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■夢を叶えた女性たち


独創的な言葉と自由なメロディで新境地のラップを展開!

独創的な言葉と自由なメロディで新境地のラップを展開!
Charisma.comの魅力とは?

中学・高校時代に源流があった、Charisma.comの“自由”なスタイル
お二人は中学からの仲とお伺いしていますが。
ゴンチ:中学のとき同じクラスで、それが出会いです。隣の隣の席だったんです。私は中学校に知っている人がいなくて、あまりクラスになじんでいなかったのですが、いつかが話しかけてくれたのがきっかけです。それから同じダンス部に入りました。
ダンス部ということはその頃から音楽に触れていたんですね。どんなジャンルのダンスをされていたんですか?
いつか:その頃は音楽に深く触れるというよりは、自分の感覚でかっこいいと思ったものを聞いてました。ダンスのジャンルについても、実はちゃんと決めていなくて、かっこいいと感じた振付をビデオを観たりして参考にしながら、全部自分で考えていました。それが今も続いている感じです。
ダンスにはヒップホップとかジャズとかハウスとかいろいろあると思うのですが、特にそういうジャンルに縛られないで、かっこいいと思っていたものをやっていたと。
いつか:そうです。ほんとに自由でした。実はこの前、部活の仲間の結婚式があって、10年ぶりくらいに集まって話をしたんです。大人になって思うと、私たちはすごい自由だったし、それぞれが“超”勝手だったねと。そういうことを踏まえて今思うと、私から出るラップの独特なスタイルっていうのも、この頃にもうできていた可能性があると思います。今思いつきましたけど(笑)
お話を聞いているとそうなんだろうなと思います。最初からオリジナルというか。
いつか:そうかもしれません。中学・高校時代から続いていたなって思います。

ゴンチ:いつかはダンス部の副部長だったんですよ。

いつか:そうなんです。けっこうみんなふざけるタイプでいつも先生に怒られていたので、副部長の私がいつも一緒に謝りに行っていました。ゴンチもこう見えて、ものすごくふざけるタイプだったんですよ。尻拭いですよ(笑)
今でもライブのMCはゴンチさんがぼけて、いつかさんがツッコミで救うという、スタイルが多いそうですけど、その頃からそういう関係なんですね。
いつかゴンチ:そうですね。
心の向くままに行動することがCharisma.com誕生のきっかけとなる
中学のあとはどのように仲が続いたのでしょうか?
ゴンチ:中高一貫校だったので、高校まで一緒でした。私は、高校卒業後にアメリカに留学したんです。その頃は英語は話していたと思うんですけど、使っていないと英語って忘れてしまうなと実感しています。(笑)

いつか:私は大学に行って経営学部にいました。大学1年生のときにダンスサークルに入ったんですが、私は中高のダンス部の仲間とダンスをしたかったんだと気づいてサークルをやめてバンドを組みました。もともと目立つのが好きでカラオケで歌ったりしていたのですが、幼馴染のバンドで女性ボーカルを募集していたので。
そこからラップを始めることになったきっかけはどんなことがあったのでしょうか?
いつか:私は歌を歌っているつもりだったんですが、そのバンドの幼馴染に、いつかがやっているのは歌じゃなくてラップだよって言われて。正直最初は信じられなかったのですが、じゃあそれやろう!やってみたい!ってやり始めたのがきっかけです。
他のバンドを組まれて活動されたということですか?
いつか:大学の女友達と一緒にラップをやっていたんですが、本格的にラップだけをするためのグループを作ろうと思って、バイト先で歌をやっている友達とユニットを組む計画を立てたんです。女性のDJがいたらいいなと思っていたときに、ゴンチがアメリカからちょうど帰国していて。ゴンチのお兄ちゃんがDJをやっているし、家に機材があるので、ゴンチできるでしょ!って言って(笑)
なるほど。そこで、またゴンチさんと一緒に活動が始まるんですね。ゴンチさんは、いきなりDJをやれと言われて大変だったのではないですか?
ゴンチ:そのときはあまり考えなかったですね。楽しそうだなと思ってDJを始めました。
お話を聞いていて、お二人ともそういうところが似ている気がします。ラップと言われたからやってみよう!DJも楽しそう!と言ってやってしまうところが。初めてだからという不安がないというか。初めてのことに対して、行動を止めてしまう心のブレーキがかかることはないですか?
いつか:私はあまりないですね。もともと興味のある範囲が狭いので、興味を持った分野があると、そこを極めたい、もっとうまくなりたいっていう思いが強くなって、その思いが不安よりも何よりも大きくなります。成長意欲に近いかもしれません。

ゴンチ:私は、結構不安になることはあります。むしろ、ライブ前などはいつもです。DJを始めるときはたしかに楽しそうと思って行動していましたが、今はうまくいくかどうか、ライブで失敗しないかどうかとか不安です。
不安なときはどうやって対処されているんですか。
ゴンチ:もうただ我慢しています。耐えるしかないですから。

