自分の態度によって家庭のムードをよくすることも悪くすることもありますよね。私はいつもムードメーカーとなり明るい雰囲気を創るよう心がけています。もちろん、シングルマザーの時は特に大変でしたが、いずれにせよ母親の精神状態をキープすることが、まず大切なのではないでしょうか。

それに子どもは、仕事を続けていると、単なる親子関係でなく、一番の理解者や同志となる存在でもあります。ただそのためには小さな頃から事業とその社会的な意義などを繰り返し、理解できるよういつもお話する事も大切です。

私の場合、チェルノブイリ事故の時は、息子はまだ幼かったため言い聞かせて日本においてゆきましたが、クロアチア内紛の際は、当時12才の彼は自ら望んで1ヶ月間の現地支援に参加しました。

当時はまだ国連の治安維持部隊などが展開中で、時には治安の悪い地域で別行動をしたり、十分な物資や食事すらなく母親としては切なかった事も多々ありました。それでも他のスタッフと同じ待遇で支援活動を立派にこなしました。現地での実際の体験から彼は「自分の当たり前の生活が当たり前でない事を知り、自分の日々に大きな感謝と広い視野をもてるようになった」と今も感謝してくれています。

私には、家族はとても大切です。それでも両立ができるのは、自分が家族や友人を愛し、感謝していることを常に表現したことと、それに家族も応えてくれたから。こうして根底にお互いへの愛情があれば両立は可能になってゆくと思います。もちろん種々の問題はおきます。でもより大きな愛と感謝の念の前に問題は小さくなってゆくと思っています。
プロジェクトを進める中で、例えばご家族など周囲の反対や無理解があったとき、どう乗り越え(折れずに)前進されたのでしょう?
私の場合、事業をスタートする前から周囲は反対でした。またその後も何か新しい行動をとるたびに、軋轢、無理解、またいわれのない批判も常についてまわりました。思えば若い頃はナイーブで、ショックを受け、傷つき、涙をながしたことも沢山あります。でも次第に分かったのは、自分の中で筋が通り、社会的に意義のある事なら、外野=「最終的に自分や子どもの人生に責任をとれない人々」からの(無責任な)批判に振り回される必要はない。という事です。

それに親がシガラミのために動かない姿勢は教育上も子どもによい影響があるとは思えません。他人がどう、でなく、自分の中で、また子どもとの間で筋が通っていればそれでいいのです。誰が何といおうと、結局、自分と子どもの人生は自分達のものですから。
例えば、犠牲がでてしまうような選択を迫られる場合は?
ある選択からどうしても犠牲がでてしまう時は、それによって得られるメリットや「Happiness」の方を意識的にフォーカスすることです。選択は状況をよりよくし、前進するために行うものです。またその決断は「By my choice」として行うことも大事です。人に言われての決断ではなく、自分の意志で選択するからこそ、困難にあっても前に進む力になるのではないでしょうか。

ちなみに私は選択肢の中でいつも「より難しい方」を意図的に選びます。なぜなら、死ぬまで人間は学び、変化できると信じているからです。なので「より難しい=より大きな学び」のある方を選択します。もちろんその分、努力は必要ですが…そして起きる種々のチャレンジは、時に私を成長させてくれる原動力になってきたと思っています。
話は変わり、改めまして、ご結婚おめでとうございます。「多様な文化の家庭」円満のコツ、また親のパートナーが変わる事で変化する家族(親子)のあり方へのお考えをお聞かせください。(注:鳥居氏は取材直前に、新たに東西4カ国の多国籍ファミリーになられました)
ありがとうございます。とても幸せです(笑) 文化の多様性のある家族でいつも心がけていることがあるとすれば、日々の感謝や愛情を惜しみなく、機会あるたび言葉や行動で伝えるようにしていることです。

具体的な例としては、電話やメールの最後には「I love you(注:大好きよ。の意。英語圏では親子や兄弟間でも使う)」を必ずつけます。こうして文化の違う相手にも愛情や感謝が伝わるよう、常に自分から具体的に発信、働きかけることが大事と思います。

相手への思いやりや感謝、愛情をもって接し、またその想いを具体的に伝えつづけると、本当に自然に、新たに家族になった者同士でも、お年を召した方でもその態度は「お互いを思いやれるよう」変わってゆきます。多文化に限らず、どんな家族でも同じかもしれませんが…

