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井上 ゆき フリーランスライター・編集者・保育士 一般社団法人日本伝統食協会
子どもには野菜を好き嫌いせず食べてほしい、外で伸び伸び遊んでほしい、算数嫌いにならないでほしい! そう願う母親は多いものの、実際は野菜もお外も算数も、ママ自身がニガテだったりしませんか? このコラムでは、日々の取材や8313(やさいさん)としての活動から得た経験・情報を、子育て中のお母さ…
子どもを野菜好き・お外好き・さんすう好きにしたいママさんへ 育児・子育て 2017-02-22
保育士しなくて、すみません!

実は私も保育士なんです…!

 私は名刺に「編集・ライター・保育士」と肩書を入れています。名刺を渡すのは、ライターとして人とお会いするときが多いので、よく「保育士さんなんですか!?」と驚かれます。そして、「実は私も保育士資格を持ってるんですよ」とか、「うちの奥さんも保育士取ったんですけど使ってないんですよね~」と言われることが少なくありません。2~3か月に1回くらい、実は保育士資格を持っている人(の知り合い)に出会います。

 待機児童問題では、保育園と保育士不足が課題とされていますが、保育士資格を持っている人が、保育士として働かない理由は人それぞれにありそうです。一般的には給料が安いからと言われていますが、私はそれだけではないですね。月収50万円でも保育園で働くことはないと思います。それは、「よそのお子さんを預かるために、自分のしたい生活が成り立たなくなるから」です。

 私が出産後に保育士資格を独学(ユーキャン)で取ったのが2年前。合格後に、1か所だけ保育園に面接に行きました。そのA保育園は、私の関心がある食事や外遊びに力を入れていて、保育士として働いてみたいと思える保育園だったからです。事前にハローワークの保育士向けのイベントで、A保育園の園長先生と話す機会があり、園長のお考えにも共感できていました。

 イベントのあとでA保育園に面接へうかがうと、最初から園長や子どもたちが「いのうえせんせい~!」と呼んでくれて、うれしかったのを覚えています。しかし、園長との面接で現実を突きつけられました。「早番は7時前から、遅番は22時ごろまで」と勤務時間を言い渡されたのです。A保育園では、残業をする父母のために、必要な子どもには夕食を出していることから、遅番は勤務が22時を過ぎてしまうこともあるのだそうです。私の子どももまだ未就学児ですから、「人の残業のために自分も21時、22時まで働くこと」に納得がいきませんでした。園長と合意できなかったので、もちろん不採用でした。

 資格を持っていても保育士として働かない人のその理由には、私のように、お給料の安さだけでなく、拘束時間の朝早さ、夜遅さに対応できない人もいると思います(だからといってパート勤務にすると手取りがぐっと下がってしまう)。タイトルに「保育士しなくてすみません!」と書きましたが、実はそんなことは思っていません。私は夫と子どもと夕飯を食べる生活を重視しているので、遅番がある保育園での仕事はできないので。自分の生活に満足したうえでないと、幼少期の子どもの身の安全を守りつつ心の安定をはかる保育の仕事なんて、できないと思います。

 

「保育園なし」で、より柔軟に生きられる

 だから、と言うわけではないのですが、私はライター・編集者業で子どもをどこかに預けなければならないときに、保育園は使いません。私が使う分は、ほかのお母さんに譲っているんです。たった1枠ですが、それだって立派な社会貢献だと思っています(笑)

 保育園も保育士も限られた資源なので、「保育園が足りない!」ことを問題にするより、譲り合う仕組みを作ったほうがいいんじゃないかなと思っています。すでに保育園に入れられた家庭は100で、入れられなかった家庭は0と、白黒分けなくてもいいのでは?と思うんです。「わが家は保育園に週5日通えることになったけれど、毎週水曜日は夫が、金曜日は妻が自宅勤務にするので、水・金はほかのお母さんに譲りますよ」みたいなこと、できるといいですよね。

 先日、私は初めて子どもを置いて、1泊2日で富山県に取材に行ってきました。1日は夫が有給休暇を取得してくれて、もう1日は夫の母が子守を引き受けてくれました。お願いしたものの、「お義母さんにまる1日お願いして、お義母さん大変じゃないかな?」と勝手な心配をしていたのですが、お義母さんはお義母さんでお友達を呼んで孫を見せる機会をつくり、一緒に遊んだりして楽しんでいたようです。息子はそのお友達の方に抱っこしてもらっているうちに、うとうと昼寝を始めたとか…(笑)。私が1日不在にしたことで、お義母さん、お友達の方、息子それぞれに、いつもと違う楽しみがあったのです。

 また、保育付きのワーキングスペースを利用することもあります。先日訪れたのは、中目黒ビオキッチンの子連れワーキングスペース。毎週水曜日のみですが、保育士さんや小学生を育てている先輩ママさんがスタッフとしていてくれるので、子どもがキッズスペースで遊んでいる間に、集中して原稿を書くことができました!! ほかのママさんが熱心にパソコンに向かっている姿を見ると、何の仕事をされているかはわかりませんが、「あの方も、限られた時間で頑張っているんだな!」と同志のような気持ちになって、うれしかったです。保育士さんや先輩ママさんに子育ての相談もできるので、お勧めのスペースです!

 この春の保活で思うような結果が得られなかったママさんもいるかと思います。私はそもそも出産時に出版社を退職させられた(マタハラ)ので、そのときはやはり“絶望”を感じました。でも、息子の出産から3年経ってみて、職場復帰ができなくたって、息子を保育園に預けなくたって、自分の思うように、思うような仕事をすることができています。より柔軟に働き、より柔軟に生きられるようになったということです。マタハラに遭ってよかった、保育園通わせなくてよかった。子育て時期の働き方も、発想と工夫次第で楽しめるんですよね!

※写真は昨年11月の「保活消耗戦」というタイトルの新聞記事。消耗することがわかりきっていたので、私は保活すらしませんでした。保活は自分の頑張りたい土俵ではなかったのです。

 

 

☆☆☆要チェック!

中目黒ビオキッチンの子連れワーキングスペース

http://nakamerental.jp/archives/20170130/289

子育て中のママさんにうれしいイベントも開催されています!


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