いつか:私は不安になったときは、家族や友人など大切な人たちに話を聞いてもらいます。ちょっと聞いてよ!ってすぐに声をかけて、聞いてもらって解消しています。
二束のわらじを華麗に履いて、踊って、歌う。新しい、生き方。
そのあとはどのようにしてCharisma.com結成に至るのでしょうか?
いつか:そのときの友人とゴンチの3人で音楽活動をしていたんですが、なかなか結果も出ず、いろいろとうまくいかなくなって。解散となったときに、今後音楽活動を本気で続けていくなら、音楽活動と仕事を両立していかないと、成長もないし前にも進めないなと思って、就職を決めると同時にCharisma.comを結成しました。
最初から音楽活動とOLを両立される決意だったんですね。どうしても人生の選択をするときに、「サラリーマンか独立か!」というような二者択一的な考えになってしまうことが多いと思うのですが、さらりとOLも音楽活動もされていて生き方としてとても新鮮というか、柔軟な生き方だなと一女性として刺激を受けました。
いつか:ありがとうございます。でも普通なんじゃないですかね。けっこう仕事とほかの活動を両立されている方って多いと思いますよ。あえてみなさん言ってないだけだと思います。私たちはOLですって言ってしまったので(笑)現在のようになっていますけど。
かなり明確に目標を設定して、今の活動に至っていらっしゃるのでしょうか?
いつか:もちろん、漠然とした目標は自分の中ではありますね。有名になりたいというか、認めてもらいたいというか、結果を出したい。やはり多くの方に自分たちの音楽を聴いてもらいたいです。そうして目指す結果を定めた時、サポートしてくださる方ができて、ラッキーなことに今の環境につながってきました。
かっこいいですね。アンコールが「残業」っていうコールになるっていうのは、OLであることもお二人の魅力になっているからだと思うんですよね。
いつかゴンチ:「残業」のコールは本当にありがたいなと思います。
サラリーマン目線でいうと、メジャーデビューの際に会社の副業禁止規定は大丈夫なのかなと心配になってしまうのですが(笑)
いつか:二人ともすごく理解のある会社に入りました。入社のときに歌をやりたいと伝えて入社しているので問題なかったんです。私の会社の社長は、そういう夢はあったほうがいいよね!って言っていただける社長だったのでとてもありがたいです。

ゴンチ:私も理解いただいています。少人数の会社なので融通もきかしてくださっているから、音楽活動をしながら働けています。
実際両立は大変だと思うのですが、仕事にエネルギーとられて音楽活動に影響することはありませんか?
いつか:ありますよ。曲の締切が迫っているけど、会社は繁忙期となるとぱっつんぱっつんになります。会社の仕事と歌詞を書く作業はリンクすることもあるので、そこが混ざるのは問題ないのですが、スケジュール的な問題が重なると、さすがにそれはどうしたらいいの!って切羽詰まった気持ちになります。そのときはいろいろ追いかけてくるので、もうやるしかないと思って気合いで頑張っています。

ゴンチ:今まではあまりなかったんですが、今回『DIStopping』を出すにあたって地方キャンペーンやツアーなどで休んでしまって、今は仕事がたまって大変になってきました。
OLはこれからも続けられるんですか?
いつか:会社の仕事に責任がとれなくなったら会社に迷惑かけてしまうので、そのときは辞めないといけないと思っています。自分たち基準というよりは、会社へ迷惑かけない範囲でというのが基準です。
はっと気づかされる歌詞がいつまでも胸に残る
アルバム『アイアイシンドローム』にあるメンヘラブスという曲の中の歌詞で、リア充をアピールしなくていいという内容の歌詞があって正直心に刺さりました。
ゴンチ:リア充アピールされていますか?私はあまりSNSが得意ではないので、積極的ではないんです。

いつか:私たちの世代にはリア充っていう言葉もなかったし、SNSも今ほど普及していなかったので、あの曲は若い世代に向けて書いたんです。それにしても昨今のSNSの普及でリア充のアピールはやりすぎだなって思っています。私はツイッターのアカウントを持っていて、最近インスタグラムも突然始めましたが、あくまで自己満足のレベルで積極的ではないです。
それくらいがちょうどいいかもしれませんね。リア充アピールって結局さみしさの穴埋めなのだと思います。孤独だけど大丈夫っていうのをいいねを押してもらって確認したいというような。その穴を埋めているだけだという内容の歌詞も続いていて、ずっと心に残っていました。

どの曲の歌詞を見ても、考えさせられるというか、自分を振り返るきっかけになる歌詞が多いと思います。こういった歌詞は自然と湧いてくるんですか?
いつか:はい。突然湧いてきます。会社の休憩室の若い子たちの会話とか耳に入ってくると、本当にそうなのか?おい!って、心で思っていることを書き留めています。そういう日常のタイミングで歌詞が出てきます。
そうやって会社でのご経験を歌詞に書いていますが、会社で変な空気になってしまったりしませんか?
いつか:イイナヅケブルーをリリースしたときに、社長に「クズ!て言ってる?」って訊かれました(笑) あの曲は社会人1年目で書いたので、今の会社のことではないのですが、社長も「俺そういうとこあるよな~」と言ってくれるような人で。音楽業界の人だったのでさらに理解があるのだと思いますが、フランクな会社なので助かっています。