また、仕事などで社会との関わり方が変わるに伴い、視点や価値観が変わると、どうしても私生活のパートナーまで変わる事だって十分ありえます。ただ、そうして変わってゆく家族のあり方も否定的、ネガティブにとらえるのではなく、その結果、得られる「よりよい」ものや「Happiness」に注目をすること、また子どもにもその見方を教えてゆくことが大事だとも思います。

例えば子どもには(年齢にあわせ)「パパや家族が増えて、お年玉をくれる相手/相談相手が増えるあなたはラッキー」など「家族が増える」というポジティブな面を話してきました。何事も捉え方次第。またここでも常に明るい方、得られる幸せにフォーカスすることで、自分だけなく、周囲の受け取り方や態度、人生そのものも変わってゆきます。多少の痛みや犠牲もより大きな幸せのためなら受容できるのです。
今後の展望や、最後にメッセージをいただけますか。
「生きる」ということは、良い事も悪い事もあるものです。例え辛い出来事があったとしても、子どもたちには絵を描く事によって現実と向き合い、与えられた生を本当に立ち直った健全な心で前向きに、やがて他者や社会によい影響を与える人に、そんな生き方を目指して欲しい。そう願って活動を続けています。

早く世界のどこでも子どもたちがのびのびと絵を描けるように、そしていつかこのような活動が不要になる世界づくりのきっかけに、そしてそんな社会を作り出す人材づくりの助けになればと願い、活動を続けていきます。 そして人は200年も生きられないでしょうが、人生の20年を200年分に充実させることは自分次第で可能かもしれません。自分の人生の「Value」は誰でも自分で決められるものなのです。
今日は素晴らしいお話をありがとうございました。
鳥居 晴美さん
子供地球基金 設立者/代表
85年にユニダインターナショナルスクールを設立。その後各種事業を手がけながら、インターナショナル・スクールのボランティアの一環として子どもの”絵”による支援を開始。’88年にこのKids Helping Kids (子どもたちが子どもたちを救う) 活動を「子供地球基金」としてNPO設立。平時は首都圏の小児病棟などで活動するが、災害や紛争などの発生時はその直後から緊急支援を展開(チェルノブイリ事故、クロアチアの紛争など)してきた事でも知られる。設立以来のワークショップや支援実績は50カ国を越える。東北大震災発生時も1週間後には現地支援を開始。4か月後には宮城県に拠点を設立して現在も支援を展開中。この継続支援の拠点となる「キッズ・アース・ホーム」を12か所に設置。基金は今年設立26周年を迎える。
子供地球基金
http://www.kidsearthfund.jp
※1:ユニダインターナショナルスクールは惜しまれながらも2008に閉校
お会いした日、鳥居氏はちょうど一週間前に新たなパートナーと東京の披露宴(NYに続き)をあげられたばかり。4カ国と多国籍なご家族がお祝いに来日され、連日ホストとしてもご多忙な時でした。特に驚いたのはお食事の準備(すべてご自身で調理)で毎食5種類、時間もバラバラ(初来日の方、手術後のため特にケアの必要な方、妊娠中の方、…などなど)。

もちろん花嫁として披露宴の準備、さらには、基金最大のイベントであるチャリティ・ガラ(2014年9月4日開催)の指揮。そんな中でも、とてもお幸せそうな笑顔を絶やす事なくインタビューに応じて下さいました。

いつも周囲が驚かされてきたエネルギー、そして子供たちへのかわらぬ愛情も今回改めて拝見し、基金の今後の発展の未来を確信する想いです。 現在子育て中の身としても、取材班一同、勇気を頂けた、貴重なひとときでした。
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松田ハミルトン依子
プランナー、各種マーケティング・アドバイザー(主にB2B)。2008年夏に女児出産、2009年からは米国人の夫の独立・企業のため会社経営を開始、現在に至る。近年は従来の国際マーケティングのアドバイザー業務に加え、個人的なテーマにもなった「日本における多文化環境の育児」の観点から「より実際的な多文化」共栄、育児、教育に関する啓蒙セミナーの設計、プロデュースもてがける。


 


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