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井上 ゆき フリーランスライター・編集者・保育士 一般社団法人日本伝統食協会
子どもには野菜を好き嫌いせず食べてほしい、外で伸び伸び遊んでほしい、算数嫌いにならないでほしい! そう願う母親は多いものの、実際は野菜もお外も算数も、ママ自身がニガテだったりしませんか? このコラムでは、日々の取材や8313(やさいさん)としての活動から得た経験・情報を、子育て中のお母さ…
子どもを野菜好き・お外好き・さんすう好きにしたいママさんへ 育児・子育て 2015-09-23
イヤイヤ期ではなく冒険の2歳を過ごそう!

 

森のようちえんの現場に行ってみた!

 森のようちえん、をご存知ですか? 自然の中で子育てや教育をする活動で、始まりは1950年代のデンマーク。「自然とのふれ合いは子どもたちにとって必要不可欠」、「森の中で子どもたちに自由に過ごさせてあげたい」と考えるお母さんたちによって自主保育という形でスタートしたものです。これらの活動は森のようちえん、野外保育などと呼ばれ、お隣のドイツでも盛んです。

 日本でもこうした自然保育は、毎日活動しているものから、週1、月1などのものも含めて、全国に3000くらいあるとも言われています。

 9月のはじめ、長野県の軽井沢で運営されている、「森のようちえん ぴっぴ」に、家族で参加してきました。以前、都内でぴっぴの代表である中澤真弓さんのお話を聞いたことがあり、「なんてすばらしい取り組みなの!」と感激し、ぜひ子どもを連れて、ぴっぴの現場に行ってみたいと思っていたのです。上の写真は、ぴっぴの森にあった木々でできた「おうち」です。わかりますか?

 わが家の1歳7か月の息子は、森の中に足を踏み入れると、最初は私や夫のそばから離れませんでしたが、しばらくすると、森の中の先へ先へ、自分からずんずんと進んでいきました。その歩く姿は、「とにかく歩くのが楽しい!」「森の中でも見える景色が変わっていくことが楽しい!!」と感じているようでした(親の欲目もありますが…〈笑〉)。

 長野から都内に戻ってからは、息子の公園での行動が少し変わりました。公園内の舗装路を歩かせると、すぐ脇の土にそれて、わざと木の根っこを何回もまたいだり、木の実や葉っぱを拾ってはポイしたり……。「おもしろいもの探し」をしています。

 

2歳=冒険の1年!

 森のようちえんでは、子どもたちはプログラムに縛られることは少なく、だいたい自由に過ごしているようです。季節や天気によって1日として森の姿は同じではないので、子どもたちは日々新たな発見をし、また、自然のゆったりとしたリズムの中で自分らしく過ごすことができます。

 私が森のようちえんの中でも「ぴっぴ」に注目しているのは、ぴっぴが2歳児からの受け入れをしている点です(週3回、4~5時間)。私が子どもを2歳から預けたいと思っているわけではありませんよ!

 代表の中澤さんは長年、23区内の幼稚園で勤務をされていて、幼稚園で3歳児を迎え入れるときに、いわゆるイヤイヤ期と言われる2歳の時期をうまく過ごせなかった親子を多く見てきたのだそうです。中澤さんによると、2歳は「子どもの心と体が人間になろうとダイナミックに変化している時期」。その変化に、特に母親は戸惑ってしまったり、イヤイヤ期ととらえて子どもを押さえつけようとしたりしてしまいがちです。そこで中澤さんは、この2歳の時期に、思う存分、心と体を解放させてあげられる時間と場所として「森のようちえん ぴっぴ」を立ち上げたというのです。

 幼児教育に長く携わってきた中澤さんでも、2歳児の持つ力には日々驚かされるといいます。「2歳は自分が自分になっていく始まり。人間になっていく1年」、「2歳は小さな変化にも敏感で、外に向かっていく冒険の1年」という中澤さんの言葉は、巷で「魔の2歳児」とか「2歳はイヤイヤ期」などと言われているのとは対照的です。“イヤイヤ期”なんていう否定的な言葉で過ごす1年と、“冒険の1年”ととらえる1年では、親も子も2歳の過ごし方がまったく変わってくると思いませんか?

 

大人も森でゆっくりしよう

 2歳の時期を、うちの息子にも「ぴっぴ」で過ごさせてあげるのが理想ではありますが、残念ながら今すぐ長野に移住することは現実的ではありません。自我が芽生える息子の2歳の時期を、都内に暮らしながらもいかに自然の中でゆったりと過ごさせてあげられるか、が今の私の大きなテーマです。

 私の関心が高いこともあり、森のようちえんの活動をされている方や、今年度全国で初めて「信州型自然保育認定制度」をスタートさせた長野県職員の方のお話を、この1年でたくさん聞いてきました。皆さんのお話に共通しているのは、「子どもの子どもらしい成長のため」であることと同時に、親である私たちにも「自然の中で肩の力を抜いてゆったりと過ごしてほしい」、「子育て本来の楽しさを実感してほしい」という思いが込められています。

 毎日の仕事と家事との間にある育児では、つい子どもに「はやく、はやく」と急かしたり、「ちょっと待ってて」と大人のペースに付き合わせてしまうことがしばしばです。都内では子どもに「森」で過ごさせてあげるのは難しいことですが、できるだけ広い公園で時間も泥だらけになることも気にせず、自由に遊ばせてあげられる心の余裕をもちたいものですね。

 

 


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