ゴンチ:私も一度聞かれたことあるんですが、歌詞を書いているのはいつかなので、私が書いているわけではないですって言って逃げています(笑)

(「イイナヅケブルー」/youtube)
日常の中から紡ぎだされるいつかの歌詞は深く潔く、心に突き刺さるようだ
海外へ飛びだし、活動の場を広げる
youtubeなどを見ると海外からのコメントも多いですよね。このアーティストの曲はどうやったら自分の国のiTuneで買えるのかというコメントや、音楽に対する高評価なコメントが多いです。
いつか:どこまで人気があるのかピンとこないのですが、そういうコメントがあるというのは聞いたことがあって、うれしく思っています。

ゴンチ:Charisma.comのfacebookページは私が更新しているんですが、よく海外からコメントがあって、「あ、海外の方からコメントだ」って驚いています。英語で返せればいいのですが、Yes! とかThank you! しか書けてないですね(笑)
国内での活動も増えていますけど、8月30,31日とタイでのライブが決まっていますよね。海外でのLiveというのは日本より緊張しませんか?
いつか:いや。初めてなので何とも言えませんが、言葉が通じないので開き直りの気持ちの方が強いです。逆に日本で、全然違うジャンルのところで出演させていただくことも多いのですが、そのほうが言葉も通じるから反応もリアルですし、逆にどうしようかなって緊張しますよ。

ゴンチ:私は緊張しています(笑)
今回のツアーの最後にフジロックに行きたいとおっしゃっていましたが、今後の展望を教えてください。
いつか:ちょうどツアーの最終日がフジロックの日だったので、ほんとはみなさんフジロック行きたかっただろうなと思って、つい口にしてしまったのですが(笑) 今後は、もっと有名になりたいって思います。成長意欲というか、まだまだっていう気持ちがいつも強いので、どこまでいけば有名なのかっていうのはわからないのですが、いろんな人に私たちの音楽を聞いてもらいたいです。

ゴンチ:こうなりたいという目標と、流れに身を任せてきたら今の状態になったという部分が半分半分なので、具体的な目標を掲げて進むというよりは、今はとにかくいろんな人にライブに来て見てもらいたい思いが強いです。
これからのご活躍がますます楽しみです。応援しております。
いつかゴンチ:ありがとうございます!
Charisma.com (カリスマドットコム)
2011 年に結成。MC いつか(写真左)とDJ ゴンチ(写真右)によるエレクトロラップユニット。 YOUTUBEに投稿した動画が話題を呼び、2013年7月10日「アイアイシンドローム」にてデビュー。MCのいつかは、普段は雑貨メーカーの事務、DJのゴンチは普段は精密機器メーカーの事務をしている。スキルフルないつかのフロウと一度聞いたら耳から離れないエレクトロサウンド、メロディがこれまでにないジャンルを生み出している。映画監督・大根仁主催のライブイベント「モテキナイツVol.2」の召集、ROCK IN JAPAN FESTIVALやBAYCAMPなど大型フェスでも好評を得て、デビュー作がCDショップ大賞2014関東ブロック賞を受賞、iTunes BEST OF 2013に選ばれた。また、LOUIS VUITTON主催の特別展と題したエキシビションのレセプ ションパーティーに日本人アーティストとして唯一ホログラムライブで出演。ポップなビジュアルとは裏腹に、独創的な言葉を巧みに利用し毒のあるリリックで平成のゆとり世代に一石を投じる。
Charisma.com オフィシャルホームページ
私が最初にyoutubeでCharisma.comの音楽に触れた時、一瞬脳がうまく反応しなくて、どうしたものかと思ったのを覚えている。どうして脳がうまく反応しなかったのかというと、「ラップ」という印象をガランゴロンとひっくり返し、いい意味で裏切ってくれる、オリジナリティにあふれていたから。

ラップのイメージとは違うスタイリッシュなファッション、キャッチーなメロディー、そして突き刺さる歌詞。歌詞は人によって耳が痛くて聞いていられない人もいるんじゃないかと思う。ここまで言っていいのかなっていう歌詞が続く。その歌詞は深く潔い。

歌詞が鋭いから、正直もっと癖のある人たちを想像していたのだけど、インタビューをしてわかったことは、とても自然体な人たちだということ。OLとミュージシャンという二足のわらじも、隠すでもなく、とりわけ主張をするわけでもなく、自然と履きこなす。

そんな自然な二人だからこそ、ラップを始めるときも、DJを始めるときも、変な先入観なく、行動を止められることなく、突き進めてこれたんだと思う。 そんな二人のつくる世界観が海を越えていこうとしている。Charisma.comのこれからにますます期待が高まっていく。目が離せない存在だ。
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滝澤 十詩子
歌人。大学時代から短歌を詠み始める。言葉が人に与える影響に興味を持ち、心理学のひとつであるNLPを学び資格取得。日々自分の感情と向き合い表現していくのに、短歌は一つの手段としてとても奥深く効果的なことに気づく。現在、「短歌詠んじゃったりしようの会」主宰。ライターとしても活動している。
撮影場所提供:ナレッジソサエティ
撮影協力:竹内佑