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小山 ひとみ コーディネーター、中国語通訳・翻訳 ROOT
日本と中国、台湾間の文化交流の橋渡し役として仕事をしていることから、東京、ニューヨーク、上海、北京で活躍している中国と台湾の女性にフォーカスを当て、彼女たちがどのようなプロセスを経てチャンスを得たのか紹介していきます。
チャンスを掴む!中国、台湾のウーマンに学ぶ キャリアアップ 2016-04-15
会社員からフォトグラファーに転身  陸佳宇(ルー・ジャーユー)さん

フリーランスの演劇コーディネーター、中国語通訳・翻訳をしています小山(おやま)ひとみです。こちらのコラムでは、NYで活躍する、中国人、台湾人ウーマンへのインタビューをお送りしています。今回は、中国人のフォトグラファー、陸佳宇(ルー・ジャーユー)さんをご紹介します。

1984年上海で生まれたルーさんは、2年前の30歳の時に、フォトグラファーに転身。フォトグラファーの仕事では、Afraという名前で活躍しています。2年間を振り返り、「ある意味ラッキーだったのかも。」と語ります。携帯で手軽に写真が撮れ、自分の撮った写真がSNSで大勢の人の目に触れる。誰もがある意味フォトグラファーになれる現在、それでもプロのフォトグラファーの道を選んだ彼女に色々話を聞いてみたいと思いました。

写真への興味は子供の頃から。画家である父親からカメラを学び、興味があるものを撮影してきたと言います。その後、学校で専門的に勉強したのかと思いきや、全くの独学。「写真のテクニカルというのはネットで検索できますし、自分で学べます。とにかく撮影、撮影して、勘を掴むんです。」

大学では、マーケティングを専攻。オーストラリアのタスマニア大学上海校に入学したルーさんは、1年の3分の1を上海、残りをオーストラリアで過ごします。マーケティングを専攻した理由については、「母から安定した職につけるからと言われたんです。親の言うことを聞く良い子だったんですよ、私。」と笑いながら話してくれました。

大学卒業後、アメリカに渡り、NYから電車で2時間のところにある大学院で会計の勉強をします。中学の頃、すでにアメリカへの憧れがあったルーさん。「映画の中のNYを見て、中国とは違う世界を感じました。なので、できるだけNYに近くて、会計の分野で有名な学校を選んだんです。」

大学院修了後は、インターンを経て、NYのファッションの会社で会計の仕事に就きます。アメリカで就労ビザを取得するには、自分の専攻と同じ職種に就かないと発行されません。好きな仕事ではなかったものの、NYに残るための手段として選んだ会計の仕事。ラッキーなことに、全く残業がなかったそうです。「5時には退社できたので、退社後や週末に友人を撮影したり、その頃から、本格的に撮影するようになりました。」撮影した写真をSNSにあげると、それを見た友人やそのまた友人から、ブライダル写真やポートレート写真の依頼がくるようになります。フォトグラファーとしてやっていこうと決めたのは、自然な流れ。「気が付いたら、撮って欲しいと言ってくれる人がいたので、やっていけるかもって思ったんです。それに、人生は短い。好きなことをやらなきゃって。」

中国で生活していた時は、「あの人がしているから」「あの人が持っているから」と周りに合わせる人が多いと感じていたルーさん。他と違う事、違う物を好む彼女は、NYで知り合った人たちの、自分らしい生き方に強く惹かれたと言います。

 

(写真:去年の夏に撮影。この5分後、暴風雨が。緊迫感のある一瞬を捉えたルーさん自身好きな写真の1枚)

2年半務めた会計の仕事を辞め、フリーランスとしてフォトグラファーの道へ。好きな写真の仕事とは言え、ここはNY。フォトグラファーは星の数ほどいる。迷いはなかったのか聞いてみると、「ライバルは多いし、仕事はきついし、何よりコンスタントに仕事が入るか不安はありましたよ。でも、自分が一生懸命成果を出せば、認めてくれる人がきっといるはずと信じていました。」SNSでルーさんの写真を知ったり、友人からの紹介だったり、依頼者は皆、ルーさんの写真が気に入って声をかけてくれると言います。子供の頃、写真に興味を持った少女が、好きで続けてきた写真を仕事に。現在、仕事が多い時期と少ない時期で差はあるものの、トータルでみると会社勤めの頃よりも収入は増えていると言います。

「私は基本、ジャンルを選ばず、依頼された仕事は全て受けるようにしています。写真で生活をしているので。」と力強く語るルーさん。ブライダルフォトの場合は、二人の出会いから、喧嘩した時どちらが先に謝るのかなど、カップルとの会話の中で、二人の関係性を探る。そして、撮影ではできるだけ自由に動いてもらい、その過程で瞬間を捉える。ファッションフォトの場合は、まず、モデルの一番美しい角度を探す。その後、モデルに具体的にポーズの指示をする。「モデル達からは、他のフォトグラファーとは違って、具体的なのでやりやすいと言ってもらいました。」

撮影時、一番大切にしていることは、被写体と密にコミュニケーションを取ること。「撮影に入る前の短時間で被写体と友達になり、信頼してもらい、安心してカメラの前に立ってもらう。そうすれば、被写体の自然な表情を撮ることができます。」NYでは依頼者がフォトグラファーを尊重してくれるので、とてもやりやすいと言います。「結婚式など長時間の撮影の時は、食事や飲み物を勧めてくれたりと気遣ってくれます。」

 

 

(写真:遠距離恋愛をしていたカップルがNYで念願の結婚。「top of the rock」というビルでの撮影。NYのビル群を眼下に、あらゆる困難を乗り越え、やっと一緒になれたという感じを出した。去年、受賞した写真のうちの1枚)

私は、初めてルーさんの写真を見た時、色彩に対するこだわりを強く感じました。一枚の写真の中で、色が喧嘩することなく、とても美しくまとまっている。「色彩感覚は、父から受け継いだもの…だとしたら嬉しいですね。色というのは、見る人をダイレクトに惹きつけるものなので、大切にしています。」

撮影を手伝ってくれた友人から、「お酒を飲んでいる時よりも、カメラを手にしている時の方が本当に楽しそう」と言われたと笑って話すルーさん。9時間立ちっぱなしの撮影でも、全く苦にならないと聞き、フォトグラファーという仕事が本当に好きなんだと確信しました。そんな彼女にとっての良い写真とは、「見る人の心の琴線に触れるかどうか。」誰も気づいていない、または、気に留めない美しさというものを写真で出せたらと語ります。

今後、NYで仕事を考えている人へのアドバイスとしては、「NYでの経験は、その後、絶対に後悔することはないと思うんです。その経験は、どこでも活かせるでしょうし、世界が広がって見えると思います。また、NYにいるだけで世界各国の人と知り合うことができるので、特別な体験になると思います。」

インタビューを終えて

「去年、3つの写真が賞を取ったんです。」と、インタビューを終えた後につぶやいたルーさん。ウエディングとポートレート写真の大きなコンペティションでの受賞ではあるものの、「フォトグラファーとしての新たなスタート」とさらっと語りました。そして、今年の冬、仕事が比較的少ない時期に、写真教室に通うことも考えているという彼女。「ネットワーク作りが一番の目的なんですけどね。」と。それを聞き、常に、今、自分がすべきこと、自分に必要なことが明確に分かっていて、そのために確実にアクションを起こす人なのだと思いました。より変化のある自分でいたいと意欲的な彼女の姿は、接していてとても気持ちが良かったです。


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